日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
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緊急抗議声明!TPPへの参加に反対します

世論の支持率増加に勢いを得て、TPPへの正式な参加表明をすることが危惧されます。日消連では緊急反対声明を内閣総理大臣あてに提出しました。日本の国家・社会の仕組み、国民生活の根幹、政治のガバナンスにかかわる大問題であり、国民の重要な権利侵害を含む政策をこのような形で進めることは許されません。関係団体へも反対の呼びかけをしましょう。

2013年2月25日
2012日消費連第34号

内閣総理大臣
安倍 晋三 様

特定非営利活動法人 日本消費者連盟
共同代表 天笠啓祐
古賀真子
真下俊樹
山浦康明

 

日米共同声明におけるTPPの参加表明に対する抗議

 

2013年2月23日(日本時間)未明に行われた安倍首相とオバマ大統領の日米首脳会談終了後、日本側が発表した共同声明の要旨によると、環太平洋経済連携協定(TPP)に関しては、日本がTPP交渉に参加する場合にも「すべての物品が交渉の対象にされる」としたうえで、「一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないことを確認する」という明文が入ったとのことです。

これを受けて安倍首相は会談後の記者会見で、「オバマ大統領との会談で、『聖域なき関税撤廃』が前提ではないことが明確になった」と述べ、帰国後、自民、公明両党から一任を取り付けたうえで、政府の専権事項として交渉参加を早期に判断する考えを示しました。

その後の報道によると、政府関係者の発言として、安倍首相は2月28日にも開かれる衆参両院本会議での施政方針演説でTPP交渉への参加を正式表明する方向で調整に入ったとされています。

自民党が昨年12月の総選挙の時に発表した公約で謳った、食の安全基準が引き下げられることにならないのか、国民皆保険を本当に守れるのか、ISD条項が入れられるのではないか、自動車など工業製品の輸入数値目標を設定するのではないか、政府調達・金融サービスの自由化が進められるのではないか、といった5つの非関税分野に存在する重要な懸念事項が全く払しょくされない状況で、わずか5日後に正式参加表明をするなど論外の暴挙です。

日本の国家・社会の仕組み、国民生活の根幹、政治のガバナンスにかかわる大問題であり、国民の重要な権利侵害を含む政策をこのような形で進めることは許されません。

厳重に抗議するとともに、正式表明をしないよう求めます。

連絡先

特定非営利活動法人 日本消費者連盟
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-9-19-207
TEL 03-5155-4765
FAX 03-5155-4767


(緊急)醍醐 聰さんに聞く

5つのチェックポイントーTPPの推進のウソを今一度検証しましょう!

その1

今のTPP加盟国のうち、日本はアメリカ以外の諸外国、特にアジアの多くの国とすでに2国間貿易協定を結んでいることをどれくらいの国民が知っているのでしょうか?

その2

「貿易自由化は世界の流れ」は今に始まったことではなく、GATT以来、ウルグアイランド、日米貿易交渉等で、日本は大幅に市場を開放してきました。その結果、日本の総合食料自給率は供給熱量ベースで1965年の73%から2011年(概算)には39%となり、約半減しています。TPPに参加しなかったら日本は貿易自由化の流れに乗り遅れるかのような誤解を与える選択肢を設けるのは致命的な誤りではないでしょうか?

 その3

TPPに参加することによって、日本の輸出は本当に増えるのでしょうか?

アメリカ向けの自動車、テレビなどがよく挙げられますが、アメリカの関税率は自動車2.5%、テレビ5%です。この程度の関税が撤廃されたからといって、金額的には大した輸出増になりません。なお、オバマ大統領はこの程度の輸入関税さえ撤廃するつもりはないと言っています。

また、近年、日本の自動車メーカーは海外生産比率を大きく伸ばしていますが、海外生産・販売の場合、もともと関税なしですから、TPPに参加して相手国の関税が低くなってもメリットはありません。

日本は米国からの輸入車に対する関税はゼロで、TPPに参加したからといって失うものはありませんが、アメリカが2012年4月の貿易障壁報告書等で非関税障壁と指摘してきた安全機能に関する技術基準の公表、規制緩和といった非関税障壁の緩和・撤廃を求められることは確実です。

*内閣官房「自動車についての米側関心事項に係る公表情報について」2012年6月6日
http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20120706/car_us0606.pdf

その4

農産物では、TPP参加国(加盟交渉国も含め)のうちの大国——アメリカ、カナダ、オーストラリアは軒並み、主要農産物の自給率が150%以上(輸出大国)です。これに日本が加盟するとなれば、日本向け輸出拡大のため、農産物の関税の大幅な引下げを要求されることは明らかで、日本の貿易収支は悪化するはずです。

その5

TPPが日本におよぼす影響は関税問題だけではなく、医療・食品表示・ISD条項など、非関税分野でも重要な懸念事項があります。上の自動車でアメリカが言う非関税障壁もその一種です。だからこそ、自民党は昨年の総選挙の時にTPPに参加するにあたって非関税分野のことで5項目の公約をまとめました。

TPPを問題にする場合、こうした点も国民に周知しておく必要があると思います。


消費者の立場からも、TPPの影響を強く受ける業界の団体に対して「TPPには反対です。政府に対して、明確に説明責任を果たすよう要請してください」というひと言メッセージを送りましょう!

メッセージ送付先:

JA全中(広報課)
03-6665-6010

日本医師会(意見送付先)
wwwinfo@po.med.or.jp

日弁連
Tel: 
03-3580-9841(代表)
FAX: 03-3580-2866
eメール: goiken@nichibenren.or.jp

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