日消連が、国に対して要求を出す時に、いつも直面するのが「官僚の壁」です。とくに私たちと関わりが強い省庁(農水省、厚生労働省、消費者庁など)は、国民の健康と福利の向上をめざす機関です。実際は私たちの要求の前に立ちはだかり、あるいは建前上「理解できます」という回答でごまかすしかない、つまり国民にとっての「障壁」と化しています。
多くの国民は、このような現実の姿をリアルに理解できているでしょうか。近年は多国籍企業の力が肥大化し、これら大企業群は、本来国民の利益を守るべき政府機関を、企業利益を保護する手足にしてしまっています。さらに、それらの製品の広告に依存するマスコミに睨みをきかせて、真実の報道を遮断しています。
日消連の創設者だった竹内直一さんは、中央官庁に身を置いていた体験から、「役所任せ」がいかに危険かを知っていました。市民・消費者は、自前の運動を立ち上げ、大衆運動として盛り上げなくてはならないと提唱しました。私たちの障壁を崩していく道は、私たちの運動の裾野を広げ、勢力を結集してゆく以外ないと実感しています。
(池上明)