日本消費者連盟
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【運営委員ブログ】日本学術会議法改正で脅かされる学問の自由(2025年7月22日)

 

4月に日本学術会議の独立性・自律性を奪う法案が成立しました。今後、学術会議は政府によって人事や運営が幾重にも縛られて、政府の統制下に置かれ、事実上自主的な活動が封じ込まれることが危惧されます。

2020年秋に当時の菅首相は学術会議の新会員6人の任命を拒否しました。この前代未聞の事態に学者・研究者のみならず多くの市民が反対し、大きなうねりとなり、日本消費者連盟も抗議声明を出しました。ところが、政府・自民党はこの暴挙を契機に、問題を学術会議のあり方にすり替えて、今回の法改正を着々と準備してきました。

日本国憲法には、思想・良心の自由や表現の自由に加えて、学問の自由が盛り込まれました。それは、戦前の侵略戦争の過程で、京大の滝川幸辰の憲法学説や美濃部達吉の天皇機関説などが政権から攻撃を受けて、体制に異を唱える研究者が次々と排斥され、科学者たちが戦争に協力していったことへの反省にたったものでした。日本学術会議は、新憲法の公布を受けて、1949年に経費は国費で担いながら、独立して科学のあり方を審議し、政府にも提言できる機関として誕生しています。

学問の自由は、大学教員だけではなく、市民1人ひとりに保障された権利です。最近、米国でもトランプ大統領によるハーバード大学などへの政治的介入が当然のごとく行われています。世界的に「戦争する国」づくりが進む中で、学問の自由が脅かされて残念でなりません。

(亀山亜土)