2013年7月21日に行なわれる参議院選挙に際して、立候補者を予定している12の政党に政策アンケートを行ないました。
私たちは、憲法改正をどうするか、原子力発電、とりわけ原発再稼動をどうするか、TPP(環太平洋経済連携協定)への日本の参加の是非、この国会で審議されている「食品表示法」とこれから検討される原料原産地表示の拡大、遺伝子組み換え食品の制度改善と食品添加物表示の厳格化について聞きました。
日本の平和憲法のあり方、脱原発をどう実現するかなど、国のあり方や私たちの生存にかかわる重要なテーマです。またアベノミクスとも関連する貿易のあり方はこれからの私たちの生活に深くかかわる問題です。さらに食品表示ルールは消費者が食品を選択する権利を得て食の安全安心を確保するうえで大切な制度です。
昨年の衆議院選挙では自民党のマニュフェストはその後破られてしまい、公約のあり方も問われています。各政党には、この公約を破ることなく政治を進めてもらいたいと思います。
【「消費者リポート」1537号(2013.07.07)より】(共同代表・山浦康明)みなさま、政党の政策をよくみて投票に参加し、まわりの人々にもこのアンケート結果を知らせて投票を呼びかけましょう。
7.21参議院選挙前 政党アンケート
質問と回答(到着順)
1. 憲法改正 | 2. 原発 | 3. TPP | 4. 食品表示 | |
質問 | 憲法改正についてどう考えますか。第96条の改正規定を緩和すること、第9条平和主義を改正することに賛成ですか、反対ですか。その理由は何ですか。 | 原子力発発電はこれからどうあるべきと考えていますか。原発再稼働に賛成ですか、反対ですか。その理由は何ですか。 | TPPへの日本の参加をどう考えますか。日本のTPPへの参加に賛成ですか、反対ですか。その理由は何ですか。 | 食品表示制度をどう考えますか。「食品表示法」案をどう評価しますか。また加工食品の原料原産地の表示拡大、遺伝子組み換え食品の表示の厳格化、食品添加物の表示方法の厳格化などについて、賛成ですか、反対ですか。その理由は何ですか。 |
日本共産党 委員長・志位和夫 |
96条改定にも9条改定にも反対です。9条改定は、日本をアメリカとともに海外で戦争をする国づくりをねらったものです。96条改定は、単なる「手続き論」ではなく、主権者である国民の人権を保障するために憲法で国家権力を縛るという立憲主義そのものを否定するからです。 | 再稼働に反対です。安倍政権に、大飯原発を止め再稼働撤回することを強く求めます。原発は「収束」どころか、事故の原因もわからず、危機的事態の真っただ中です。原発は人類と共存できません。即時ゼロの政治決断を行ない、再生可能エネルギーへの抜本的転換をはかるべきです。 | 反対です。交渉参加表明の撤回を求めます。関税と非関税障壁をすべて撤廃するのがTPPであり、農業、食の安全、医療、地域経済などを崩壊させてしまいます。事前協議でも、重要農産物の関税確保の保障はなく、日本を丸ごとアメリカに売り渡すことが、明らかになりました。 | 「消費者の権利」を明記し、栄養表示の原則義務化など、消費者の要望を一定取り入れています。しかし、加工食品の原産地表示の拡大、添加物表示・遺伝子組み換え食品表示の厳格化などは、今後の検討課題としています。法案には基本的には賛成ですが、抜本的な改定が必要です。 |
生活の党 代表・小沢一郎 |
第96条改正については反対。憲法は国家の暴走を食い止め、国家から人権を守るための一段高い最高法規であり、そう簡単に改正されてよいものではない。今の議論は手続き論先行で筋違い。重要なのはどこを変えるべきなのかという中身の問題。また第9条の平和主義はわが国憲法の根幹をなす理念であり、当然堅持されるべきもの。 | 原発再稼働については反対。福島原発事故は収束していない。地震リスクの高いわが国の特色を考えれば、国家を崩壊させかねない原発とは、もはや決別する必要がある。 | 反対。TPPについて何がどうなっているのか、さっぱり説明がない。二国間でのFTAなどは進めるべきであるが、TPPについては国のかたちを変えるものであり、慎重な議論が必要。農業生産が3割減少し、医療保険や食の安全も危険にさらされるTPP参加には反対である。 | 「食品表示法」は必要。いままだ十分でない部分もより厳格化していくことが肝心。 |
憲法 | 原発 | TPP | 食品表示 | |
公明党 代表・山口那津男 |
平和、人権、民主の3原則は堅持しつつ、環境権など新たな理念・条文を加える「加憲」の立場です。9条は1、2項を堅持したうえで、自衛隊の存在や国際貢献の在り方を「加憲」するかどうか検討します。法律より厳格な改正手続を備えた“硬性憲法”の性格は維持すべきです。96条先行改正には慎重です。 | 原子力に依存しない社会を目指します。そのため原発の新規着工は行なわず、省エネルギー、再生可能エネルギー、火力発電の高効率化を進めるべきです。原発の再稼働については、原子力規制委員会が策定する厳格な規制基準を満たすことを大前提に、国民、住民の理解を得て判断します。 | TPP交渉に際しては、可能な限り情報開示を行ない、国民的なコンセンサスづくりを進めつつ、国益の最大化に努めるべきです。また、国民生活への影響を考慮し、とくに農業の多面的機能や食料自給率の向上に配慮するとともに、国民皆保険制度や食品の安全基準を守るべきと考えます。 | 食品表示法案は、食品衛生法などの3法に分かれ、複雑でわかりにくい食品表示制度の一元化を図るものとして評価します。加工食品の原料原産地表示の拡大などについては消費者利益の増進などの観点から賛成ですが、消費者や事業者などの意見を幅広く聴きながら検討し進めることが必要と考えます。 |
緑の党 共同代表・高坂勝、須黒奈緒、中山均、長谷川羽衣子 |
憲法は民主主義や人権・自由などの基本理念を定めた「最高法規」であり、政府の権力を制限しています。改憲制限の緩和は憲法の理念と立憲主義の根幹にかかわる問題であり、反対です。また、先の大戦での多くの犠牲と平和への願いで実現した憲法9条は守るべきだと考えます。 | 危険で不経済な原発を延命させるためにこれ以上人的・経済的資源を投入するのはやめるべきです。即時廃炉と核廃棄物の最終処分問題への対応、再生可能エネルギーの劇的な拡大に向けた政策的支援、効率的なエネルギー利用のための制度設計こそ必要であり、再稼働には反対します。 | TPPは、「モノ」だけでなく、あらゆる分野の「非関税障壁」の撤廃を目指し、ISD条項なども盛り込んでいます。多国籍企業や投資家の利益の下に市民の暮らしや地域の自立を犠牲にするTPP参加には反対。安全と公正の原則に立つ開かれた貿易関係を築いていくことが重要です。 | 生産者側による原産地偽装やキャリーオーバーなど、あいまいな表示によって消費者の安全安心が歪められている現状を鑑みれば、食品表示法を改善厳格化することは当然で、賛成。とくにTPPは遺伝子組み換え食品の輸入にもつながります。予防原則に基づいて、規制措置をすべきです。 |
憲法 | 原発 | TPP | 食品表示 | |
社民党 党首・福島瑞穂 |
現在、憲法を変える必要はないと考えます。第96条の改正要件の緩和は、憲法の安定性を損ない、権力制限規範である立憲主義憲法の力を弱めるものであり反対です。3分の2以上との発議要件は、世界的標準だ。第9条の平和主義の理想と枠組みは維持するべきで、改正には反対です。 | 原子力発電からは直ちに撤退を決めるべきです。将来世代に残す「核のゴミ」の量を、いま以上に増やすべきではありません。原子力抜きでも電力の供給は足りており、再稼働する必要はまったくありません。 | 反対です。21分野もの市場開放を強いられるTPPは国民生活の隅々に甚大な悪影響を及ぼします。また後発参加国には対などな交渉権や拒否権すら与えられない不平等条約であり、農産物の重要品目の例外確保など、日本の主張が受け入れられる保証はありません。即刻、交渉参加断念を求めます。 | 今回の食品表示法案は決して十分な内容とは言いがたいですが、消費者の権利明記や消費者団体訴訟制度の食品安全への適用などは一歩前進と考えています。先送りされた加工食品の原料・原産地表示拡大や食品添加物表示・遺伝子組み換え食品表示の厳格化は必須で、実現を政府に強く求めていきます。 |
民主党 代表・海江田万里 |
憲法改正にあたっては、ていねいな議論を積み上げ、広範な合意の成立を目指すべきであり、憲法96条の先行改正には反対します。また、日本国憲法が掲げる「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義」の基本精神を強化・発展させることが私たちの方針です。 | ①原発40年運転制限厳格適用、②原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ再稼働、③原発の新設・増設は行なわない、という原則を確立し、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する。原発再稼働については、上の原則に基づき判断すべき。 | 参加の是非は交渉結果次第であり、農産物の重要5品目、食の安全基準、国民皆保険、自動車などの工業製品に関する我が国の国益が守られることが大前提。安易な譲歩を重ねる安倍政権ではこれらの国益が確保されない懸念が強い。交渉には脱退も辞さない厳しい姿勢で臨むべき。 | 賛成。食品表示法案は、民主党政権下で検討してきた。消費者の権利の尊重と自立支援を基本として食品表示を制度化することは望ましい。法案成立後の検討課題については、消費者の権利と利益の確保を最優先とすることを強く求め注視していく。 |
憲法 | 原発 | TPP | 食品表示 | |
みどりの風 代表・谷岡郁子 |
96条、9条とも改正には反対。日本国憲法はその最高法規性ゆえに硬性憲法として厳格な改正手続きを定めており、発議要件を緩和しようとする96条改正はこの憲法の位置づけと矛盾する。また、9条の定める平和主義の堅持を望む声は大きく、9条改正の必要はない。 | できるだけ速やかに脱原発を実現すべき。福島第一原発事故の事故原因も明確になっておらず安全性の確保が不可能であること、原発なしでも電力は足りており、また、コスト面からも原発のメリットは完全に失われていることから、再稼働についても認められない。原発輸出にも反対。 | TPPには反対。TPPは米国多国籍企業のための協定であり、日本の主権をも侵す危険がある。聖域なき関税撤廃が原則であり、コメをはじめとする日本の農産品を守れる保証はどこにもない。また医療や保険、各種サービス分野などでも、国民を守るた めの制度が壊される可能性がある。 | 原料原産地の表示拡大、遺伝子組み換え食品の表示の厳格化、食品添加物の表示の方法の厳格化について、すべて賛成。食の安全が脅かされる事態が多発するなか、こうした規制を的確に運用することが求められている。こうした取り組みは日本の農業や食品産業の国際競争力向上にもつながる。 |
自由民主党 総裁・安倍晋三 |
賛成。自民党は立党以来憲法改正を掲げ、平成24年4月27日には「日本国憲法改正草案」を発表し、国民に自民党の考えを提示しております。この改正草案では、96条の改正規定を現行の3分の2から過半数に、9条を、平和主義を堅持しつつ国防軍を置くことと、しております。 | 賛成。日本経済再生には、安定したエネルギー供給が不可欠です。そのため、原子力発電を含めた総合的なエネルギーミックスを考えていく必要があります。原子力規制委員会で安全が確認された原発の再稼働については、地元の理解が得られるよう最大限の努力をいたします。 | 賛成。安倍総理が日米首脳会談で、TPP交渉では、「聖域なき関税撤廃」が前提とされるものではないと確認を行ない、その後、交渉参加を表明しました。我々は、交渉力を駆使し、わが国として、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻め、国益にかなう最善の道を追求します。 | 食品表示は、現在複数の法律に依拠している食品表示体制を整理統合するための、「食品表示法」案を、わが党でも熟議を尽くした後、政府・与党として食品表示法案を国会に提出ました。そこで、この法案の早期成立の後、関係者皆が納得いくかたちでの食品表示制度を構築していきます。 |
無回答 みんなの党、日本維新の会、新党大地
回答しない 新党改革