2020年5月20日発行の「消費者リポート」をお届けします。
今月の特集は
新型コロナとどう向き合うべきか
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。日消連の活動も延期、中止を余儀なくされています。感染リスクや収入減で不安を抱えておられる方も多いでしょう。私たちはこんな時だからこそ、誰ものいのちや健康が守られる社会を維持し、 社会機能を回復し、ここから教訓を得て、ウイルスを含めた環境と調和する社会を目指さなければいけないと思います。
日本はたまたま、これまでSARS(サ ーズ:重症急性呼吸器症候群) やMERS(マ ーズ:中東呼吸器症候群)やエボラ出血熱など世界を揺るがせた感染症の対応を迫られることはありませんでした。「人類は感染症を克服した」 という誤った認識のもと、 感染症研究や公衆衛生部門の予算が削られてきました。しかし、地球環境が悪化し、グローバリゼーションが進む中で、従来の規模では考えらない感染症の拡大を迎えることになりました。
政府は、「新型コロナに打ち克ち、勝利した人類として五輪を迎えたい」と言っています。しかし、 人類はウイルスに 「勝つ」 ことができるのでしょうか。1年後に栄冠を手にしたはずの人類が、 また別の 「敵」 に翻弄されることを繰り返す可能性があります。いま過剰な消毒や新薬の開発に邁進する先に、生じる副作用による健康被害が懸念されます。また、それを口にすることをはばかられる社会の風潮を危惧します。
打ち克ち撲滅するという発想ではなく、 ウイルスが凶暴化しないように、 人間も地球環境や生態系をこれ以上崩さないことが求められています。並行して人間の医療、 保健、 住宅、 食料などいのちに関わる産業を、利益第一の市場競争から、人々が協調して生きる社会に取り戻すべき転換の時だと思います。この非常時を乗り越え、その後も生き延びるために確認したいことです。 日々、感染症の最前線で働く人々の声とともに、日消連がこれまで主張してきたことをさらに広く人々や企業、政府に訴えていきます。
本誌編集委員会
●コロナ禍の暮らしについて、 ご意見をお寄せください
今号は、予定を変えて新型コロナウイルス関連の特集としました。次号以降も新型コロナがもたらした影響について考え、今後の運動につなげられる特集にします。皆さんが今、感じていること、考えていること、または周囲で起きていること、伝えたいこと、困っている人がいないかなど、ご連絡ください。またコロナ禍の暮らしで、これまでの取り組みに確信を持ったこと、仲間と力を合わせたり工夫したりしていること、閉塞感がある中でも前向きになれる話題もお待ちしています。投稿はいつでもお待ちしていますが、6 月号制作に向けては、5 月29 日締切でお願いします。
ご意見は下記のいずれかの方法でお寄せください。掲載の折にはご連絡を差し上げますので、電話番号を明記してください。
◎メール report@nishoren.org(特設アドレス)
◎fax 03-5155-4767
◎郵送 〒169-0051 新宿区西早稲田1-9-19-207
━━━《内容》
1・表紙
2・農業問題は消費者の問題です(農民作家 山下惣一)
/表紙のことば
3・特集:新型コロナとどう向き合うべきか >>
4・削られる公衆衛生予算のもとで
感染症対策の拠点、 保健所の今 元・江東区保健所保健師 菊地 頌子(うたこ)/
感染研はPCR検査に邁進すべき バイオハザード予防市民センター共同代表、元・国立感染症研究所主任研究官 新井秀雄
5・迫られる「 いのちの選択」、 広がる病気への偏見
非常時に、 誰に命を託せるのか バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる~ 前会長大塚孝司/
「うつる病気」 への偏見と攻撃 日消連共同代表、 科学ジャーナリスト天笠啓祐
8・HOT NEWS
除草剤質問に鉄道会社の不誠実な回答 原 英二 (日消連・食の安全担当) / 脱焼却のごみ処理へ転換を 上原雅子 (秋津の環境を考える会事務局) / 広がるオンライン会議Zoomの危険性 小倉利丸 (JCA–NET理事、 富山大学名誉教授)
【連載】 放射能汚染ゴミのゆくえと「復興」 事業
第2 回 原発事故の後始末に群がる原発企業 和田央子(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)
10・News Clip:日本&世界の消費者ニュース 2020 年3 月25 日〜 4月23 日
11・そこが知りたいQ&A 1632号 (4月号)Q&Aについての再回答
マーティンの鵜の目鷹の目 理解できるように教えてもらえば、 世界は危険ではない
【情報スクランブル】日消連の最近の動き
12・新型コロナ禍の今こそ! おうちで読もう 日消連・出版物の特別割引キャンペーン 第1弾テーマ「 消毒」
13・Book:感染研を内部告発し市民とともに闘った人──『 科学者として』 (新井秀雄 著)/ Cinema:東京の干潟で乱舞する彼らは……───『 蟹の惑星』 (村上浩康 監督)
14・特集:新型コロナ特集(3 〜7 ページ) 関連企画【ワールドリポート】厳格外出制限のフランスから医薬品や農業労働を他国に頼ったつけが今 前田レジーヌ(翻訳家、国際有機農業映画祭運営委員)
15・事務局から&わせだより
16・連載 あの人に会いたい 未来につなぐいのち(5)食糧を等しく得る権利と分ける義務 マザーランド・アカデミー・インターナショナル代表 村上 章子さん