日本消費者連盟 | すこやかないのちを未来へ

2017年5月号「農薬が子供の脳神経を冒す」

ここへきて高まる ネオニコ規制を求める運動

世界から見れば異常ともとれる日本のネオニコの規制緩和ですが、ここへきて規制強化を求める市民運動 が高まっています。また、小規模の生協がネオニコを使わない農家と有機作物を増やし、有機農業の団体が 給食と提携するなど、国の規制を待たずに独自に活動を広げています。

パブコメや反対署名の提出

環境保護団体グリーンピース・ジ ャパンは、EUがネオニコ規制を決 めた直後の2014年から活動を始めました。日本だけ逆行する残留基 準の緩和や新たなネオニコ承認に対して、反農薬東京グループなど他団体とも協力して、パブリックコメン トや反対署名を提出してきました。 議員への働きを強めたこともあり、農林水産省は年末の国会答弁で「農薬の使用規制を含めた必要な 措置を検討していく」と明らかにしました。その一方で、厚生労働省が いったん中止されていたネオニコ系スルホキサフロルの承認審査を2月 に再開しています。農薬を推進した い勢力との綱引きが続いています。 あわせて消費者との接点となるス ーパーに、有機作物の扱いを増やし てもらう要望も出しています。2月 にはイオンから、「2020年まで に国産の有機野菜の取り扱いを高 め、北海道から沖縄まで有機野菜コ ーナー常設店舗を増やす」との回答 を得ました。

「ネオニコフリー」運動

食品流通の中心はスーパーですが、消費者が食の安全を保障してくれると期待するのが生協です。その最大組織である日本生活協同組合連合会は、14年に「ネオニコが日本の蜂群数の減少に関与している事実は見つけられない。人への毒性は低い」との見解を発表しています。行政の政策を鵜のみにする姿勢には、残念ながら消費者本位は感じられません。

一方で小規模の生協が、ネオニコを使わない作物を増やす「ネオニコフリー」運動を進めています。関西5生協、四国全県1生協で運営するコープ自然派事業連合は、10年に取り組みを始め、現在コメはほぼ全量、青果は約6割がネオニコ不使用です。

15年には、鶴を呼ぶコメ生産者との学習会、長野県のリンゴ産地への組合員訪問などを通して、無農薬への転換を実現しました。今年4月からは、ピーマン、トマトなど野菜へのネオニコフリーマークの表示を始めました。常勤理事の鎌田妙子さんは、「消費者が生産者とともに学び、生産者が消費者の思いを受け止めて実現してきた」と振り返ります。

コープ自然派は、約40年前の設立当初から農薬を問題視し、ネオニコが普及する前の有機リン系も優先排除農薬として取り組んできました。こうしたこだわりが、30〜40代の新世代にも評価され、組合員数は4年連続10%増と伸びています。

コープ自然派を含め、ネオニコフリーに積極的な、よつ葉生協やあいコープみやぎなどが集まり、11生協・連合会がネットワーク21という緩やかなつながりを作っています。リレー学習会に取り組み、今後は全国にネオニコフリーを広げていく方針です。

有機農家が保育園給食と提携

有機農業の普及をめざす消費者と生産者の団体、日本有機農業研究会は、16年に有機農家と保育園、幼稚園など施設給食との提携を積極的に進める方針を打ち出しました。有機農業推進協会とも協力して、有機農家と施設との出会いの場を提供し始めています。有機給食に切り替えて15年経つ東京のエイビイシイ保育園(14ページ参照)も、他の保育園への普及に力を入れています。