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【編集委員ブログ】台北ドーム顛末記(2018年5月12日)

 

台湾に行く機会がありました。台北の中心部に工事が中断したまま、鉄骨を風にさらした巨大なドームがありました。周りを高いフェンスに囲まれ、異様な姿をさらした巨大廃墟です。完成すると野球などが行われる「台北ドーム」になる予定でした。ショッピングモールも併設され、賑わうはずでしたが、いま工事は行われていません。

計画には無理がありました。ただでさえ地盤が弱いところに、「まず建設ありき」で工事が進められたため、問題が噴出したのです。予想以上に建設資金がかかり、しかも、これからいくらかかるか見当もつかない維持費の問題も明らかになりました。松山空港が近くにあることから高さに制限が課せられているため、弱い地盤を掘り下げて作られ補強の費用もかかり、多くの樹木が伐採され自然破壊も問題になりました。この経緯は、リニア中央新幹線計画など日本の土木建設工事に似ています。

連日、反対運動が繰り広げられ、台北市長選で大きな争点になり、当選した新しい市長は工事凍結を公約していたところから、現在、工事はストップしたままです。解体すると費用はかかる、かといって工事を進めればさらに費用はかかるため、雨ざらしのままです。フェンス前では連日集会や記者会見が開かれ、それが市長を交代させ工事中止を勝ちとる原動力になりました。そこで集まった若者たちが、台湾で政権交代をもたらした「ひまわり運動」を中心的に担い、現在の蔡政権誕生の原動力になったのです。「政権交代により政策を変えさせることができる」と若者たちは述べていました。「それに比べて日本は」と思いました。

 

(天笠啓祐)