日本消費者連盟 | すこやかないのちを未来へ

消費者が権利主体の公共料金決定過程を!運輸審議会委員長の再任にNO!

日本消費者連盟は、2013年2月15日、国会同意人事である、運輸審議会委員長の上野文雄氏の再任について反対する意見表明を衆参両議院運営委員会に、再考を求める要望書を国土交通大臣に提出しました。

地域独占と総括原価に守られた電気料金についてはようやく消費者の厳しい監視の要望が出てきました。(*)しかし、公共料金分野は事業者利益中心の日本の行政風土が色濃く残る許認可事業分野です。物価に対するチェックをその職責とする消費者委員会が動き出しましたが、認可庁の諮問機関の役割は重要であり、その構成を注視することが必要です。

最近の原子力関連や輸入農産物の規制緩和をチェックする審議会の人事のあり方などにも照らして、重大な利益相反を疑われる人事は消費者目線での監視が必要です。


消費者目線を欠く運輸審議会

公共料金運輸審議会の委員に消費者団体代表等の利用者サイドの委員が一人もいません。このことは、2012年2月28日の建議で消費者委員会が問題にしています。

http://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2012/__icsFiles/afieldfile/2012/02/29/20120228_kengi.pdf

今回、同審議会の国会同意人事があり、現在会長をしている上野文雄委員の再任事案がでてきました。公正取引委員会の委員長や日銀総裁人事についてはマスコミも関心を持って報道をしています。しかし、同じ国会同意人事でありながら、運輸審議会の委員には、消費者団体代表等の利用者サイドの委員が一人もいません。

 

(現運輸審議会)

会長      上野 文雄      日本国有鉄道・JR東日本を経て、ルミネ専務

会長代理    鷹箸 有宇壽    東京ガスを経て、東京ガスエネルギー代表取締役社長

委員(非常勤) 廻 洋子      クラブメッド(地中海クラブ)を経て淑徳大学観光経営学科教授

委員(非常勤) 保田 眞紀子    弁護士

委員(非常勤) 島村 勝巳    日本通運を経て日本通運健康保険組合理事長

委員(非常勤) 松田 英三    読売新聞解説委員

 

成田空港線の運賃認可にも反対意見が多く、公聴会の公述人の人たちは訴訟を起こしていますが原告適格の壁に阻まれています。

電気料金だけでなく、ガスや鉄道にも国民・消費者が関心をもち、公共料金の決定過程で消費者が権利主体であるという認可制度をつくるための制度改革を求めていきましょう。                     (共同代表 古賀真子)

 

(*)2013年2月14日、東北電力も電気料金の値上げを申請しました。関西電力、九州電力の値上げ申請についての公聴会には、1月28日の大阪では26名、福岡では2日間にわたって34名が「値上げに反対」との意見陳述をしました。資源エネルギー庁の電気料金審査専門委員会の査定案がでると、消費者委員会がその内容について消費者の目線から厳しいチェックをすることになっています。


 

 

国土交通省大臣あて申し入れ

2012日消連第32号

2013年2月15日

国土交通大臣 太田 昭宏  様

 

特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 天笠 啓祐

古賀 真子

真下 俊樹

山浦 康明

 

運輸審議会委員長上野文雄氏再任案についての撤回の申し入れ及び

運輸審議会の構成委員等の見直しに関する要望書

 

冠省 2013年2月8日に政府より国会同意人事案が議院運営委員会に提示されたとの報道がありました。同案では、運輸審議会委員長に上野文雄氏が再任されています。

同氏は日本国有鉄道、東日本旅客鉄道株式会社を経て、株式会社ルミネ専務となり、2009年から運輸審議会委員・同会長代理、2012年からは常勤として同審議会会長をされています。運輸審議会には6人の委員がいますが、常勤者は2人で、もう1人は同審議会会長代理の鷹箸有宇壽氏で、同氏は、東京ガス株式会社を経て、東京ガスエネルギー株式会社代表取締役社長後、2012年から同審議常勤委員として審議会会長代理をされています。外には非常勤委員4人という構成です。

国土交通省設置法第6条に基づいて設置される運輸審議会は、鉄道事業法、道路運送法、航空法等の規定により運輸審議会に諮ることを要する事項のうち国土交通大臣の行う処分等に係るものを処理する委員会ですが、航空法等の規定により、同審議会に諮ることを要する事項のうち国土交通大臣の行う処分等の中に、鉄道や航空機などの公共料金認可にかかわる国土交通大臣からの諮問に対する答申という生活者・消費者の権利・利益に直接かかわる重要な所掌が含まれています。

公共料金の決定は、生活との密着性、独占性、公共性から「選ぶ権利」を持たない、多くの消費者(利用者)にとって日々の生活を維持するために切実な関心事項です。料金の決定内容と算定根拠については説明責任が果たされることが求められますが、そのためには料金認可の決定過程の透明性及び消費者参画の機会等を確保することが消費者の信頼確保のために必要です。

現在の運輸審議会は、会長と会長代理が公共料金の申請事業母体からの選出者で、他の4名の非常勤の委員の方も、いずれも消費者の意見を代弁する代表とは言い難いと考えます。

2012年2月28日、消費者委員会が、「公共料金問題についての建議」(以下、建議)を出しています。この中で、関係各省庁(内閣府特命担当大臣(消費者)、経済産業大臣及び国土交通大臣)において、公共料金の決定過程の透明性・消費者参画の機会を確保するための取組が必ずしも十分とはいえないとして、一層の努力を求め、建議への対応について、2012年8月までにその実施状況の報告を求めています。

消費者委員会が、審議会委員の選任状況について確認等を行ったところ、消費者代表を参画させる、あるいは消費者の意見を聴くという視点から、消費者団体の役員、消費者団体から推薦のあったとみられる者を中心に選任している審議会が増えてきている中、未だそうした視点を重視せずに委員を選任しているところとして運輸審議会が挙げられています。

審議会による諮問手続きについては、審議会の人的構成の偏り、決定プロセスの密室性など、官僚主導の意思形成の「隠れ蓑」として批判されてきた経緯があります。運輸審議会においては、過去に同審議会の審議手続きの瑕疵が争われた事例において、「処分行政庁が、諮問機関の決定(答申)を慎重に検討し、十分な考慮を払い、特段の合理的な理由のない限り、その決定を尊重して処分しなければならない旨を法が定めているのは、処分行政庁が、答申を慎重に検討し、これに十分な考慮を払い、特段の合理的理由がない限りこれに反しないよう要求することで、当該行政処分の客観的な適正と公正を担保する趣旨である」とされています。審議会の公正、特にトップの人選は審議会の中立性に対する国民の信頼を確保するための重大な関心事であり、国会同意人事とされていることには理由があります。

東京電力の料金値上げの際に問題となったように、公共料金については、消費者(利用者)の意見を反映させるための方策や、消費者の視点からチェックするための第三者機関設置の必要性が指摘されています。以下のように、運輸審議会の構成そのものの見直しも含め、今回の再任案に強く反対します。

 

1 運輸審議会委員長上野文雄氏再任案について撤回し、中立的で適切な人材の再提示をされるよう求めます。

2 消費者委員会の建議書では、審議会委員の構成についての他の審議会と比較して、消費者参画への取り組みの欠如が問題とされています。消費者の権利・利益を十分代弁し得るという観点から、運輸審議会の委員長だけでなく、委員長代理、委員も含めた見直しを行い、消費者目線に立った取り組みを推進することを求めます。

3 国土交通省は、鉄道運賃等の決定過程の透明性及び消費者参画の機会を確保する観点から、消費者委員会の以下の建議を尊重することを求めます。

(1)運輸審議会が審査する鉄道運賃・料金(以下「鉄道運賃等」という。)の「(事業横断的)情報公開ガイドライン」の情報提供を十分におこなうことを求めます。

(2)運輸審議会は、審議の経過を消費者(利用者)に伝えるために、提供すべき情報(例えば、議事録、審議資料(配付資料、規制当局からの説明の概要等)、公聴会での意見の反映状況等)を拡大し、議事録や配付資料をインターネット上で公表すること。説明聴取事案(軽微認定事案)として同審議会への諮問を経ない認可案件についても、審議会への諮問を必要としないと判断した理由や判断基準についても明らかにすることをご検討ください。

(3)国土交通省は、他の審議会の例を参考にして、消費者の権利・利益を十分代弁し得るという観点から、運輸審議会の委員を選任することについて検討するとともに、運輸審議会一般規則に定める「利害関係人」の解釈について、例えば、日常的にその交通機関を利用する消費者(利用者)を含めることについてご検討ください。

4 公共料金の特殊性に鑑み、運輸審議会の下に公共料金部会を作って、そこに消費者・利用者の代表を入れること等もご検討ください。

以上

(連絡先)特定非営利活動法人日本消費者連盟(古賀)

〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-9-19 アーバンヒルズ早稲田207

                        ℡03-5155-4765 fax03-5155-4767


衆参両議院運営委員会あて反対声明

                               2013日消連第33号

2013年2月15日

衆議院議院運営委員会

委員長 佐田 玄一郎 様

参議院議院運営委員会

委員長  岩城 光英 様

 

 

運輸審議会委員長上野文雄氏の国会同意人事に反対する意見表明

 

                               特定非営利活動法人日本消費者連盟

                              共同代表 天笠 啓祐

                古賀 真子

真下 俊樹

山浦 康明

 

冠省

2012年2月8日に政府より国会同意人事案件が議院運営委員会に提示されました。そのなかで、運輸審議会委員については、上野文雄氏(元ルミネ専務)の再任人事案がありますが、特定非営利活動法人日本消費者連盟は同氏の再任人事に反対の立場であることを意見表明いたします。

上野文雄氏は日本国有鉄道、東日本旅客鉄道株式会社を経て、株式会社ルミネ専務となり、その後運輸審議会委員・同会長代理、2012年7月からは常勤として同審議会会長をされています。運輸審議会には6人の委員がいますが、常勤者は2人で、もう1人は同審議会会長代理の鷹箸有宇壽氏で、同氏は、東京ガス株式会社を経て、東京ガスエネルギー株式会社代表取締役社長後、2012年から同審議常勤委員として審議会会長代理をされています。外には非常勤委員が4人という構成です。

国土交通省設置法第6条に基づいて設置される運輸審議会は、鉄道事業法、道路運送法、航空法等の規定により運輸審議会に諮ることを要する事項のうち国土交通大臣の行う処分等に係るものを処理する委員会ですが、航空法等の規定により、同審議会に諮ることを要する事項のうち国土交通大臣の行う処分等の中に、鉄道や航空機などの公共料金認可にかかわる国土交通大臣からの諮問に対する答申という生活者・消費者の権利・利益に直接かかわる重要な所掌が含まれています。

公共料金の決定は、日々の生活との密着性、独占性、公共性から「選ぶ権利」を持たない、多くの消費者(利用者)にとって生活を維持するために切実な関心事項です。料金の決定内容と算定根拠については説明責任が果たされることが求められますが、そのためには、料金認可における諮問機関である運輸審議会には、決定過程の透明性と消費者目線での審議が求められています。とりわけ委員長には、社会的中立性が求められていますが、経歴を拝見するに、委員長代理の鷹箸有宇壽氏も含め、公共料金認可を申請する企業側の方です。現在の同審議会の6人の委員の構成を見ますと消費者問題について取り組んでいる学識経験者や消費者団体の代表などの消費者の権利・利益を直接代弁する者はおらず、これで本当に国民目線・消費者目線での答申ができるとは到底思えません。

 2012年2月28日に消費者委員会が国土交通大臣等に行った「公共料金の建議」でも、「審議会の多くは、消費者代表を参画させる、あるいは消費者の意見を聴くという観点から、審議会の委員として、消費者団体の役員等を中心に選任しているところ、当委員会の調査の結果、運輸審議会については、国会同意にはなっているものの、消費者団体の役員等から委員を選任していないことが確認できた。」とし、消費者団体の代表等の選任を求められています。

以上のことから、当連盟は今回の運輸審議会の委員再任人事案に強く反対し、真に消費者の権利・利益を代弁できる人材の登用を求めます。国会におかれましては現・人事案は不同意とし、新たな人事を政府に求めていただきたく思います。

 

以上

 

 (連絡先)  〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-9-19-207

日本消費者連盟(古賀)

           TEL 03-5155-4765   FAX 03-5155-4767