日本消費者連盟
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【回答】ゲノム編集トウモロコシに関する公開質問状に対するコーンスターチメーカーの回答(2023年6月1日)

 

コーンスターチメーカーでゲノム編集トウモロコシを「使う計画はない」のは1社のみ
多くのメーカーは「情報がないため回答いたしかねます」と回答

 

3月20日にコルテバ・アグリサイエンス社によるゲノム編集トウモロコシの届出が厚労省によって受理されたことを受け、日本消費者連盟と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンが国内のコーンスターチメーカー11社にゲノム編集トウモロコシに関する質問状を送ったところ、10社から回答がありました。

コーンスターチの原料に従来のワキシ―コーンを使っているかの質問に対し、3社が「使用している」、7社が「使用していない」と回答しました。今後、流通の可能性があるゲノム編集トウモロコシ(ゲノム編集ワキシ―コーン)を使う計画があるか聞いたところ、「使用する予定はない」と明確に使用を否定したのは1社のみでした。ほとんどのメーカーは「情報がないので回答いたしかねる」と答えました。以下、回答一覧です。なお、いくつかのメーカーで消費者庁のホームページから同じ文章を抜粋していたため、回答欄には記入せず、欄外に<注釈1><注釈2>として掲載しています。

●コーンスターチメーカー回答一覧(以下の一覧表と同じ内容です)

 

企業名 [質問1] 貴社では、コーンスターチを製造する際の原料にワキシーコーンを使っていますか。使っているとしたら、それは食品用ですか、工業製品用ですか。 [質問2]食品用の使用がある場合、どのような食品ですか。使っていない場合、今後、食品に使う予定はありますか。使う予定がある場合、それはどのような食品ですか。 [質問3]ゲノム編集コーンを使う計画または可能性はありますか。使う計画または可能性がある場合、食品用を含みますか。またその場合、ゲノム編集コーンを使う理由は何ですか。 [質問4]ゲノム編集ワキシーコーンを使用する計画がない場合、ゲノム編集ワキシーコーンの流通後に混入を避ける分別流通をしますか。 [質問5]ゲノム編集ワキシーコーンを用いるか混入の恐れのある場合、その旨を表示しますか。もし表示する場合、どのように表示しますか。もし表示しない場合、それはなぜですか。
王子コーンスターチ 弊社では、ワキシーコーンは使用しておりません。 現状、使用予定はございません。 コーンスターチの原料となるとうもろこしにどのようなものを使用するかについては、顧客のニーズが重要になってきます。一方、ゲノム編集コーンがどのような品質特性を持っているかについて、現時点では情報を入手できていません。このため、ご質問に回答いたしかねます。 ゲノム編集ワキシーコーンの流通については、現時点でどのように流通するか不明なため、お答えしかねますが、国は、ゲノム編集ワキシーコーンを含むゲノム編集応用食品について、下記の考え方をホームページで公表しています。この考え方に沿えば、ゲノム編集ワキシーコーンはその変異の安全性の程度も従来の育種技術を用いた場合と同程度と考えられるとのことであり、分別流通管理する必要性は低いと考えます。(消費者庁HP「ゲノム編集技術応用食品に係るQ&A(ゲノム編集-2)」より抜粋)<注釈1> 国は、ゲノム編集ワキシーコーンを含むゲノム編集技術応用食品の表示については、下記の考え方をホームページで公表しています。この考え方に沿えば、ゲノム編集ワキシーコーンの表示を適正に行うことは、現時点では困難だと考えます。(消費者庁HP「ゲノム編集技術応用食品に係るQ&A(ゲノム編集-3)」より抜粋)<注釈2>
向後スターチ ワキシーコーンの使用はありません。 弊社はトウモロコシからコーンスターチ及び水飴を製造しており、現時点におけるワキシーコーンの意図的な使用及び使用予定はありません。 上記(左記)の通り、現時点の弊社の考えとして“ゲノム編集コーン”の意図的な使用及び使用予定はありません。一方、どのような原料を使用するかについてはユーザーのニーズも重要と考えており、且つ、“ゲノム編集コーン”に関する情報や今後の動向などが明確ではないため、現時点で今後の可能性等についてご回答することは難しいと考えます。 “ゲノム編集ワキシーコーン”については流通など各情報が不明なため、現時点ではお答えしかねます。一方、消費者庁の「ゲノム編集技術応用食品に係るQ&A」にゲノム編集ワキシーコーンを含むゲノム編集技術応用食品について記載があり、この考え方に沿えばゲノム編集ワキシーコーンはその変異の安全性の程度も従来の育種技術を用いた場合と同程度と考えられるとのことであり、分別流通管理する必要性は低くいと考えます。 消費者庁の「ゲノム編集技術応用食品に係るQ&A」に記載があるように、現時点ではゲノム編集技術を利用、使用しているかどうかを確認することができないため、ゲノム編集ワキシーコーンの表示を適正に行うことは、現時点では困難だと考えます。
サンエイ糖化 弊社では、コーンスターチを製造する際の原料にワキシーコーンを使用していません。 上記の通り、 弊社ではコーンスターチを製造する際の原料にワキシーコーンを使用しておらず、現時点ではワキシーコーンを使用する予定はございません。 現時点ではゲノム編集コーンを自ら使用する計画も可能性もございませんが、ゲノム編集コーンを使う計画または可能性の有無に関わらず、コーンスターチの原料にどのようなコーンを使用するかについては、安全安心に加え、安定調達、何よりユーザーニーズなど様々な視点で注視していくことが必要と考えております。一方、コルテバ社ではワキシーコーンがゲノム編集コーンの製品化第一号のようですが、これに続く種子会社各社のゲノム編集コーンの開発動向を把握しておらず、またこれらの品質特性の情報も入手できていません。このため、後段のご質問には回答いたしかねます。今後仮に、弊社が使用するデントコーンにゲノム編集技術が応用され製品化された際には、厚生労働省の見解や安定調達、何よりユーザーニーズを基にして検討することになると考えます。 現時点ではゲノム編集ワキシーコーンがどのように流通するかを把握しておらず、ご質問には回答いたしかねますが、国は、ゲノム編集ワキシーコーンを含むゲノム編集応用食品について、下記の考え方をホームページで公表しています。この考え方に沿えば、ゲノム編集ワキシーコーンはその変異の安全性の程度も従来の育種技術を用いた場合と同程度と考えられるとのことであり、現時点においては、ゲノム編集ワキシーコーンを使用する計画の有無に関わらず、分別流通管理する必要性は低いと考えます。(消費者庁HPより抜粋)<注釈1> 国は、ゲノム編集ワキシーコーンを含むゲノム編集技術応用食品の表示については、下記の考え方をホームページで公表しています。この考え方に沿えば、ゲノム編集ワキシーコーンの使用または混入の恐れの有無に関わらず、ゲノム編集ワキシーコーンの表示を適正に行うことは、現時点では困難だと考えます。(消費者庁HPより抜粋)<注釈2>
三和澱粉工業 はい。使用しています。食品用です。 でん粉及び加工食品です。 現在のところ、「PH1V69 CRISPR-Cas9 ワキシートウモロコシ」(以下「本ワキシートウモロコシ」という)を使用する計画はございません。弊社が現在得ている情報では、本ワキシートウモロコシに関しては、米国での商用流通はなく、日本への輸入もないと伺っています。ですので、本ワキシートウモロコシの詳細(価格や調達可能数量等、使用にあたって検討する必要があるすべての情報)は不明であり、今は使用の可能性を議論する段階ではないとの認識です。 国は、本ワキシートウモロコシを含むゲノム編集応用食品について、下記の考え方をホームページで公表しています。この考え方に沿えば、現時点では本ワキシートウモロコシは遺伝子組換え農産物ではないため、分別流通管理する必要性は低いと考えています。一方で、本ワキシートウモロコシの分別流通管理体制は、これが国内に輸入され、流通する段階にならないと弊社には状況がつかめません。実際にその段階になり、分別流通管理体制が整うのであれば、分別流通管理について検討いたします。(消費者庁ホームページ:別添 ゲノム編集技術応用食品に関する事項 ゲノム編集-2 より抜粋)<注釈1>+食品表示基準上も、組換えDNA技術を利用していないものは遺伝子組換え食品に該当しませんので、このようなゲノム編集技術応用食品は食品表示基準に基づく遺伝子組換え表示制度の対象外となります。 国は、本ワキシートウモロコシを含むゲノム編集技術応用食品の表示については、下記の考え方をホームページで公表しています。この考え方に沿えば、本ワキシートウモロコシの表示を適正に行うことは、現時点では表示の対象外であり、困難だと考えます。一方で、ゲノム編集技術応用食品であるか否かを知りたいと思う消費者様が一定数いらっしゃることから、適切な情報提供が可能な場合には、弊社がゲノム編集技術応用食品に関する情報提供を行うことを検討いたします。ゲノム編集技術応用食品であることの情報提供をする場合は、弊社自らが、食品供給行程の各段階における流通管理に係る取引記録その他の合理的な根拠資料に基づき、適正な情報提供を通じて消費者様の信頼を確保することに努めてまいります。(消費者庁ホームページ:別添 ゲノム編集技術応用食品に関する事項 ゲノム編集-3 より抜粋)<注釈2>+そのため、遺伝子組換え食品に該当しないゲノム編集技術応用食品及びそれを原材料とする加工食品については、食品関連事業者に表示を義務付けることは現時点では妥当ではないと考えられます。
敷島スターチ コーンスターチを製造する際の原料にワキシーコーンは使用していません。但し、ワキシーコーン由来の加工でん粉(食品添加物)を購入しています。 ワキシーコーンを食品用コーンスターチの原料に使用する予定はありません。一方、購入しているワキシーコーン由来の加工でん粉を原料とした加工でん粉を食品添加物として販売しています。これがどのような食品に使用されているかはわかりません。 コーンスターチの原料となるコーンにどのようなものを使用するかについては、ユーザーのニーズが重要と考えています。 一方、国はゲノム編集コーンを含むゲノム編集応用食品について、下記の考え方をホームページで公表しています<注釈1>。この考え方に沿えば、国が安全と判断され、届出が受理されたゲノム編集コーンが表示や通知なく流通できるため、将来的には意図せず使用している可能性はあります。但し、現時点では、今後のユーザーニーズや受理されるゲノム編集コーンの特性はわかりません。 ゲノム編集ワキシーコーンがどのように流通するかを把握しておらず、ご質問には回答いたしかねますが、 通常コーンにワキシーコーンが混入する可能性は低いと考えます。 また、国はゲノム編集ワキシーコーンを含むゲノム編集応用食品について、下記の考え方をホームページで公表しています<注釈2>。 この考え方に沿えば、国に安全と判断され、 届出が受理されたゲノム編集ワキシーコーンは、表示や通知なく流通できるようになります。 ワキシーコーンを使用する時は、 届出が受理されたゲノム編集ワキシーコーンであるかの表示か通知を業者へ求める予定です。 但し、国はゲノム編集ワキシーコーンを含むグノム編集技術応用食品の表示について、安全と判断され、 届出が受理されたゲノム編集食品は、 表示や通知なく流通できるようになるため、 業者を強制することは困難と考えます。 また、「ゲノム編集ワキシーコーンの混入の恐れあり」 の自主的な表示は、 妥当性に疑問が残ります。
昭和産業 コーンスターチを製造する際の原料にワキシーコーンは使用していません。 ワキシーコーン由来の 加工でん粉(食品添加物)を購入し、これを原料とした加工でん粉(食品添加物)を販売しています。 ワキシーコーンを食品用コーンスターチに使する予定は 現時点では ありませ ん。質問1の回答の通り 、購入しているワキシーコーン由来の 加工でん粉(食品添加物)を原料とした加工でん粉(食品添加物)を販売しております。 これがどのよ うな食品に使用されているかは把握しておりません。 コーンスターチの原料となるとうもろこしにどのようなものを使用するかについては、ユーザーのニーズが重要になってきます。 一方、ゲノム編集コーンがどのような品質特性を持っているかについて、 現時点では情報を入手できていません。このため、ご質問に回答いたしかねます。 ゲノム編集ワキシーコーンの流通については、 現時点でどのように流通するか不明なため、お答えしかねますが、 国は、ゲノム編集ワキシーコーンを含むゲノム編集応用食品について、 下記の考え方をホームページで公表しています。 この考え方に沿えば、ゲノム編集ワキシーコーンはその変異の安全性の程度も従来の育種技術を用いた場合と同程度と考えられるとされているため、分別流通管理する必要性は低いと考えます。(消費者庁HPより抜粋)<注釈1> 国は、ゲノム編集ワキシーコーンを含むゲノム編集技術応用食品の表示については、下記の考え方をホームページで公表しています。この考え方に沿えば、ゲノ ム編集ワキシーコーンの表示を適正に行うことは、現時点では困難だと考えます。(消費者庁HPより抜粋)<注釈2>
日本コーンスターチ 現在弊社ではワキシーコーンを使用しておりません。 今後使用する予定はありません。 現在弊社ではワキシーコーンを使う計画はありません。 分別流通が可能であれば、分別流通を行ないます。 国の方針に従います。
日本食品化工 食品用原料として使用しております。 弊社製品は業務用食品素材として販売しており、お客様がどのような用途でご使用になられているかは詳細を存じません。 ゲノム編集コーンが、加工適性や顧客ニーズに対してどのような品質特性を持っているかの情報を入手できていないため、ご質問にお答えいたしかねます。 ゲノム編集ワキシーコーンが、現時点でどのように流通するのか不明なためお答えいたしかねます。 法令に基づき適切に対応してまいります。なお、国が公表しているゲノム編集技術応用食品に係るQ&Aゲノム編集-3 (URL:food_labeling_act_190919_0011.pdf (caa.go.jp)) によれば、ゲノム編集ワキシーコーンの適正表示を行うことは、現時点で困難と考えます。
サナス 弊社ではコーンスターチを製造する際の原料にワキシーコーンは使用しておりません。 弊社では、現時点で今後、コーンスターチを製造する原料にワキシーコーンを使用する予定はございません。 弊社では、現時点でゲノム編集コーンの品質特性などの情報を入手しておらず、また、客先からのご要望などもいただいておりませんので、回答いたしかねます。 ゲノム編集ワキシーコーンを含むゲノム編集応用食品の流通については、現時点でどのように流通するか不明なため、お答えしかねますが、ゲノム編集食品の安全性についての国の考え方(消費者庁HP)に、『従来の育種技術でも起こり得るものであり、また、その変異の安全性の程度も従来の育種技術を用いた場合と同程度と考えられる』とありますので、この考え方に基づくと、分別流通管理を行う必要性は低いと考えています。 弊社では、ゲノム編集応用食品の表示については、国の考え方(消費者庁HP)に、『現時点では、ゲノム編集技術によって得られた変異と従来の育種技術によって得られた変異とを判別し検知するための実行的な検査法の確立が困難』、『国際的にもゲノム編集技術応用食品に係る表示に必要な情報を十分に得ることが難しい現状において、書類確認を基本とする社会的検証による表示監視でその真正性を担保することは困難』とありますので、現時点では表示を適正に行うことは困難であると考えています。
J-オイルミルズ ワキシーコーシを食品用途で使用しています。 食品用途で使用されていますが、どのような食品に使用されるかはユーザー様のニーズに因りますので、弊社からはお答えいたしかねます。 ゲノム編集コーンがどのような品質特性を持っているかについて、現時点では情報を入手できていません。このため、ご質問に回答いたしかねます。 ゲノム編集ワキシーコーンの流通については、現時点では不明ですが、流通した際は、食品表示制度に則った、適正な表示を致します。 食品表示制度に則った、適正な表示を致します。
加藤化学 未回答
<注釈1>ゲノム編集技術応用食品の中で、外来遺伝子及びその一部が残存しないことに加えて、人工制限酵素の切断箇所の修復に伴い塩基の欠失、置換、自然界で起こり得るような遺伝子の欠失、さらに結果として1~数塩基の変異が挿入される結果となるもの」は、食品衛生法上の組換えDNA技術に該当しない技術を用いたものとされています。これは、「それらの変異は自然界で起こる、切断箇所の修復で起こる変化の範囲内」のもので、組換えDNA技術に該当しない従来の育種技術(例えば、放射線照射や薬剤により人為的に不特定のDNAを切断し、自然修復の過程で生じた変異を得る突然変異誘発技術)でも起こり得るものであり、また、その変異の安全性の程度も、従来の育種技術を用いた場合と同程度と考えられるためです。
<注釈2>遺伝子組換え食品に該当しないゲノム編集技術応用食品については、現時点では、ゲノム編集技術によって得られた変異と従来の育種技術によって得られた変異とを判別し検知するための実効的な検査法の確立が困難であり、表示監視における科学的検証は困難であると考えられます。また、国内における食品供給行程の各段階における分別流通等の管理方法が確立されておらず、国際的にもゲノム編集技術応用食品に係る表示に必要な情報を十分に得ることが難しい現状において、ある食品がゲノム編集技術を利用して得られた食品かどうか、ある加工食品がゲノム編集技術を利用して得られた食品を使用しているかどうかを確認することができないため、書類確認を基本とする社会的検証による表示監視でその真正性を担保することは困難であり、実効的な監視体制を確保することはできないと考えられます。