いまや社会問題となった香害が広まったのは、香料や抗菌消臭成分を詰め込んだマイクロカプセルを使い始めてからのことです。香りや消臭効果が長く続くので、本人も周囲の人も、長時間、繰り返し化学物質に曝露します。これが、健康被害を引き起こす大きな原因です。カプセルの素材はプラスチックであり、香害は、環境汚染問題でもあります。そして、香料の保留剤、プラスチックの可塑剤として、共通して使用されているフタル酸エステル類は、シックハウスの原因物質であり、環境ホルモンでもあります。
ここまで出てきた物質は、どれも石油由来の合成化学物質であることにお気づきでしょうか。生物への有害性を持つ農薬も、石油由来の合成化学物質であり、化学物質過敏症の発症原因ともなり得ます。
人類が、石油、鉱石などを地下から掘り出したことが、その後の社会に大きな問題を生み出しています。最近では、鉱山によりカドミウム汚染された土壌対策としての、「あきたこまちR」問題しかり。そもそも、ウラン鉱石なしには原子力も生み出されませんでした。人類は、何を求めて、何をしてきたのでしょうか。
(深谷桂子)