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タクシー料金はどうなる?消費者不在!規制緩和から強化に後戻り

2002年の小泉構造改革でのタクシーの規制緩和(改正道路運送法)で、タクシー営業の規制緩和がなされ、①認可制から事前届出制に②最低保持台数が60台から10台に③営業所および車庫が、所有からリースでも中古車でも可能等とされ、タクシー会社の新規参入が増え、台数も事業者が柔軟に増やせるようになりました。長距離などの割引も増し、ワンコインタクシーと呼ばれる初乗り料金500円のタクシーが出て、消費者の利便性も増しました。しかし、今秋の国会で、この規制が再び強化され、新規参入やベンチャー企業の参入を阻む規制強化がなされようとしています。

2009年に、タクシー事業者への規制が再び強化され、特定地域の指定により、供給過剰な地域での増車ができないよう、協議会と地域の関係者が一体となって「地域計画」を作成して減車に取組み、増車要件を厳格化し新規参入を阻害する、「特定事業計画」による規制が認められました。

一方、タクシー運賃は、車両数7割以上の事業者から申請があった場合に国交省が審査し、総括原価方式のもと、運賃水準の上限と下限の幅での「自動認可運賃」とされました。そして「適正利潤」を確保するために、自動認可運賃を下回る運賃の下限審査(実質値下げの禁止)が行われるようになりました。これらの減車や規制料金に反対するベンチャー業者による30余の行政訴訟が提起され、全国で争われています。

次期国会では、さらに規制強化のための「タクシー事業適正化・活性化特別措置法案」(通称、タクシーサービス向上法案)が、議員立法として提出されます。法案は09年の適正化法施行後、日車営収は増えてきたものの、毎年減少し続ける運送収入を、新規参入の阻止と強制減車を強化して大手事業者の利益を確保しようとするものです。

新法案の建前と本音

新法案では、02年の規制緩和で簡便な事前届け出制となった増車を国交相の認可制に見直すほか、新規参入の審査も厳格化。特定地域の指定基準は、同法成立後に政省令で定めるとされていますが、すでに全国の営業区域約640地域のうち、東京23区や道府県庁所在地の中心部など157地域は既に特定地域に指定されています。改正案では新たに減車の計画策定を可能とする「準特定地域」も創設されます。計画に基づく減車は独禁法の適用除外と明記し、協議に参加しない事業者には、国土交通相が減車を勧告できるとするなど、国交省の規制庁としての権限強化を盛り込んだものです。

02年の規制緩和での新規参入による競争に加え、その後の不況の影響もあり、タクシー1台当たりの売り上げ(日車営収)も従業員の給与も年々落ち込み、従業員の減給は続き、負担も増加しています。小泉改革で緩和された規制を再び強化することでタクシー事業者の収益基盤を改善し、運転者の賃金など労働条件の悪化を防ぐのが09年の「タクシー特措法」の目的とされていましたが、今回はそれ以上の規制を課すというものです。

新法は、競争激化や乗務員の労働条件悪化を防ぐ目的があるとされていますが、この法案では過労運転防止について明記されているのみで、従業員の勤務条件が改善される保障はみあたりません。違法な搾取、足切り制度、累積歩合、手巣量負担など乗務員は給料の低下とともに、様々な負担を強いられています。

経営者団体である全国タクシー・ハイヤー連合会は、族議員に働きかけ、国からの助成金や法制度改正で利権を保持しつつ、新規参入を阻害して市場を維持してきました。業界全体の自助努力や活性化への道を探らず、新規参入を阻害することは、業界全体の縮小を加速するとともに、公共の足、公共料金の側面をもつタクシーの需要を減退させ、消費者の利益を損なうものに他なりません。02年の規制緩和後、旅行をあきらめていた高齢者にタクシーで送迎するツアープランや、子供の塾やお稽古を送り迎えするキッズタクシーなど、新しいビジネスもうまれてきており、少子高齢化の中での消費者のための新たな需要を掘り起こすことこそ必要です。

アベノミクスで規制緩和や成長戦略が示される中、規制強化して国交省の権限を復活させるのは時代に逆行した法と言わざるを得ません。新法に反対し、より消費者目線でのタクシー業界はじめ関係省庁への要望を続けていきます。                           (共同代表 古賀 真子)