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【編集委員ブログ】予防原則を知らない人たち(2018年2月26日)

 

きっかけは昨年12月半ばに目にした新聞記事でした。子宮頸がんワクチンの安全性について執筆活動を続けてきたことを評価された医師でジャーナリストの女性がジョン・マドックス賞を受賞したという内容です。直後に厚生労働省が子宮頸がんワクチンに関する最新情報をウェブサイトで提供することを決めたとする記事を目にし、嫌な予感がしました。もしかしたら、子宮頸がんワクチン接種による被害をなきものにしようとしているのではないか――。消費者リポート2月号の特集は子宮頸がんワクチンに決まりました。

子宮頸がんワクチンは10代の少女に取り返しのつかない被害を出しています。被害が明らかになり始めた2011年当時、テレビや新聞等で取り上げられたので覚えている方もいると思いますが、子宮頸がんワクチン接種後に痙攣を起こしたり、歩けなくなったり、記憶障害を起こしたりした女性たちは今なお、さまざまな症状に苦しんでいます。

2013年に積極的な接種勧奨を中断したこともあり、接種率は1%程度にまで下がっているそうです。しかし、定期接種対象ワクチンであることに変わりはなく、政府が「積極的な接種勧奨再開」と決めれば、接種率が上がり、再び被害者が出かねません。

今回、取材を進める中で一番驚いたのは、子宮頸がんワクチンに子宮頸がんを予防する証拠はない、ということです。普通、子宮頸がんワクチンと聞けば、このワクチンを接種することで子宮頸がんに罹らないと思います。ところが実際は違うのです。予防できるかどうかよくわからないのに、接種によって甚大な被害を受けるかもしれない。医療関係者でなくても、こんなリスクとベネフィットがアンバランスなワクチンを推奨することはできないはずです。

子宮頸がんワクチンと被害の因果関係は証明できないと言う人たちは、予防原則を知らないのでしょうか。少なくともそれまで普通の生活を送っていた少女が接種後にさまざまな症状を訴えているのです。薬害オンブズパースン会議事務局長で弁護士の水口真寿美さんはこう言っています。「因果関係が証明されていないからといって対策を先送りにし、被害の拡大を招いた例は枚挙にいとまがありません」

(纐纈美千世)