ブータンでは、2年半前にJICA(国際協力機構)支援による有機農業推進プロジェクトが始まりました。残り半年でこのプロジェクトは終了しますが、ブータンの新政権が有機農業推進のために2億4千万円の特別予算を組んで、大きく進展しようとしています。
日本を含む多くの国が、多大な予算をつぎ込んで軍事競争に狂奔する中で、それとは対照的なブータン政府の動きは着目に値します。このプロジェクトは、政府の積極的な後押しを得て、農薬や化学肥料を一切使わないで水田の雑草をコントロールし、しかも現在50%の主食であるコメの自給率を少なくとも75%以上に引き上げようとするものです。ブータン農業省の決断で、王立の農場内に巨大な圃場を確保し、有機稲作と大豆の生産による有機肥料作りが大規模に始まっています。
3月末からの私の訪問も、ブータンの人たち自身が積極的に関わって大きな前進をしている状況を確認することができ、大きな喜びを感じながら帰国の途についたことでした。(ブータンからの帰路、バンコクにて)
(田坂興亜)