2021年6月14日付でサナテックシード社に出した「ゲノム編集高GABAトマトに関する再々質問」に、同社から回答がありました。
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食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク
共同代表 天笠啓祐様
共同代表 河田昌東様
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表 天笠啓祐様
特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 大野和興様
共同代表 纐纈美千世様
サナテックシード株式会社
ゲノム編集高GABAトマトに関する再々質問への回答について
弊社が開発した高GABA トマトにご関心を頂き、また貴重なご意見を賜り感謝申し上げます。いただきました令和3年6月14日付「ゲノム編集高GABA トマトに関する再々質問」について、以下のように回答させていただきます。
記
1、貴社からは食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク宛に、安全性及び生物多様性影響に関する情報に関して例外を除いて公表する旨のご回答(2021年3月22日付)をいただいておりますので、企業秘密に属する部分を除く情報提供書の情報すべての開示お願いします。
食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク様へは以下のようにご返答しており、関係当局のフォーマットに従い、情報提供書の内容はすでに全て開示されております。
安全性および生物多様性影響に関する評価方法やその結果につきましては、届出や情報提供書として関係当局のHPにて公開されている通りです。データの開示の範囲については、経済活動の妨げになるデータ以外につきまして、関係当局のフォーマットに従い、すべて公開しております。
食品としての安全性について:厚生労働省HP「ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領に基づき届出された食品及び添加物一覧(通し番号1) 」
https:/ /www.mhlw.go.jp/content/000704532.pdf
環境影響について:農林水産省HP「情報提供書が提出された農林水産物の一覧」
①情報提供書
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/tetuduki/attach/pdf/nbt_tetuzuki-6.pdf
②ゲノム編集技術の利用により得られた生物の使用等に係る確認結果
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/tetuduki/attach/pdf/nbt_tetuzuki-4.pdf
2、貴社の高GABAトマト作出過程で起きた遺伝子の変異で、高GABAという性質以外にどのような変化があったと評価していますか。
3、戻し交配によってオフターゲットが取り除かれたと開いていますが、オフターゲットが除かれたことをどのように確認しましたか。
4、安全性及び生物多様性影響に関する影響評価の第一歩として、全ゲノム解析が有用と考えますが、貴社は実施していますか。または、その予定はありますか。
2、3、4、は形質や配列の変化の評価に関する質問ですが、厚生労働省への届出の「③ゲノム編集技術によるDNAの変化がヒトの健康に悪影響を及ぼす新たなアレルゲンの産生及び既知の毒性物質の増加を生じないことの確認」及び「④特定の成分を増加・低減させるため代謝系に影響を及ぼす改変の有無」の項目や農林水産省への情報提供の「8 当該改変により付与された形質の変化」及び「9 8以外に生じた形質の変化の有無(ある場合はその内容)」にて情報提供している通りです。
5、安全性評価のためには、動物実験(長期毒性試勝。を実施することが一つの方法と考えますが、貴社は実施していますか。または、その予定はありますか。
6、前記質問4及び5が未実施の場合、どのような根拠で安全と主張していますか。
7、高GABAトマトのGABAは通常のトマトよりも5~6倍程度多いと報道されていますが、過食による健康影響についてどのようにお考えですか。
5、6、7、は食品安全評価に関する質問ですが、今回厚生労働省へ届出を提出した「グルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子の一部を改変しGABA含有量を高めたトマト」は、ゲノム編集技術応用食品、つまり自然界または従来の育種技術でも起こっている範囲内での遺伝子変化しか起きていないとして、事前相談を通じ評価されております。従来の育種技術で開発された作物において、動物実験や健康評価試験は行われておりません。つきましては、我々の商品も実施する必要はないと考えております。
8、栽培されたトマトが在来種と交雑する可能性について、どのようにお考えですか。トマトは花粉の寿命が長く、交雑の範囲が広いことを生井兵治(元筑波大学教授)さんが指摘しています。この見解についてどのようにお考えですか。
生物多様性影響に関するご質問ですが、まず日本においてトマトと交雑する在来種はないと考えます。
9、貴社は希望者(事前応募者5,000人)に高GABAトマトの苗を4株ずつ配布する発表していますが、実際は何人に何株ずつ配布しましたか。都道府県ごと、市町村ごとの配布人数をご開示ください。
約4,000人へ苗4本ずつおよび肥料をお付けして配布をいたしました。配布先の詳細につきましては、お客様情報になりますので開示しかねます。
10、配布された高GABAトマトを摂取して何らかの不具合が発生した場合の情報は、軽微なものを含めて遅滞なく公表しますか。
種苗や食品を取り扱う企業として、法令や条例、公正なルールや社会規範を遵守し、社会倫理に沿った企業活動、適切な衛生・品質管理を徹底し、消費者の皆様に信頼していただけるよう努めてまいります。
ただ先にも述べたとおり、GABA高蓄積トマトは、自然界または従来の育種技術でも起こっている範囲内での遺伝子変化しか起きていないとして事前相談を通じ評価されております。そのため、通常の食品として摂取していただく分には、科学的に従来の品種改良と同等の安全性が担保されていると考えております。
11、高GABAトマトはクリスパー・キャス9を使って作出されたと聞いていますが、特許問題は解決済ですか。もし特許問題が解決済でない場合、苗を配布して問題はないのですか。
シシリアンルージュハイギャバはCRISPR/Cas9を用いて作出しております。弊社はCorteva Agriscience社およびBroad研究所(Broad Institute of MIT and Harvard)から非独占的研究・商業ライセンスを受け、この技術を使用しています。
12、今後貴社が加工用に高GABAトマトを供与される場合、すべてについて情報公開していただけますか。また、加工業者に対して必ずゲノム編集原料使用について表示するように契約していただけますか。
食品表示基準上は組換えDN A技術を利用していないものは遺伝子組換え食品に該当しませんので、ゲノム編集技術応用食品は食品表示基準に基づく遺伝子組換え表示制度の対象外となります。
しかしながら弊社は、シシリアンルージュハイギャパを用いた製品を販売する際には、情報提供として、ゲノム編集技術を利用して品種改良であることを明記した、右記のような表示を行います。
このロゴには世界中の人々が野菜で「健康になってほしいという願いが込められています。
また弊社は種子の生産販売からトマト生産そのものにも関与してトレーサビリティを確保するとともに、この加工トマトの品質を担保するために生産農家はすべて契約栽培にする計画です。