日本消費者連盟
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機能性表示食品制度に関する申入れ

 日消連と食の安全・監視市民委員会は、2015年4月に始まった機能性表示食品制度について、その不備を指摘し、制度改正を求める申し入れ書を2015年5月29日付で、内閣府消費者及び食品安全担当大臣と消費者庁長官に送付しました。

15FSCW第6号
2015日消連第1号
2015年5月29日

消費者及び食品安全担当大臣 山口俊一様
消費者庁長官 板東久美子様

食の安全・監視市民委員会
代表 神山美智子
機能性表示食品担当 植田武智
特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 安達由起
大野和興
田坂興亜

 

機能性表示食品制度の改正の申し入れ

 食品表示法に基づき4月1日に施行された、新たな機能性表示食品は、制度開始以後100件を超す届け出があったとされていますが、5月27日の段階で消費者庁のホームページに掲載された食品の情報は26件です。
現在までの運用過程で、機能性表示食品制度には多くの不備があることが分かりました。
とりあえず以下の2点について、至急、制度及び運用の改善を求めます。

1)販売前の申出制度の導入
企業が自己責任で機能性を表示できる制度において、情報の信頼性確保は、情報開示により国民のだれもがその中身をチェックできる点にあります。そのために販売開始前60日までに届け出をさせ、受理したものを消費者庁のホームページに掲載するという制度設計になっています。
事前に公表することにより、一般消費者も届出情報をチェックすることが可能であり、そこに不備を発見した場合には、食品表示法第12条に基づく申出ができることが重要です。機能性表示食品検討会及び説明会において、消費者庁担当官は、そう説明していました。
しかし、いざ制度が開始されて、食の安全・監視市民委員会運営委員の植田武智が、届出情報に違反事例を見つけ、食品表示法に基づく申出を行おうと準備していたところ、表示対策課食品表示対策室の担当官から、「食品表示企画課の見解では、食品表示法の申出制度は、すでに販売されている食品を対象としたものであり、販売前の機能性食品の届出情報については申出を受けることはできないという判断を下しているので、表示対策課としても申出を受理することはできない」と説明されました。
現在、表示対策課は、疑義情報の提供という形で受け付けていますが、食品表示法に定められた調査義務のある申出制度を受け付けないという判断は、機能性表示食品表示情報の信頼性を著しく貶める結果となります。消費者庁が定めたガイドラインに違反している食品等について、販売開始前でも、食品表示法に基づく申出を受理するよう改善することを求めます。

2)ホームページへの情報アップの日時を届出受理日とすべきである
企業が届出した情報は、随時消費者庁のホームページで開示されていますが、企業の届出日と消費者庁のホームページでの情報開示日の間に、大きな乖離が生じています。この傾向は日を追う毎に大きくなっているように見えます。
本制度は、企業に販売開始日の 60 日前までに消費者庁長官に届け出ることを義務づけているので、その受理日から60日経過後には販売が可能となります。
しかし、消費者庁による情報開示日が遅れれば、事前に一般消費者や国民が事前にチェックする日数が60日より少なくなることを意味します。
このままでいけば、事前届け出の意味がなくなる事態になりかねません。情報開示日を届出受理日とすることにより、一般消費者・国民の事前チェックが犠牲になることなく、制度の本来の趣旨が維持できることになります。
速やかに制度を改正されるよう求めます。

以上