2020日消連第15号
2020年8月25日
寿都町長 片岡春雄様
特定非営利活動法人 日本消費者連盟
共同代表 大野 和興
共同代表 纐纈美千世
要請書
高レベル放射性廃棄物の最終処分場調査応募検討の白紙撤回を求めます
今般、貴職は、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定にむけた第一段階にあたる「文献調査」に応募する方向で検討すると表明し、9月中には判断することを明らかにしています。原発から出る核のゴミは、安全なレベルになるまで10万年かかるとされており、地震の多発する日本では地層処分は困難だと考えられます。
北海道は、豊かで優れた自然環境の恵みのもとで北国らしい生活を営み、個性ある文化を育んできたことから、2000年には「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」を制定し、北海道の自然環境を将来に引き継ぐべく、核のゴミの持ち込みには慎重に対処し、受け入れ難いと宣言しています。
このたびの貴職の応募検討の表明は、条例そのものの趣旨に違反するもので、北海道民の意思を踏みにじるものと言わざるを得ません。
今般の応募にむけた検討は、貴職が随所で意見表明されているところによると、第一段階の「文献調査」で10億円(最大20億円)といわれる交付金を獲得し、寿都町財政を確保せんとするものと思われます。しかしながら、地域経済を原子力事業に依存するならば、第一次産業は衰退の一途を余儀なくされ、長期的には寿都町の荒廃に繋がる恐れがあります。
当然のことながら、近隣3町村長からは強い懸念が表明され、再考の要請がなされています。また、鈴木北海道知事からは、事実上の反対が表明され、時間をかけて慎重に判断すべきとの指摘がなされています。さらには、8月21日には地元漁協(石狩地方9漁協)が貴職に「核のゴミは北海道に持ち込んで欲しくない」と抗議文を手渡しています。
このように、今般の貴職の唐突な表明は、多くの北海道民、さらには全国の心ある市民・住民に広範に驚きと怒りを巻き起こしています。
ついては、日本消費者連盟は、貴職の今般の応募にむけた動きに対して、強く抗議するとともに、下記のとおり要請します。
記
片岡春雄寿都町長は、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定にむけた「文献調査」の応募への検討を白紙撤回すること。
以上