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【要望書】コーデックス薬剤耐性対策に関する実施規範の原則5について最低でも原案の維持を求めます(2019年5月30日)

 

2019日消連第3号
2019年5月30日

厚生労働大臣 根本匠様
農林水産大臣 𠮷川貴盛様
消費者庁長官 岡村和美様

特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 天笠啓祐
共同代表 大野和興

 

コーデックス薬剤耐性対策に関する実施規範の原則5について
最低でも原案の維持を求めます

 2019年12月に韓国で開催されるコーデックス薬剤耐性に関する特別部会(TFAMR)に先立ち、現在、電子作業部会が「薬剤耐性の最小化及び抑制のための実施規範」(CXC 61-2005)の改訂原案へのコメントを募集しています。日本消費者連盟は、同規範の原則5「成長促進目的での使用に関する規定」について、2018年12月に韓国で開催された第6回薬剤耐性に関する特別部会で提示された原案(medically important antimicrobials やmedically important antimicrobialsに交差耐性を起こす抗菌剤の成長促進目的での使用はリスクアナリシスがなされた場合には廃止すべき)を最低でも維持すべきことを求めます。

 世界保健機関(WHO)は、薬剤耐性問題が人びとの健康に重大な危機をもたらすとしており、2050年までに薬剤耐性による死者は年間1,000万人を超えると報告されています[i]。抗菌剤は疾病の治療に欠かせないものですが、その効果を維持するためには使用量を著しく制限することが世界的に急務な課題となっています。

 一方、国によってはWHOの定める「医療にとって重要な抗菌剤」(Medically Important Antibiotics/MIA)の消費の3分の2が食用家畜に使われていること、その目的は成長促進と疾病の予防であることも指摘されています[ii]。「医療にとって重要な抗菌剤」を成長促進及び疾病予防の目的で常態的に使用することは、ヒト及び動物の健康よりも経済的利益を優先することに他ならず、薬剤耐性への危機を高めるものです。日本では、抗菌剤のバシトラシンが成長促進の目的で家畜に広く使用されていますが、バシトラシンがコリスチンと交差耐性を持つとする論文が2018年に発表されており、耐性菌につながる恐れが高まっています[iii]

 日本政府は原則5について「抗菌剤の成長促進目的での使用はリスクアナリシスがなされない場合には廃止すべき」という案を提示していますが、これでは薬剤耐性の最小化及び抑制は不可能です。日本消費者連盟は予防原則をとる立場から「抗菌剤の成長促進目的での使用はリスクアナリシスに関わらず廃止すべき」(第3案)と考えますが、最低でも冒頭で述べた原案を維持するよう強く求めます。

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[i] https://researchbriefings.parliament.uk/ResearchBriefing/Summary/CDP-2017-0074#fullreport  Number CDP 2017/0074, 6 March 2017

[ii] https://www.who.int/en/news-room/detail/07-11-2017-stop-using-antibiotics-in-healthy-animals-to-prevent-the-spread-of-antibiotic-resistance WHO プレスリリースPress Release 2017年11月7日

[iii] https://msphere.asm.org/content/msph/3/5/e00411-18.full.pdf American Society for Microbiology, “mSphere”, September/October 2018 Volume 3 Issue 5 e00411-18