日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
企業や国家の利益よりも、人のいのちや健康を優先する世の中にしたいと活動しています。

【運営委員ブログ】体臭を消さないで(2023年10月19日)

 

 

思春期の頃、父のニオイは大嫌いでした。大人になり家を出て、たまに帰った実家でかぐ父のニオイは、頼もしく安心感を与えるものでした。死の床にあった父には、ニオイがなくなり病院の消毒臭ばかりでした。

 

微かな化粧品と料理のにおいが混じった優しいニオイは、母のニオイです。母は病弱で度々入院を繰り返していたので、母のニオイは涙を誘います。小学生の頃、入院中の母の布団にこっそり顔をうずめ、母の残り香をかぎながら泣いていたことを思い出します。

 

夫との恋愛中、彼が流した汗のニオイは、男らしく精悍な香りでした。ミルクのニオイが愛おしく、快楽物質のドーパミンが出ずっぱりだったのは、もちろん我が子のニオイです。

 

体臭とは、その人の生活や食べ物などからあふれ出るもの。体調の変化も体臭でわかります。一人ひとり違う体臭(ニオイ)を発散することで、恋愛も発生します。つまり、生きていく上でとても大事なもの。誰もが同じ「香り」を身にまとう今の世の中は不自然です。もっと自分の体臭を大事にしてほしいです。どんなに素敵な人であっても、人工的な香りをつけていたら、がっかり。

 

(神聡子)