日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
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【運営委員ブログ】マレーシアの農業は大きな転換点(2020年3月27日)

農薬を使用しない農業を推進するNGOの国際農薬監視行動ネットワーク(PAN)は、マレーシアの首都クアラルンプールの近郊で有機農業を広げる活動をしています。これまで農薬を多用していた農民に対し、農薬の有害性を説明した上で、農薬を使用しないで生産する実践的な講習を行っています。

 昨年度、PANのメンバーとともに、そのプロジェクト地にある国立農業センター(MARDI)を訪問して、私は大きなショックを受けました。そこの所長は、その時、イネの稚苗を大量に育て、これを農薬や化学肥料とセットで農民に配布しているとのことでした。MARDIというのは、日本でいえば茨城県つくば市にある国立機関に相当する影響力のある機関です。そのような機関が、種や苗などの品種改良だけでなく、あたり前のように農薬などを配布するとは……。

ところが今年度行ってみると、様子が全く違っていたのです。このMARDI の所長が農民とともにPANのプロジェクトに加わっており、かなり広いMARDIの圃場を「有機実験圃場」として誰でも見学できるようにしていました。国立農業センター所長が有機農業への関心を深めて動き出した!このことは大きな喜びで、これからのマレーシア全体の農業に良い影響を与えるものと期待しています。

 

(日本消費者連盟運営委員 農薬問題専門家 田坂興亜)