日本消費者連盟
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米国でまたBSE牛:日本政府のBSEの規制緩和に抗議し、TPPへの参加撤回を求めます

アメリカでまたBSE(牛海綿状脳症)感染牛が見つかりました。アメリカ政府のBSE規制は極めてずさんです。日本政府はアメリカ政府の圧力で日本の国内規制を弱めようとしてきました。今回の発見についても「特段の措置は必要ない」とし、規制緩和についても「食品安全委で科学的に検討することに何ら変更はない」としています。この問題は、政府がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加を推進していることとも深くつながっています。

日本消費者連盟では、国民の食の安全・安心よりもアメリカとの外交関係を優先する日本政府の政策に抗議し、次のような抗議声明を提出しました。


日消連第4号
2012年4月26日

内閣総理大臣
野田 佳彦 様

特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 天笠 啓祐
古賀 真子
真下 俊樹
山浦 康明

米国でのBSE発生をうけ、BSEの規制緩和に抗議し、TPPへの参加表明の撤回を求めます

冠省

2012年4月24日、米国政府は、カリフォルニア州で米国では乳牛1頭がBSEに感染していたと発表しました。米国でのBSE感染確認は2006年以来6年ぶり、4例目です。米国政府は「非食品への加工用の牛だ。飼料によらない型のBSEであった。食肉用として流通しておらず、人の健康面への危険性は決してない」などと釈明していますが、BSE対策がずさんである米国の状況が明白になったといえます。

アメリカ農務省(USDA)の統計によると、牛海綿状脳症(BSE)の検査を受けた牛の頭数は、2005年以降、約90%減少しています。2011年9月30日までの1年間に検査された頭数は約4万頭と、2005年の39万9,575頭から大幅に減少しています。米国内の消費者団体も、「検査率が低ければ、防護壁はより完全でなければならない。長期にわたって確認されていなかったのに今回確認されたのだから、監視体制を見直し強化するのは当然だ」としています。米国ではBSEの全頭検査が実施されていないことはもちろん、抜き取り検査もBSEが疑われるわずかな牛を対象にするにとどまり、食用の牛肉、乳製品の安全性確認は不十分です。飼料規制も不十分であり、肉骨粉が豚や鶏などの餌として利用されることにより、牛の餌に混ざってしまう交差汚染も懸念されていました。今回の事例の背後には数多くの隠れたBSE発生があるのではないかと強く疑われます。

日本政府が交渉参加方針を表明している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐる日米事前協議で、日本政府はBSE規制をめぐって現在、米国産牛肉の輸入対象を「月齢20カ月以下」から、「同30カ月以下」へ緩和することを検討していますが、米国における検査体制について調査し、米国政府に対して詳細な説明を求めるべきです。私たち日本消費者連盟は、安易な規制緩和をしないよう要請します。また、輸出条件の緩和など論外であり、BSEに限らず、遺伝子組み換え食品、照射食品の問題などについても、安全性基準緩和のグローバル化を促進するTPP参加についても強く反対します。

 連絡先:特定非営利活動法人 日本消費者連盟
〒169−0051 東京都新宿区西早稲田1‐9‐19 アーバンヒルズ早稲田207
℡: 03-5155-4765 fax: 03-5155-4767

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