昨年12月、日消連とも親交がある市民団体「アジア太平洋資料センター」(PARC)の共同代表の大江正章さんが急逝されました。出版社「コモンズ」を1996年に創設し、農や食、アジアなどをテーマに、暮らしを見直し、新たな価値観を伝えることをモットーに多くの本を発刊。病院と仕事場を往復していた昨年も「有機農業大全」「写真集キャンドル革命―政権交代を生んだ韓国の市民民主主義」「甘いバナナの苦い現実」などを世に出しました。
ジャーナリストとして、活動者としても、地域作りや農の実践、NGO活動にも尽力し、私もともに、茨城県石岡市で田んぼを借り、有機・無農薬の米作りを続けてきました。新潟県の農家で育った私は当初、「都会育ちの者に農がわかるか」と内心思っていましたが、泥だらけになり苗を植える姿に不明を恥じました。
いま「大江さんを偲ぶ会」を行おうと、多くの人が集まっています。大学闘争の仲間から各地の農や地域活動の実践者、ジャーナリストなど。人同士とのつながりを重視してきた大江さんらしい会になりそうです。社名のコモンズの意味するものは「人と人とが結びあう場」。コロナ禍に改めてその意義を噛みしめたいものです。
(市村忠文)