日本消費者連盟(日消連)は2025年7月の参議院議員選挙を前に、投票の参考にすべく、各政党に下記の質問状を送付しました。質問は、日消連が取り組む「食の安全」「食料と農業」「原発・エネルギー」「環境」「香害」「平和」について。送付先は、自由民主党、立憲民主党、公明党、日本維新の会、日本共産党、国民民主党、社会民主党、れいわ新選組、NHK党、参政党、日本保守党の11政党です。
————————————————————-
2025日消連第17号
2025年6月5日
政策担当者様
特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 亀山 亜土
共同代表 佐々木 ミヨ子
共同代表 原 英二
共同代表 マーティン・フリッド
第27回参議院議員選挙にあたっての公開質問状
私たち日本消費者連盟は1969年創立の消費者団体です。創立以来、「すこやかないのちを未来につなぐ」をモットーに食の安全や環境、平和を守るために活動しています。
さて、来たる7月の参議院議員選挙に際し、投票の参考にすべく、私たちの暮らしに関わる諸問題について貴党の見解をお聞かせいただきたく、以下質問します。お忙しいところ恐れ入りますが、6月18日までにご回答をお願いいたします。本文書の末尾にご回答用QRコードを掲載しています。必要に応じてご利用ください。なお、ご回答は当団体の機関誌やホームページ、SNSなどで公表します。
記
■食の安全に関する質問
(質問1)日本では遺伝子組み換え食品に続いて、新たな遺伝子操作技術でつくられたゲノム編集食品が出回っています。政府は、ゲノム編集技術は自然界の突然変異と区別がつかず、科学的な確認ができないとしてゲノム編集表示の義務化は難しいと言っていますが、トレーサビリティなど社会的検証によって表示は可能です。いま全国各地の地方議会からゲノム編集表示の義務化やゲノム編集食品に関する適切な表示を求める意見書が国に対して相次いで提出されています。表示は消費者の知る権利・選ぶ権利を保障するものです。消費者基本法も消費者の権利の尊重を基本理念に掲げています。ゲノム編集表示の義務化についてどうお考えですか。以下から1つ選んで番号に〇を付け、その理由をお聞かせください。
①ゲノム編集食品にも表示義務を課すべき
②ゲノム編集の表示は義務付ける必要はない
③その他( )
選択した回答の理由をお書きください。
(質問2)原料原産地表示は輸入食品を除く全加工食品に義務付けられています。ところが、パンや麺類など小麦を原料とする多くの食品には「小麦粉(国内製造)」と表示されており、これを国産小麦だと誤解している消費者も少なくありません。消費者からは「小麦粉(国内製造)」といった製造地表示を廃止して、生鮮原料の生産地を表示してほしいという声が上がっています。製造地表示についてどのようにお考えですか。以下から1つ選んで番号に〇を付け、その理由をお聞かせください。
①製造地表示は廃止し、生鮮原料に遡った原料原産地表示とすべき
②事業者の実行可能性を考慮し、現行制度を維持すべき
③その他( )
選択した回答の理由をお書きください。
(質問3)近年ネオニコチノイド系殺虫剤やその他の浸透性殺虫剤、発がん性のある除草剤グリホサートの使用が増えています。最近はPFAS(超低分解性の有機フッ素化合物)に相当する農薬も多くなっています。これらの中には低濃度で発達神経毒性などを示すものがあり、健康への影響が懸念されます。EUでは予防原則に基づきこれらの農薬の規制が進んでいますが、日本は緩い規制が維持されています。日本の農薬規制についてどのようにお考えですか。以下から1つ選んで番号に〇を付け、その理由をお聞かせください。
①予防原則に従って、農薬規制を強化すべき
②現行規制を維持すべき
③その他( )
選択した回答の理由をお書きください。
■食料と農業に関する質問
(質問4)米国トランプ政権の追加関税を巡る日米交渉で、米国産のコメや大豆、トウモロコシなどの農産物の輸入を拡大したり、牛肉やジャガイモなどの検疫の緩和などを行おうとする動きがあります。これらの動きについてどうお考えですか。以下から1つ選んで番号に〇を付け、その理由をお聞かせください。
①農産物の輸入拡大や検疫緩和を行うべきではない
②交渉の妥結のためならば一定の譲歩をするのもやむを得ない
③交渉の妥結のためならば一定の譲歩もやむを得ないが、コメは輸入すべきでない
④国内のコメ価格高騰解消のためにコメの輸入拡大をするべきである
⑤その他( )
選択した回答の理由をお書きください。
(質問5)農業の担い手不足や耕作放棄地問題が深刻になる中で、日本においても欧米並みの「農家への所得補償(直接支払い)」を行うよう求める意見が高まっています。これらの動きについてどうお考えですか。以下から1つ選んで番号に〇を付け、その理由をお聞かせください。
①農家が安定的な生産ができるよう「所得補償政策」を導入すべきである
②所得補償は農業の規模拡大などにつながらないので導入すべきでない
③条件不利地域対策や環境保全型生産への補助など現在の「日本型直接支払い」制度を拡充すべきである
④その他( )
選択した回答の理由をお書きください。
(質問6)「学校給食の無償化」にむけた法案が検討されていますが、その一方で、無償化に伴い、各自治体の独自の取り組みが縮小され給食の「質」が低下するという懸念も出されています。特に有機食材を使った給食の推進のためにどのような政策が必要だと思いますか。以下から1つ選んで番号に〇を付け、その理由をお聞かせください。
①有機給食の食材分もあわせて無償化を国の負担で進めるべきだ
②有機給食の食材分については自治体が独自に負担すべきだ
③有機給食の支援は必要ない
④その他( )
選択した回答の理由をお書きください。
■原発・エネルギーに関する質問
(質問7)政府は2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓から決定された「原子力発電は可能な限り低減する」との方針を転換し、原発再稼働や新増設を進めています。原発政策について、どう考えますか。以下から1つ選んで番号に〇を付け、その理由をお聞かせください。
①すべての原発を順次停止し、近い将来、原発ゼロをめざす
②既存の原発で安全性を確認し、一部は再稼働を行う
③再稼働に加えて、新増設も実施する
④その他( )
選択した回答の理由をお書きください。
(質問8)政府は第7次エネルギー基本計画を決定し、原発を持続的に利用する方針を掲げて、2040年度の電源構成を再生可能エネルギー40%~50%、原子力を20%、火力を30%~40%としました。将来のエネルギーのあり方について、どう考えますか。以下から1つを選んで番号に〇を付け、その理由をお聞かせください。
①再生可能エネルギーの比率を拡大し、近い将来、再エネで全エネルギーをまかなう
②エネルギー基本計画のとおりでよい
③その他( )
選択した回答の理由をお書きください。
■環境に関する質問
(質問9)2022年3月の国連環境総会で、プラスチック汚染を終わらせるために法的拘束力のある国際条約をつくることが決まりました。条約の内容を議論する最終会合が2024年11月に韓国で行われましたが合意にいたりませんでした。今年8月にはスイスで合意が目指されています。どのような条約にすべきか、望ましいと考える内容を以下から選んで番号に〇を付けてください(複数選択可)。「その他」の場合は、具体的にお書きください。
①プラスチック生産量を大幅に減らす
②プラスチックに含まれる有害化学物質を規制する
③リサイクルを推し進める
④リサイクルよりリユースやリペア(修理)の機会を増やす
⑤拡大生産者責任を明確にする
⑥プラスチックは有用なので、何もする必要はない
⑦その他( )
(質問10)PFAS(有機フッ素化合物)について、米国では法的拘束力のある飲料水中の基準値を、PFOS・PFOAは4ng/L、PFNAやPFHxSなど他の3種類のPFASと、2種類以上のPFASの混合物質については10ng/Lと設定しました。欧州連合では1万種類すべてのPFASを1つのグループとして捉え、原則全面的な製造・販売を禁止する法案を検討中です。一方、日本のPFAS暫定目標値は、PFOSとPFOAが合計で50ng/Lという緩い状態です。今後、日本はどのようにすべきだと考えますか。望ましいと考える内容を以下から選んで番号に〇を付けてください(複数選択可)。「その他」の場合は、具体的にお書きください。
①基準値をアメリカ並みに厳しく設定する
②欧州連合のように原則全面的に禁止する
③将来的にはPFAS全般を禁止すべき
④今のままでよい
⑤その他( )
(質問11)プラスチック削減のため、必要性が低くかつ有害性の高い人工芝のようなプラスチック製品をまずなくす必要があると考えます。例えば、屋外に敷設された人工芝は紫外線の影響で2~4年で著しく劣化し、大気中のマイクロプラスチックにもなることが指摘されています。また、使用後の処理も困難で、多くは埋立地に埋め立てられるか、リサイクルと称し他の場所で防草シートなどとして使用されます。このような製品は、2023年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合(札幌)で合意された「2040年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする」目標にも抵触します。人工芝のマイクロプラスチック対策は不可能であるため規制すべきですが、これについてどう思いますか。以下から1つ選んでください。②を選択した場合はその理由について、また「その他」の場合は具体的にお書きください。
①人工芝を減らすため、国レベルでの規制が必要
②人工芝もプラスチックも減らす必要はない
(②の理由: )
③その他( )
■香害に関する質問
(質問12)香害による被害の声が、消費生活相談に寄せられ続けているため、2021年から、国の5省庁(消費者庁・文部科学省・厚生労働省・経済産業省・環境省)は、香りへの配慮を促すポスターを作成し、周知を行っています。しかし、香害は、消費者の使用法の問題ではなく、製品に含まれる化学物質の安全性の問題です。科学的解明を待たずとも、予防原則に基づき、規制を含め、香害を生む製品への国の対応が必要だと思います。この考えに賛成ですか。「その他」の場合は、具体的にお書きください。
①はい
②いいえ
③わからない
④その他( )
(質問13)日用品やパーソナルケア製品から揮発する香料や消臭抗菌成分などの化学物質が充満することで、公共施設の利用や、集まりへの参加の機会を奪われている人々が存在します。退職、失業、不登校となる事例も多数です。この現状は、共生社会実現を目指している障害者差別解消法の趣旨に反します。厚生労働省の研究班でも、「生活衛生上、香料の使用は十分に考慮される必要がある」との考えを示しています。共生社会の実現を目指すために、学校、医療機関、公共施設などでの空気のバリアフリー化が必要だと思います。この考えに賛成ですか。「その他」の場合は、具体的にお書きください。
①はい
②いいえ
③わからない
④その他( )
(質問14)化学物質・化学品の危険有害性を示す、世界共通のGHS表示を洗剤・柔軟剤等の家庭用品にも行うべきだと思いますか。「その他」の場合は、具体的にお書きください。
①はい
②いいえ
③わからない
④その他( )
■平和に関する質問
(質問15)敵基地攻撃能力の保有について、どのようにお考えですか。以下から選んで番号に〇を付けてください(複数選択可)。「その他」の場合は、具体的にお書きください。
①戦争放棄をうたった平和憲法のもとでは認められない
②憲法9条を専守防衛と説明してきた政府解釈に反するので認められない
③改定安保3文書に記載されているように専守防衛の範囲の能力を持つことだから問題ない
④日本国憲法との齟齬があることは事実なので、憲法を改正して、憲法9条を専守防衛と解釈せずに、安保3文書でも敵基地攻撃能力保有と明記すべき
⑤その他( )
(質問16)防衛費を5年間で43兆円、GDP2%に拡大することについて、どのようにお考えですか。以下から選んで番号に〇を付けてください(複数選択可)。「その他」の場合は、具体的にお書きください。
①そもそも軍隊のないはずの日本で防衛費は必要ない
②これまでの政府解釈である専守防衛に必要な最低限に抑えるべき
③第二次安倍政権より前の水準を維持すべき
④世界的なテロ行為の増大、覇権国家の脅威が増している中で拡大は当然である
⑤東アジアの力の均衡、日米軍事同盟における日本の役割からして妥当である
⑥GDP2%は国際水準からしても低い。もっと上げるべき
⑦その他( )
(質問17)「能動的サイバー防御」法案が5月に可決・成立しました。このことについて、どのようにお考えですか。以下から選んで番号に〇を付けてください(複数選択可)。「その他」の場合は、具体的にお書きください。
①国益を損なうサイバー空間への攻撃は、事前に察知し、無力化を図る必要がある
②日常における国内外のサイバー空間の監視活動は、国益を守るためには必要である
③収集対象となるのは海外通信に限られ、メール内容は見ないので通信の秘密は守られる
④憲法9条の戦争放棄、憲法21条の通信の秘密を侵害する可能性があるので反対
⑤情報収集は、第三者機関の事前承認を義務付けても例外を認めており、歯止めにならない
⑥戦争につながるサイバー攻撃の無力化は認めないが、監視活動は認める
⑦その他( )
以上