日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
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学校等での強制的なフッ素洗口等を推進しないよう 要望書を提出しました

 

集団フッ素洗ロ・塗布、水道水のフッ化は大問題!

集団フッ素応用を担保する歯科口腔保健法や、学校長が、歯科医師の指示に基づき行う、う蝕予防のために必要な医薬品を使用するものとして、フッ化物による洗口や塗布を推進する、「薬事法の一部を改正する厚生労働省医薬食品局長通知」により、各県での歯科保健条例が成立し、全国では集団フッ素洗口が激増しています。フッ化物洗口については、歯や口腔の健康を推進する上で効果的な方法の一つとして提示され、条例による推進がなされています。新年度を迎え、国の示した「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」に則って、都道府県や保健所、自治体、学校等において実施計画等がされており、地方議会でも質疑の対象とされています。

日本消費者連盟は他団体とともに、子どもたちの健康を守るために、小学校等で実施されている集団フッ素洗ロや、13年埼玉県吉川市で問題となったように、これまで何度か試みがされては住民の反対により阻止されてきた、水道水へのフッ化物の添加に反対しています。新年度を迎え、学校での集団洗口が計画されていると思いますが、強制的な「医療行為」が行われないよう、監視していきましょう。

安全性に疑問、効果も評価できない

フッ素洗ロを推進してきた米国歯科医師連盟(ADA)ですら「6歳未満の子どもに、フッ素洗ロは勧められない」としていますが、日本では全国的にフッ素洗口が学童や幼児にもすすめられています。強制力の働く学校で、有害である医療行為を、一律に全員対象に行うことには疑問があります。水道水への添加はもちろん、洗口も疑問視されている世界の潮流とは逆行した政策がまかり通っているのです。

フッ化物洗口ガイドライン(厚労省医政・健康局発、平成15年1月)の根拠となる、6歳から15歳を対象にした900ppm、週1回法の17年間の報告書は世界的評価に堪えないものです。また、1983年から歯科校医による治療、年2回の検診、治療勧告など環境の変化を評価しないで、「4歳から11年間洗口を継続することにより大きな効果が得られる」としていることは、フッ素の効果を過大評価するものです。

WHOだけでなく、アメリカ歯科医師会のフッ素局所応用科学審議会報告でも「6歳以下のフッ素洗口はリスクが効果を上回る」として推奨していません。また、毒性物質が発育中の脳に及ぼす神経行動への影響については世界的にも関心の強いところですが、2014年にフッ素はこの毒性物質にあたるとの報告がP Grandjean MD(南デンマーク大学環境医学)らによって報告され、脳神経発育障害の世界的な流行を防ぐための世界的な毒性除去機関の緊急設立が提言されています。

日消連では、3月20日に、厚労大臣あてに、子どもの健康を第一に考え、う蝕予防方法としてのフッ化物の応用を是とすることなく、歯科口腔保健法の改正や厚生労働省医薬食品局長通知(薬食発0316第2号)を撤廃し、学校等での強制的なフッ素洗口等を推進しないよう求める要望書を提出しました

 (共同代表 古賀真子)


 

2014年3月20日

厚生労働大臣

 田村 憲久 様

要請書

 フッ素問題全国連絡会

 日本フッ素研究会

特定非営利活動法人日本消費者連盟

集団フッ素洗ロ・塗布、水道水のフッ化に反対し、

歯科口腔保健法の改正や厚生労働省医薬食品局長通知(薬食発0316第2号)を撤廃し、

学校等での強制的なフッ素洗口等を推進しないよう強く求めます

私たちは、子どもたちの健康を守るために、小学校等で実施されている集団フッ素洗ロや、13年埼玉県吉川市で問題となったように、これまで何度か試みがされては住民の反対により阻止されてきた水道水へのフッ化物の添加に反対しています。

これまでも、学校の長が、歯科医師の指示に基づき行う、う蝕予防のために必要な医薬品を使用するものとして、フッ化物による洗口や塗布を推進する、「薬事法の一部を改正する法律等の施行等についての一部改正について」(厚生労働省医薬食品局長通知(薬食発0316第2号平成24年3月16日)の撤回・削除を求めてきました。

集団フッ素応用を担保する歯科口腔保健法(注1)やこの通知により、各県での歯科保健条例が成立し、全国では集団フッ素洗口が激増しています。フッ化物洗口については、歯や口腔の健康を推進する上で効果的な方法の一つとして提示され、条例による推進がなされており、地方議会でも質疑の対象とされています。

新年度を迎え、国の示した「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」(2012年7月23日)に則って、都道府県や保健所、自治体、学校等において実施計画等がされています。

しかし、フッ素洗ロを推進してきた米国歯科医師連盟(ADA)ですら「6歳未満の子どもに、フッ素洗ロは勧められない」としているところ、日本では全国的にフッ素洗口が学童や幼児にすすめられています。強制力の働く学校で、有害である医療行為を、一律に全員対象に行うことには疑問があります。世界的にも水道水への添加はもちろん、洗口も疑問視されているのとは逆行した政策がまかり通っていると言えます。

自治体の議員などが、議会で質問した際も、「フッ化物洗口については、歯や口腔の健康を推進する上で効果的な方法の一つとして提示されたもの。安全性と有効性について、十分情報提供したうえで、同意を得たうえで行う。保護者が納得して実施することが重要な課題であると認識している。それぞれの学校の実態に応じて対応していくもの」等の紋切型の答弁が多く、フッ化物応用の危険性が理解されておらず、半ば利権として子どもの健康を犠牲になされていることが、フッ素問題を深刻化させており、厚労省による、科学的根拠に基づく医療行為としての見直しを強く求めます。

2007年10月に日本弁護士連合会(日弁連)に、9の市民団体によるむし歯予防へのフッ素応用による人権侵害救済の申立が行われ、2011年1月には日弁連による「集団フッ素洗口塗布の中止を求める意見書」が提出されています。

意見書では、集団フッ素洗口・塗布の必要性・合理性には重大な疑問があるにもかかわらず、行政等の組織的な推進施策の下、学校等で集団的に実施されていることは問題であるとされています。フッ素洗口・塗布は個人の自由な意思決定が阻害され、安全性・有効性、必要性等に関する否定的見解についての情報提供がなされず、プライバシーも保護されないなど、日本における集団によるフッ素洗口・塗布に関する施策遂行には違法の疑いがあり、「学校等での集団フッ素洗ロ・塗布及び上水道フッ素添加を,「う蝕予防方法の普及(フッ化物)」の【計画】の中に含めないよう求める。」との意見が示されています(注2)。

フッ素洗口は、医療行為との見解が一般的でしたが、2012年10月に私たちが、厚労省の歯科衛生課との質疑応答をした際、貴省の担当官の方は「フッ素洗口はうがいとして行う日常行為である」との見解を示されました。しかし、フッ素洗口のように、医療用医薬品を用いて行われる行為は、医療行為そのものであり、医療者による十分な説明が必要ですが、試薬等により、安易に学校での洗口が進められているのが現状であり、法の趣旨や条例と厚労省担当官の認識にずれがあり、安易かつ強制的に洗口が進められていることは大きな問題です。

意見書の内容は現在でも十分にフッ素洗口等についての反対の論拠とされるべきものです。こうした意見を無視しての法改正等での一連の推進について、この度、改めて、見直しを求めるのは主に以下の理由に基づきます。

 (理由1)

フッ素洗口の有効性についての疑問

フッ化物洗口ガイドライン(厚労省医政・健康局発、平成15年1月)には、「フッ化物洗口法は、特に4歳から14歳までの期間に実施することが、虫歯予防対策として最も大きな効果をもたらすことが示されている」と記載されています。

この知見の根拠となる、6歳から15歳を対象にした900ppm、週1回法の17年間の報告書(注3)は、実験開始時(1970年)の虫歯本数と終了時(1987年)の虫歯本数の(群内)比較であり、対照群や二重盲検法ではありません。また虫歯本数で比較した予防効果は、虫歯保有率(虫歯経験者の%)での比較より高く出るとされています。

この実験期間17年のうち13年間では、虫歯保有率の減少はほとんど見られませんでした。1975年の5.61本(厚生省(当時)をピークに1980年代から全国的に虫歯が減少し、1983年から歯科校医による治療、年2回の検診、治療勧告、など環境の変化を評価しないで、「4歳から11年間洗口を継続することにより大きな効果が得られる」、とフッ素の効果を過大評価するものです。

(理由2)

フッ素洗口の安全性に対する疑問

1 WHO(1994年)は6歳以下の洗口を安全性の見地から禁忌としています。また、アメリカ歯科医師会雑誌2012年11月号:アメリカ歯科医師会のフッ素局所応用科学審議会報告によると、「6歳以下のフッ素洗口はリスクが効果を上回る」として推奨していません。審議会委員16名のうち、ほとんどがフッ素推進者でフッ素製品企業の利害関係者も数名含まれているとされる審議会ですらこのような結論を出していることが注目されます。

この報告は、信頼できるコクランレビューとMedline に記載された対照群のある71の比較検討実験を対象として評価しており、信頼できるものです、ちなみに、上記境論文は記載されていません。

2 フッ素だけでなく、毒性物質が発育中の脳に及ぼす神経行動への影響については世界的にも関心の強いところです。14年にフッ素がこの毒性物質にあたるとの報告が出されました。(注4)

脳神経の発育障害は、自閉症、注意欠陥多動性障害、失読症、その他の認識障害も含めると世界中に何百万人に及ぶとされています。

2006年にP Grandjean MD(南デンマーク大学環境医学)らは、鉛、水銀、ポリクロリネイティド ビフェ二ール、ヒ素、トルエンの5種を発育中の脳神経に影響する毒性物質としました。

ところが、今回の報告では、2006年以後2012年までの医学情報(pub med)に掲載された0歳から18歳までの文献を対象としたシステマチック レビューの結果、新たにマグネシウム、フッ化物(Fluoride)など6種を追加しました。

報告書では、脳神経発育障害の世界的な流行を防ぐ意味でも、世界的な視点に立った予防戦略が必要であり、新しい世界的な毒性除去機関の緊急設立が提言されています。

フッ素に関する記述は、p332左中段にあり、有機フッ素に関してはp333 左下段にあります。フッ素の記述は(参考文献44:ハーバード大学疫学、NIEHS環境系政府刊行物、Environ Healh Perspect 2012年)Choy Al,Sun G.らの主に中国の水道水中フッ素とIQポイントの調査であり、27文献のメタ アナリシスの結果、IQがフッ素濃度の低い対照地区に比べ平均7ポイント下がっている、との報告がされています。(今回の論文はNIH,NIEHSの支援を受けている、との記載が文末にあります。)

また、2013年11月に日本フッ素研究会と吉川市子どもの歯と健康を考える会が行った、ポール・コネット氏(前セントローレンス大学化学教授(ニューヨーク)の講演会では、フッ化物の水道水の添加は、

「フッ素そのものに生化学的な機能を障害する危険性があること、歯フッ素症(斑状歯)、甲状腺機能低下、骨折、骨肉腫やガンの増加、IQ低下など広範に及ぶこと」を様々な文献をもとに紹介されました。

コネット氏の講演会終了後、2013年11月末PTA連合会、12月4日の定例市議会で、吉川市長は「フッ素化はしない」と言明しました。しかし、その後の一般質問では、『フロリデーションの実施はしない。しかし、市としての推進啓発活動は続ける。』とフッ素洗口については積極的な方針であると答えました。自民党各県支部連合会の政策懇談会で、市町村や教育委員会へのなお一層の働きかけや反対運動への対策が意見交換されています。こうしたフッ素推進グループのロビー活動は日常化しており、集団フッ素応用の流れは止まりません。

貴職等が、子どもの健康を第一に考え、う蝕予防方法としてのフッ化物の応用を是とすることなく、歯科口腔保健法の改正や厚生労働省医薬食品局長通知(薬食発0316第2号)を撤廃され、学校等での強制的なフッ素洗口等を推進しないよう強く求めます

以上

(注1)      歯科口腔保健の推進に関する法律(平成23年8月10日法律第95号)

歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進するための法律であり、施策に関する基本理念、国・地方公共団体等の責務などが定められ、歯科疾患の予防や口腔の保健に関する調査研究をはじめ、国民が定期的に歯科検診を受けること等の勧奨や、障害者・介護を必要とする高齢者が定期的に歯科検診を受けることまたは歯科医療を受けることができるようにする等の内容となっている。

(注2)日弁連意見書(全文)

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2011/110121.html

(注3)境脩ら:小学学童におけるフッ化物洗口法による17年間の虫歯予防効果、口腔衛生会誌、38:116-126,1988.)

(注4)英国医学雑誌、Lancet 2014年3月号(online 2/15:添付)に、フッ化物が発育中の脳への障害物質(Developemental Neurotoxicant)の1つとして掲載される。

著者:P Grandjean MD(南デンマーク大学環境医学)、

   P J Landrigan MD(ハ-バ―ド大学環境医学、疫学)

(連絡先)

〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-9-19-207

特定非営利活動法人日本消費者連盟 (古賀)koga@nishoren.net

フッ素問題全国連絡会(秋庭)  fmember@freeml.com

                    日本フッ素研究会     fluoride@fusso.jp


 

*コネット氏の講演会のDVDができました。

 2013年11月に日本フッ素研究会と吉川市子どもの歯と健康を考える会が行ったポール・コネット氏(前セントローレンス大学化学教授(ニューヨーク)の講演会では、フッ化物の水道水の添加は「フッ素そのものに生化学的な機能を障害する危険性があること、歯フッ素症(斑状歯)、甲状腺機能低下、骨折、骨肉腫やガンの増加、IQ低下など広範に及ぶこと」を様々な文献をもとに紹介されました(消費者リポート1551号参照)。

この講演のDVDができました!

お問い合わせは日本フッ素研究会(秋庭)へ:FAXのみ042 -754 -0019)

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