日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
企業や国家の利益よりも人のいのちや健康を優先する世の中に変えたいと活動しています。

【編集委員ブログ】N氏の朝(2017年12月4日)

古い話で恐縮ですが、1970年代に未来予測や未来論がさかんだった時期がありました。その時、通産省(現在の経産省)が「N氏の1日」という、ある男性の未来予測を描いたことがありました。詳細は覚えていませんが、ロボットが活躍するなど、未来がバラ色に描かれていました。

いま「N氏の1日」の近未来予測を描くとどうなるでしょうか。これは架空の話ですが、現実に起きつつあることです。N氏の1日は睡眠中から始まります。体に装着した健康管理の機械により血圧や体温、呼吸数といった睡眠中のデータが測定されていきます。起きた後に機械のデータがスマホを通してチェックされ、数値に変化はないか、健康に異変がないかが告げられます。

起床もまたスマホがもたらします。スマホの目覚ましで起きる毎日の起床時間が記録されます。それらのデータは、グーグルなどのデータとなって、当人の病気や健康の管理に用いられるだけでなく、行きつけの病院のデータとなり、健康保険の管理に使われ、同時に製薬メーカーや健康食品メーカーの販売戦略にも用いられます。

ちょっと血圧が高いと高血圧と診断され、ちょっと血糖値が高いと糖尿病予備軍と診断されるだけでなく、データは両親や子ども、親せきのデータと照らしあわされて、遺伝的な疾患があるかないか、どうすれば健康が維持されるかといった勧告とともに、推奨される医薬品や健康食品が示されていきます。これはまだ、1日の始まりです。この続きは、2017年12月号の本誌で。

(天笠啓祐)