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【意見書】ゲノム編集技術など遺伝子操作技術の規制を求める意見書(2018年8月10日)

2018日消連第5号
18FSCW第9号
2018年8月10日

カルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会座長 大澤良様
カルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会委員 各位

 

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表 天笠啓祐
特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 天笠啓祐
共同代表 大野和興
食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子

 

ゲノム編集技術など遺伝子操作技術の規制を求める意見書

 今日、ゲノム編集技術やRNA干渉技術など、遺伝子組み換え技術に代わる新しい遺伝子操作技術(以下、「新技術」)による農畜水産物の新しい品種が開発され、その一部は実用化され、市場に出ています。私たちは、日本が遺伝子組み換え作物の輸入を始めた1996年当初より、その安全性には疑問があるなどの理由で食品の実用化に反対してきました。ゲノム編集などの新技術は遺伝子組み換え技術よりも安全とは認められず、少なくとも遺伝子組み換え技術と同等の規制をすべきと考えます。2018年8月7日に始まったカルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会では十分な議論が尽くされることを求めるとともに、拙速な判断をされないことを強く求めます。以下、私たちの意見を述べます。

1.新技術の安全性は確立されていません

 大きく偶然性に依存する遺伝子組み換え技術に比べて、新技術は確実・安全であるかのように宣伝されていますが、そのようなことはなく、不安は払拭できません。少なくとも遺伝子組み換え食品と同等以上の安全性の確認が必要と考えます。

(1)ゲノム編集技術はより確実に標的の遺伝子を破壊もしくは置換できると宣伝されていますが、実際にはオフターゲットやモザイクと呼ばれる意図しない標的以外の遺伝子の変化や破壊が起き得ます。標的とした遺伝子でもRNAの働きに変化が起き、蛋白質に変化が起きるなど、さまざまな機能への影響が考えられます。

(2)一連の操作の過程で、操作対象の生物の遺伝子を傷つける可能性が否定できません。結果として想定外の有害因子を生ずる可能性は否定できず、安全とはとても言えません。

(3)現在遺伝子組み換え作物で実施されている「実質的同等性」の審査は安全性の確認には極めて不十分ですが、新技術の食品ではそれさえも行なわれないとなれば、消費者には大きな不安となります。

 

2.新技術は自然に起こる現象とは言えません

 ゲノム編集によって特定遺伝子が破壊されることは自然界でも突然変異で起こるものであるので規制の対象としないという考え方がありますが、ゲノム編集による遺伝子の変換は、自然界に起こることとは質的・量的に異なり、けっして同等のものではありません。

(1)特定の遺伝子といっても、類似の遺伝子が多数存在しており、それらの多くが壊されたり影響を受けることは自然界ではありえないことです。自然界で起こる突然変異の頻度と異なり、遺伝子を破壊された動植物が次々と生み出され、増殖されていくことは、不自然と言わざるをえません。

(2)人為的な遺伝子の操作は自然に起こりうるものではあっても自然なものではありません。自然界にない特定の遺伝子を欠失した作物はカルタヘナ議定書にいう「遺伝素材の新たな組合せを有する生物」であり、遺伝子の改変には、挿入・置換だけでなく破壊も含まれるとすべきです。新技術の産物は「現代のバイオテクノロジーにより改変された生物」として取り扱うべきと考えます。

(3)新技術で作られた生物が規制対象外となれば、管理されない改造生物が野生化もしくは野生生物・在来種作物と交雑して遺伝子汚染をもたらす可能性があります。その結果、想定外の生態系への影響が出てからでは、もはや対応は困難です。

 

3.新技術食品は遺伝子組み換え食品と統合して規制すべきです

 上記1及び2の理由により、新技術により開発された食品は遺伝子組み換え食品と同等に扱い、環境(生物多様性)と人の健康に影響を及ぼさないよう、審査、規制すべきと考えます。遺伝子組み換え食品と新技術食品を合わせて「遺伝子操作食品」として規制の範疇を広げるべきと考えます。

(1)新技術食品は、完全に解明されているとは言えない遺伝子の働きに人工的に改造を加えるという本質において変わるところはなく、同じようなリスクを抱えているものと捉えるべきです。

(2)遺伝子やその働きにかかわる生命の仕組みを操作する新しい技術は、これからも次々に開発されると考えられます。これに対して規制が後手に回れば、取り返しのつかない惨禍をもたらさないとも限りません。

以上