日本消費者連盟 | すこやかないのちを未来へ

【意見書】「報道特集」におけるゲノム編集技術・食品の報道内容について(2019年3月27日)

 

2018日消連第14号
2019年3月27日

株式会社TBSテレビ
代表取締役社長 佐々木卓様
「報道特集」制作プロデューサー様

 

特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 天笠啓祐
共同代表 大野和興

 

「報道特集」におけるゲノム編集技術・食品の報道内容について

 私たちは「すこやかないのちを未来につなぐ」を理念に掲げ、1969年の創立以来50年にわたり活動している消費者団体です。

 2019年3月23日に放送された貴局の番組「報道特集」における「ゲノム編集食品~可能性と課題」を拝聴しました。わたしどもが政府に提出した「抗議文」に言及いただきましたことは、大変ありがたく思いましたが、番組全体を通しては、消費者・市民に誤解を与える内容であり、報道番組としては取材も分析も不十分だと感じました。早ければ今年の夏にもゲノム編集食品が私たちの食卓にのぼる可能性もある状況において、ゲノム編集技術およびゲノム編集食品の実態を正確に伝えることが求められているにもかかわらず、このような番組を放送されたことは、視聴者として残念でなりません。

 貴局のウェブサイトには、「報道特集は、(中略)話題のニュースの裏側を徹底追跡で当番組ならではの硬派な「調査報道」(後略)」とあります。しかし、「ゲノム編集食品~可能性と課題」は、ニュースの裏側を徹底追跡したとは言い難い内容です。わたしどもが問題だと考える点はいくつもありますが、2点に絞って指摘します。

 まず、ゲノム編集技術では標的遺伝子とは異なる遺伝子を改変してしまう「オフターゲット作用」が確認されており、一般的に言われている「遺伝子を正確に改変する」技術では決してありません。今回の放送でオフターゲットについてまったく触れていないことに驚きました。オフターゲットの問題点については国内外の学者が指摘しており、論文も多数発表されています。

 もう一つは、ゲノム編集が生命の基本であるゲノム(遺伝子)を操作する技術であることにまったく触れていないことです。番組全体としては「ゲノム編集技術は品種改良の時間を短縮するのと同じだと聞いて安心しました」というキャスターのコメントに象徴されるように、遺伝子をいじることへの問題意識が欠如している内容でした。遺伝子組み換え・ゲノム編集といった生命操作技術を考えるとき、わたしどもは、安心とか安全という枠を超えて、必ず生命とは何か、生命を操作するということはどういうことなのか、という問いを根底においています。これは核やAIといった現代技術全体につながる根源的な問いでもあります。それを番組に直に反映させろとは申しませんが、放映する側、制作する側は意識のなかに持っていていただきたいと願っています。番組を拝聴して、そうした意識や問いかけが感じられなかったのはとても残念でした。

 硬派な調査報道に尽力されている「報道特集」で、ぜひゲノム編集食品の問題点や危険性を知らせる番組を早急に放送していただきますようお願い申し上げます。

以上