【緊急声明】国家安全保障戦略等の閣議決定に抗議し、政府に撤回を求めます(2022年12月20日)

岸田首相は、12月16日に防衛費倍増を前提とした国家安全保障戦略等の「安保3文書」の改定を閣議決定しました。「安保3文書」は事実上、中国を仮想敵国としています。そして戦争の発生を防ぐために「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有が不可欠とし、とりわけ南西諸島の「防衛力」の増強を図るとしています。

今年5月の日米首脳会談で、岸田首相はバイデン大統領の要求する防衛費の抜本的強化を約束しました。「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の 11 月の報告書では、「自らの国は自らで守るとの国民全体の当事者意識の共有が大切」「財政確保は、国民全体で負担する」ことが記載されました。これを受けて、岸田首相は防衛費をGDP比2%、現在の2倍の約 11 兆円まで引き上げると言い出しました。

敵基地攻撃能力とは、自衛の措置として相手の領域で有効な反撃を加える能力、他国の領域を攻撃する能力です。これは日本単独で行うのではなく、米国と一体化して米国の指揮のもと実行されるものです。また米国製の長距離巡航ミサイルトマホークを大量購入するなど、これまでにない攻撃能力のある武器を米国の言いなりで購入しようとしています。反撃能力は私たち国民のいのちを守るのではなく、逆に相手国の報復を引き出し、双方の国を戦場化することになります。

今でも憲法25条にある健康で文化的な最低限度の生活が保障されない人が増えています。防衛費を倍増することは、いっそうの貧困を生み出します。戦争が起きなくても、戦争する国づくりが進められる中で、さらに国民に痛みを伴う増税が課され、社会保障費が削られ、個人の意見を表明しづらい重苦しい世の中になっていくことが想像されます。

日本消費者連盟は、「すこやかないのちを未来につなぐ」をモットーに、いのちを断ち切る戦争に反対し、憲法9条のある日本で、敵基地攻撃能力を保有することに断固反対します。またすこやかに生きる権利を侵す「戦争する国づくり」も認めません。思いを同じくする広範な人々とともに、国家安全保障戦略等の閣議決定に抗議し、政府に撤回を求めます。

2022年12月20日
特定非営利活動法人 日本消費者連盟