日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
企業や国家の利益よりも人のいのちや健康を優先する世の中に変えたいと活動しています。

2017年3月号「福島の農業をどう思いますか」

福島県の日消連の会員さんに聞きました

今、どのように生活していますか 福島の農業についてどう思いますか

福島県に暮らす会員に、いま何を思い、どのように暮らしているのか、アンケートを実施し、60〜79歳の6人から回答を頂きました。浮かび上がったのは、今でも食べものに気を遣いながら暮らしていること、「風評被害」という言葉の使われ方に疑問を抱いていることでした。

質問① 原発事故後の暮らしを振り返り、最も強く思うことは。

「福島は、野菜、米、果物、魚のおいしいものがいつでも食べられたのに、事故後それらが食べられなくなり本当に残念。いまはだいぶ回復してきたが、海産物のホッキ貝やアンコウ、カレイは今でも食べられないのが悲しい」(南相馬市、60歳)

「私たち農家は、農作物すべてを検査して消費者に届けているのに、いまだに多くの人たちに敬遠されている。風評被害を払拭する名案が見つからない。長期間辛抱するだけなのか。とても悔しい」(郡山市、60代)

質問② 事故後の食べものの選択は。

「今でも食べ物の9割は他県産。行政の一般食品の基準値100ベクレル(Bq)以下は、ICRP(国際放射線防護委員会)の基準値10 Bq以下に比べて高く受け入れがたいから。事故前は県内の農家から有機米を購入していたが新潟県産に変えた。近所の農家の直売所も事故後は一度も足を運んでいない。地元の農家を見捨てるようで申し訳なく辛い。土壌の放射能測定の結果を見ると、福島産がもう安全だとは私には感じられない。近県の農産物も同様の不安がある」(福島市、70代)

「事故直後は福島産を買わないようにした。どこでどうやって栽培したのか知る由がないため、安全が保てないと感じたから。しばらくたつと福島での耕作、栽培方法の管理や収穫物の検査体制が整いつつあることがわかり、むしろチェック体制のない関東産の野菜を避ける傾向になった」(三島町、60代)

「当初は福島県以外を選んでいたが、今は放射能検査もあり、山菜類以外はあまり意識していない」(伊達市、60代)

質問③ 福島の農業について思うこと。

「風評被害という言葉がしばしば使われるが、買い手が納得・安心して買えないとしたら、それは風評ではなく、事実としての被害ではないか」(三島町、60代)

「福島産というだけで買い叩かれ、買い控えがあることに疑問。消費者として地元の計測したものを食べている。県外の計測していない地域のほうが不安」(伊達市、70代)

「事故の10数年前から有機農業が増えてきたところだったのに。有機農業者は、農地を守り農業を将来へ継続させるために、放射能被害を軽減するためのよりよい方法を工夫している」(南相馬市、60代)