日本消費者連盟 | すこやかないのちを未来へ

【特別決議】ゲノム操作食品反対など3本の特別決議を総会で採択(2019年6月15日)

 

 日本消費者連盟は6月15日の第46回定期総会で、特別決議として、「ゲノム編集(操作)食品に反対し、加速する生命操作に歯止めを」、「香害をもたらす製品の販売中止と使用自粛の啓発を求める特別決議」、特別決議「くらしの場から憲法を守らせる運動を積み上げよう」の3本を採択しました。

 

特別決議「ゲノム編集(操作)食品に反対し、加速する生命操作に歯止めを」

 ゲノム編集(操作)で遺伝子を改造した食品が、間もなく、私たちの食卓に登場します。政府は、このゲノム編集(操作)という、遺伝子を自在に操作できる技術を積極的に推進する姿勢を示し、この技術を応用した食品について、環境影響評価も、食品の安全審査も、食品表示もいらないとしました。すでに米国では大豆が栽培され、ファーストフード店で使われ始めており、それが日本にやってくることになります。多国籍企業や日本の研究所などでも小麦や稲など、遺伝子組み換え作物としては開発がとん挫した主食の穀物の開発を積極的に進めており、まもなく登場しそうな趨勢にあります。私たちは、このような政府の姿勢や多国籍企業などによる開発に対して強く抗議するとともに、規制と表示を求める運動をさらに強めていく必要があります。そのために「すべてのゲノム編集食品の規制と表示を求める」100万人署名を通して、多くの人々にこの事態を知らせるとともに、私たちの意思を示していきます。

 またゲノム編集(操作)という、遺伝子を自由自在に操作できる技術は、食品だけでなくさまざまな領域で応用が始まりつつあります。これまで遺伝子組み換えではできなかった、さまざまな生命の改造が始まっています。それは従来「禁忌」とされ、人間が絶対に手を付けてはいけない領域を侵犯し始めたものでもあります。その一つが人間の受精卵での遺伝子操作を基礎研究に限定するとしながらも容認したことです。遺伝子を操作すれば世代を超えて受け継がれ、人間による人間の改造という「神の領域」を侵犯するものとなり、優生学的世界を作り出す危険性が強まります。

 さらには人間の生殖細胞と動物の受精卵を一体化させた「動物性集合胚」を作り、動物に出産させることが容認されました。動物と人間の雑種づくりになるとして、従来は認められていませんでした。人間への臓器移植を目的にしたものですが、これも「禁忌」とされた領域に入り込んだといえます。

 今の社会は経済の論理が優先され、政府は経済成長戦略の柱の一つにゲノム編集技術を据えており、企業や研究者は金もうけのためにあらゆる生物を改造の対象にし、次々と「禁忌」とされてきた領域を侵しています。私たちは、このような流れに反対し、生命の改造が拡大していくことに「否」と宣言します。

 以上、決議します。

2019年6月15日
特定非営利活動法人日本消費者連盟 第46回定期総会参加者一同

 

香害をもたらす製品の販売中止と使用自粛の啓発を求める特別決議

 柔軟剤、制汗剤などの強い香りをともなう製品による健康障害、いわゆる「香害」で苦しむ人が増えています。これは香料や香料にともなう製品の有害な化学物質に曝露することにより、頭痛、めまい、吐き気など全身の不調を引き起こす深刻な大気汚染、公害です。

 日本消費者連盟は、2017年に香りの害に苦しむ人を対象に電話相談窓口「香害110番」を設置し、着香製品が健康障害を起こす多くの事例をつかみました。そこから化学物質過敏症の患者団体、環境団体にも呼びかけ、企業や国に訴える活動を続けています。

 企業は消費者の健やかな生活に貢献するのが使命です。香害のような健康被害を生む商品は、ひとまず販売中止にするのが本来のあり方です。しかし、柔軟剤などを製造するP&G、ライオン、花王など洗剤メーカーで構成する日本石鹸洗剤工業会は、使用量を守らない消費者が香害の原因と言い、柔軟剤の香りや成分そのものに何ら問題はないという態度を変えていません。

 このような企業を規制するのが国、行政の役割です。私たちは、消費者庁に相談窓口の設置を、厚生労働省に原因物質の究明と規制を、文部科学省に学校など公共施設での自粛啓発を、経済産業省に洗剤業界への販売規制をと要望を出してきました。しかしどの省庁も「香害原因の科学的知見が得られない」の一点張りで、今のところ対策に動き出す気配はありません。

 その一方、学校に行けない香害被害の子どもたちの実態を重く見た地方自治体で、教育委員会が保護者に香料自粛を求める動きや、地方議会が国に対策を求める動きが出てきました。地域や学校で香害対策を求める住民の運動が地方行政を動かしています。

 私たちは、香りの自粛を求める活動を地域に広げるとともに、香害という公害をまき散らすメーカーに販売中止を求め、国に規制を設けるよう要請します。

 以上、決議します。

2019年6月15日
特定非営利活動法人日本消費者連盟 第46回定期総会参加者一同

 

特別決議「くらしの場から憲法を守らせる運動を積み上げよう」

 自公政権のもとで9条をはじめとする改憲の道が着実に進んでいます。ジグザクと進む政治日程に、危惧を抱いたり一安心したりしているうちに、改憲するのは当たり前、といった空気がつくられているのです。ある改憲論者は、改憲反対が一番多いのは70歳代以上で、だんだん少なくなっているから焦らないで待てばすんなりいくよ、とうそぶいています。

 現実を直視すると、事態はもっと深刻です。改憲を待たず、憲法の空洞化が目に見えて進んでいるのです。今年5月、トランプ米大統領を迎えた安倍首相は、トランプ在日最後の日に二人で海上自衛隊最大の艦船「かが」に乗り込みました。トランプ大統領はそこで、日本政府が米国の新鋭ステルス戦闘機F35を105機導入することを評価、「日本はF35の最大保有国となった。素晴らしい装備で、私たちの国々を守ってくれ、広い地域の平和と安全に寄与する」と演説しました。これは日米間の軍事同盟が全世界を対象とした「グローバル軍事同盟化」したことを明確に示しました。ここにはすでに9条はありません。

 憲法が定めるさまざまな権利も次第に崩されてきています。防衛費が大きく伸びる一方で、社会保障など民生費は削減されています。生活保護も介護保険も年金も次第に削られ、憲法25条が保障する生存権は崩れる一方です。生存権に基づく消費者の権利も同様です。食品添加物や遺伝子組み換え、ゲノム編集(操作)、農薬規制、香害問題などあらゆる場面で事業者の都合が優先され、消費者の選択権が侵害される状況が続いています。

 憲法27条・28条に基づく労働者の権利も同様です。働き方改革の名のもとに、労働時間という概念は消え失せ、労働力の使い捨てが横行しています。労働者の団結権、団体交渉権の侵害も目立っています。関西の生コン労働者の労働組合「全日建関西生コン支部」で労働組合の活動に威力業務妨害といった罪状をかぶせられて、労働者が次々と逮捕されている実態は、その典型例です。水や海、山林といった地域に住む人びとの生存に欠かせない資源は、入会権など共同の所有と利用を法的に認めることで守られてきました。今その共有の権利が規制緩和の名のもとに民間企業に払い下げられています。これもまた憲法の空洞化のあらわれです。

 こうした状況が進むなかで、地域にねざして生きてきた農林漁家の生存の基盤も掘り崩されています。13条の幸福追求権、22条の職業選択の自由の侵害です。それは非正規労働者の道しか選択権を与えられていない多数の働く人にも当てはまります。内心の自由に踏み込む共謀罪、世界で72位まで下落した報道の自由度ランキング(国境なき記者団)は19条「思想及び良心の自由」、21条「表現の自由・知る権利」の明らかな侵害です。

 数え上げればきりがない「憲法の空洞化」をしっかりと見すえ、くらしの場から声をあげ、憲法を守らせる運動を積み上げる、日本消費者連盟らしい憲法運動を進めます。

 以上、決議します。

2019年6月15日
特定非営利活動法人日本消費者連盟 第46回定期総会参加者一同