日本消費者連盟
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人権侵害の「マイナンバー」実施凍結を求めます

住民登録をしているすべての日本人と在留外国人に12桁の番号をつける「マイナンバー制度」。この10月には個人番号が書かれた「通知カード」が送られてくることになっています。
政府は、「社会保障・税・災害対策の分野で効率的に情報を管理するため」と、同制度の重要性をアピールしますが、9月3日には法施行前にもかかわらず、改正マイナンバー法が成立し、預貯金やメタボ検診なども利用対象とされました。さらに、ここへきて消費税増税時の軽減税率問題にマイナンバーを利用する案まで浮上、どこまで利用拡大が進められてしまうのか、懸念は強まる一方です。
日消連は、国家が個人情報を一元的に管理・監視を行うマイナンバー制度に反対してきました。改めて、マイナンバー実施の凍結を求める申し入れをしました。

2015日消連第11号
2015年9月11日

 内閣総理大臣 安倍晋三様

特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 安達由起
共同代表 大野和興
共同代表 田坂興亜

マイナンバー実施の凍結を求めます

 消費税が10%に引き上げられる際、飲食料品について事後に上限額付きで2%を還付するという制度案が財務省から示され、論議を呼んでいます。この財務省案が実現されるかどうかはともかく、私たちは消費者・生活者の立場から、この制度案が持つ問題を深刻に受け止めています。

 それはこの案がマイナンバー制度を前提に組み立てられていることです。マイナンバーは市民の理解が進まず、自治体や企業などの準備も整わないまま、国会を通り、この10月には市民への通知が始まります。マイナンバーは個人情報を一元的に国家に集約し、管理する制度です。集約される個人情報は行政関連情報だけでなく、将来的には預貯金、健康保険や個人の病歴や、検査結果まで記載されているメタボ健診結果など個人の経済状況や心身の状況などをこのカードに紐付けしようというものです。

 これは国家によるプライバシー権、人権の侵害であることは明らかです。さらに、いまや完璧な情報管理はあり得ないというのは世界中の事例が示しています。国家に集積された市民の個人情報はいつ漏れ出て拡がっていくか、不安は拭えません。その上、国家に集められた個人情報はでビッグデータ化されて、企業に向け「商品」として流通する危険性は極めて高いと言わざるを得ません。

 財務省が提示した消費税還付制度は、飲食料品を小売店で買うたびにマイナンバーカードで登録するという仕組みです。市民の買い物行動は大根一本、豆腐一丁にいたるまで国家に集約、管理されることになります。しかも、消費税還付を受けようと思えば、嫌でもマイナンバーカードの交付を受け、常に持参しなければならなくなります。これは事実上のマイナンバー強制にほかなりません。

 このことは、マイナンバーが動き出したら政府の思惑と運用でその利用が強制され、しかもそこに紐付けされる情報は政府の都合でどこまでも拡大することを明らかに示しています。マイナンバーに対する市民の懸念は、今回の消費税還付への適用でいっそう深まったはずです。

 日本消費者連盟は消費者・生活者の人権を守り、国家による個人情報の管理・商品化に反対する立場から、以下のことを申し入れます。

1、市民の制度への疑念が晴れるまでマイナンバーの実施を凍結すること

2、仮に実施する場合は、以下のことを行うこと
(1)各種行政手続きにおいてマイナンバーを利用しなくても利用がスムーズに行えるよう代替方法を用意し、市民に周知徹底すること
(2)マイナンバーに紐付けする個人情報については、情報ごとに市民が拒否することができるよう拒否権を明確化すること
(3)マイナンバー情報の漏えいで市民に損害が発生した場合は、漏えいの理由がいかなるものであろうと、国は速やかに賠償すること。また、損害の立証を当該個人に課さないこと

 3、個人の購買行動をマイナンバーに集約し、政府が管理する財務省案を撤回すること

以上

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