日本消費者連盟 | すこやかないのちを未来へ

【意見書】遺伝子組換え表示制度に関する意見書

2017日消連第50号
2018年3月9日

消費者庁長官 岡村和美様
遺伝子組換え表示制度に関する検討会座長 湯川剛一郎様
遺伝子組換え表示制度に関する検討会 委員各位

特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 天笠啓祐
共同代表 大野和興

 

遺伝子組換え表示制度に関する意見書

 

私たち日本消費者連盟は1969年の創立以来、「すこやかないのちを未来につなぐ」をモットーに活動している消費者団体です。貴庁の「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」(以下、検討会)の第2回「消費者団体等からのヒアリング」で意見を述べましたが、改めて要望を申し上げます。

日本は大量の遺伝子組み換え作物を輸入しています。しかし、「遺伝子組換え」と表示された食品を目にすることはありません。これは、現行の遺伝子組換え表示制度が抜け穴だらけの不十分な制度だからです。同制度が施行された2001年以来、私たち消費者は「遺伝子組み換え原材料が使われていれば、『遺伝子組換え』と表示すべき」と訴え続けてきました。2017年4月に検討会が始まり、当団体を含め多くの消費者が表示制度の改善を期待していました。ところが、これまでの検討会では「表示にはコストがかかる」「今以上の表示は難しい」といった事業者の都合ばかりが強調され、消費者の知る権利・選ぶ権利は蔑ろにされています。2月16日開催の第9回検討会で示された「報告書(素案)」(以下、報告書案)も表示義務対象をまったく拡大せず、遺伝子組み換え食品を食べたくないと考える消費者の意向を無視した内容となっています。

私たちは自分が食べるものに遺伝子組み換え原材料が使われているかどうか知りたいと思っています。私たちには知る権利があります。消費者の求める遺伝子組換え表示制度に改善するよう、以下、意見を述べます。

 

1、すべての食品を義務表示の対象にすべきです
現行の遺伝子組換え表示制度では、義務表示の対象品目が8つの農作物と33食品群に限られている上、義務表示の対象品目であっても、食品の重量に占める割合が上位3位までで且つ全重量の5%以上でなければ「遺伝子組換え」と表示する義務はないため、ほとんどの食品が表示を逃れています。そのため、私たち消費者は遺伝子組み換え食品を食べたくないと思っても遺伝子組み換え食品を避けることができません。
大豆油などの食用油やしょうゆなどの加工食品が義務表示の対象外となったのは、組み換えられたDNA等が検出できないからとされていますが、原料段階で検査すれば遺伝子組み換えかどうかはわかるはずです。EUでは、食品の流通経路を生産段階から消費段階まで追跡可能なトレーサビリティの仕組みを基に書類確認と原料のサンプル分析によって、最終製品から組み換えられたDNAが検出できない食用油等の加工食品も義務表示対象となっています。日本でもIPハンドリングで分別生産流通管理をしている事業者がいますが、検討会でIPハンドリングの実態等について具体的な議論はされていません。最終製品に組み換えられたDNA等が残留しているか否かで判断する科学的検証だけでなく、書類での確認や原料の調査といった社会的検証も併せて行うことで、すべての食品を義務表示対象とすることは可能と考えます。
すべての食品を義務表示の対象とし、遺伝子組み換え原材料を使用していれば「遺伝子組換え」と表示する、消費者にとって分かりやすい表示制度への改正を求めます。

2、意図せざる混入の許容率の引き下げを求めます
現行の制度では、適切な分別生産流通管理を行っていれば、5%以下の意図せざる混入を認めており、検討会の報告書案にも「5%」を維持する方向性が示されていますが、これは高すぎると考えます。事業者からは許容率を引き下げるとコストが増大するという意見が出ていますが、どの程度コストが増えるのか、また意図せざる混入率の実態がどの程度かなどの具体的な数値は提示されていません。また、日本と同様、遺伝子組み換え生産大国の米国から大豆やトウモロコシを大量に輸入している韓国や台湾では意図せざる混入率を3%に設定していますが、韓国や台湾が「3%」に設定した経緯や、それぞれの実態などについて検討会ではまったく議論されていません。
事業者の都合のみで「現状維持」とするのではなく、海外も含め実態調査をした上で、可能な範囲での引き下げを求めます。

3、「遺伝子組換えでない」と表示できる条件は意図せざる混入の許容率に合わせるべきです
検討会では、「遺伝子組換えでない」表示が認められる条件を、現行制度の「5%以下」から「0%(検出限界以下)」に引き下げるべきという意見が出され、報告書案でもその方向性が示されていますが、これでは消費者は選択権を奪われてしまいます。遺伝子組み換え作物の生産大国である米国やカナダ、ブラジル、オーストラリアから大量の大豆やトウモロコシ、ナタネを輸入している現状では、厳しい分別生産流通管理を行っても、残念ながら混入率「0%」を担保することはほぼ不可能です。しかし、IPハンドリングで遺伝子組み換え作物の混入を可能な限り排除し、低い混入率を確保している事業者も存在します。遺伝子組み換え作物を使った食品には「遺伝子組換え」の表示をせず、きちんと分別生産流通管理し極めて低い混入率を確保している食品に「遺伝子組換えでない」の表示ができないようであれば、公正な制度とは言えません。
「遺伝子組換えでない」表示を認める条件は、意図せざる混入の許容率に合わせることを求めます。

以上