食の安全部会
食の安全部会では、食に関わるさまざまな問題について、以下のような活動に取り組んでいます。主なテーマについての私たちの考え方は以下の通りです。月1回の部会を開催しています。
①学習会、講演会、映画上映会などの開催
②学習パンフレット、ブックレット等の発行、消費者リポートでの情報提供
③政府への意見書提出と意見交換、企業への質問状送付
④市販品等の調査活動 など
・遺伝子操作食品
■遺伝子組み換え食品やゲノム編集食品などの遺伝子操作食品は、開発の過程で想定外の遺伝子の変化が起こり、有害物質などができる可能性があります。しかし遺伝子組み換え食品は「実質同等性」という安全性の確認とは言えない簡単な審査で許可され、ゲノム編集は何の安全性審査もありません。
■私たちは遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンや食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(食農市民ネット)、遺伝子操作に反対する生協などと連携して、遺伝子操作反対運動を進めています。
・食品添加物
■食品添加物は食品の製造加工に使われますが、消費者の目から見ると、必要以上に使用されている面があります。食品添加物の安全性は、動物実験の結果に安全係数を掛けることによって評価されていますが、それで十分な安全性が確保されているとは私たちは考えません。安全性に懸念のある食品添加物もたくさん使われています。
■私たちは食品添加物の安全性への疑問を消費者に伝え、安全性に懸念のある食品添加物の規制を求めます。
・農薬
■病害虫や雑草に対して使われる農薬は、同じ生物である私たち人間にも有害です。農地とその周辺の生物に対しても大きな影響を与えます。食品添加物と同様、動物実験による安全性評価には限界があります。
■私たちは農薬の削減と有機農業の推進を求めます。学校給食の有機化、生活環境での除草剤等の撒布中止を支援します。
・食品表示
■食品表示法に定められた、原料原産地・食品添加物・遺伝子組み換えの表示は、いずれも問題があり、実際に使われている食品添加物や遺伝子組み換え原料が隠されていたり、原産国がわからなかったりする状態です。
■私たちは食品表示の改善を求め、他の市民団体とともに設立された食品表示問題ネットワークで食品表示の抜本的改善に向けた運動を進めます。
主な問題点 | 私たちの要求 | |
原料原産地表示 | ○「輸入」の大括り表示で原産国が分からない。
○「国内製造」等の製造地表示が国産であるかのような誤解を与える。 |
○原料製造地表示の廃止。
○大括り表示の廃止。 |
食品添加物表示 | ○一括名と類別名が多い。
○表示免除の加工助剤、キャリーオーバー等の要件が不明確。 |
○一括名や類別名の減少。
○加工助剤やキャリーオーバーの表示免除範囲を減らす。 |
遺伝子組み換え表示 | ○表示免除の限度が5%と高いうえ、食用油や醬油などは免除され、ほとんど表示されていない。
○「不分別」の表示が分かりにくい。 |
○表示免除等の限度を5%から段階的に引き下げる。
○食用油や醤油等の表示義務付け。 |
ゲノム編集表示 | ○表示が義務付けられていない。 | ○ゲノム編集食品を含む遺伝子操作食品の表示義務付け。 |
・食品行政
◾食品安全委員会はBSE問題を契機に安全性評価は厚生労働省や農林水産省等から分離するということで設立されました。しかし安全性に懸念のある食品添加物や農薬、遺伝子組み換え食品などを唯々諾々と通しています。
消費者庁は、蒟蒻ゼリー事故やエレベーター事故を契機に消費者の安全を守るために設置されましたが、検討会などでは業界の言いなりで、一体誰のための消費者庁なのか、疑いたくなります。
政府は「統合イノベーション戦略」によって遺伝子操作技術を推進しています。
行政が業界ばかりを向いて消費者に一顧だにしないのは、多分に政治のせいです。
◾私たちは食の安全に関わる色々な問題で行政に意見書を提出したり意見交換をしたりします。選挙の際は各党に質問状を送り、また私たちの要望を伝えています。
環境部会
環境部会は2018年から、ごみの3R(減らす、繰り返し使う、資源に戻して利用する)の推進を柱に、地球環境を守るための活動をしています。とりわけ、プラスチックについて喫緊の課題として取り組んでいます。プラスチックは使用後の処理も困難で、ヒトを含む生物の体内にまで入り込み、有害化学物質を運びます。さらに、マイクロプラスチックによる大気・海洋・土壌汚染も深刻で、生態系を破壊しています。そのため、これまでのように企業が無責任に製造することなく、廃棄・リサイクル段階まで生産者責任を負わせることを、国に対し訴えています。また、リサイクルより製造そのものを減らす政策への転換を求めています。
- 使い捨てプラスチック製品について禁止や有料化を求め、散乱が懸念される製品にはデポジット制などによる責任ある回収体制の整備を、国や企業に要望しています。
- 消費者に対しては、一人ひとりが生活を見直し、環境負荷を削減するよう呼びかけています。
- 運動を広げるために、出版物の発行や講演会の講師派遣をしています。
- プラスチック問題以外でも、古紙問題、電磁波問題など生活環境に関わる問題を学習、調査しています。
洗剤部会
洗剤部会は、1969年の創立以来、人体にも環境にも悪影響のある合成洗剤を追放する運動を進めています。これまでに、洗剤・洗浄剤の明快な表示法改正を求める運動、水道水質基準のなかった非イオン界面活性剤の基準値設定を求める運動、PRTR法(化学物質排出把握管理促進法)の活用を進める活動などを、関係団体とともに行ってきました。2017年からは、強い香りの柔軟剤など着香製品による健康被害・香害(※)問題に取り組み、環境団体など7団体(※2022年からは6団体)による「香害をなくす連絡会」を結成して事務局を担い、活動しています。
※香害とは
柔軟剤、消臭除菌スプレー、制汗剤、芳香剤、合成洗剤などの強い香りを伴う製品による健康被害のこと。体臭は含まれない。
※香害をなくす連絡会の構成団体は、日本消費者連盟(事務局)、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、有害化学物質削減ネットワーク、化学物質過敏症支援センター、日本消費者連盟関西グループ、反農薬東京グループ。
活動内容
- 予防原則にもとづき、被害の原因製品を販売するメーカーに販売中止を求めるとともに、国の関連省庁に被害実態を伝えて原因製品の販売規制を訴えています。
- 消費者に以下のことを訴え、草の根の運動を進めています。
・合成洗剤と柔軟剤をやめよう
・香り付き製品をやめよう。
・香害を知り合いや社会に伝えよう。
・香害被害をメーカーに訴え、製造中止を求めよう。
・香害被害を国や自治体に訴え、規制をさせよう。
・新技術の安全性を常に考えよう。
・コマーシャルを鵜のみにせず疑おう。
・体臭を過度に気にする風潮を変えよう。
・ニオイのない自然な空気をとりもどそう。
・大量生産、大量消費の社会を変えよう。
- 運動を広げるために、出版物の発行や講演会の講師派遣をしています。
- 柔軟剤など着香製品の分析や香害を研究する専門家と連携して知見を広めています。
これまでの香害をなくす連絡会の活動
2017年
- 7月、8月・日本消費者連盟が電話相談「香害110番」実施。
- 8月・患者支援、環境団体とともに「香害をなくす連絡会」結成。
- 8月・消費者庁に「香害をもたらす製品の規制を求める要望書」提出。
2018年
- 2月・文部科学省に「学校等における香料を含む製品の使用自粛に関する要望書」提出。
- 2月・厚生労働省に「『香害』防止のための施策に関する要望書」提出。
- 3月・日本消費者連盟がブックレット「香害110番」発行。
- 5月・経済産業省に「『香害』をもたらす製品の規制を求める要望書」提出。
- 5月・院内集会「香害110番から見えてきたもの」開催。
- 12月・花王、ライオン、P&Gに対し、「衣料用洗剤、柔軟剤、除菌・消臭剤など家庭用品の香料成分開示を求める要望書」を提出。
2019年
- 3月・日本消費者連盟がDVD「香害110番」制作。
- 3月・文部科学省に「学校等における香料を含む製品の使用自粛を求める要望書」提出。
- 5月・経済産業省、環境省、厚生労働省に「G20に向け家庭用品へのマイクロカプセルの使用禁止を求める緊急提言」提出。
- 5月・院内集会「柔軟剤・香りマイクロカプセル」開催。
- 7月・東京都、東京都教育庁、東京都生活文化局に「学校等における香料製品の使用自粛を求める要望書」提出。
2020年
- 2019年12月末~2020年3月末・香害アンケート実施、9332人の声が集まる
- 3月・石けんをPRTRの指定物質にする案に反対のパブコメを提出
- 3月・高輪ゲートウェイ駅における「香り演出」中止の要望書提出
- 5月・国民生活センターに「柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供(2020年)」について要望書提出
- 7月・香害アンケート集計結果を発表する記者会見を開催
- 8月・岐阜県多治見市に「私企業の柔軟仕上げ剤を推奨することに関する質問書」を提出
- 9月・消費者庁、文部科学省、経済産業省、環境省、厚生労働省それぞれに、「香害をもたらす家庭用品の規制を求める要望書」などを提出、5省庁連絡会議の開催を要望
- 10月・ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便、西濃運輸に、「配送員の方の制服に関する柔軟仕上げ剤使用についての質問書」を提出
- 10月・花王、ライオン、P&Gに面会を申し込むも拒否され、香害アンケート結果を送付