「プラスチックは、ダイオキシンが出る塩化ビニルなどは生産を減らすとしても、他のポリエチレンやPETなどはリサイクルして減らしていけばよい」。こんな風に考えている方はまだ多いと思います。この間、マイクロプラスチック(MP)の問題や添加される有害化学物質の問題を考えるにつれ、私たちは「プラスチック性悪説」パラダイムにたどり着かざるを得ません。しかしまだ世の中の多数派は旧パラダイム派です。ですから以下のような現実をアピールしていく必要があります。
1つめは、添加されている難燃剤、紫外線吸収剤、可塑剤などの多く化学物質は有害で、リサイクルする過程で混合、移行し、子どものおもちゃなどからも頻繁に検出されること。
2つめは、石油由来のプラスチックはそもそも化学物質を吸着しやすく、MPとして海洋などを浮遊しながら有害物質の生物の体内への「運び屋」として機能してしまうこと。
3つめに、さらにナノ(十億分の1)メートルレベルまで微細になったMPは、人の動脈内のプラークに付着して心筋梗塞や脳梗塞のリスクを上げたり、脳細胞にも浸透して認知症リスクを上げるなどの新しい医学的知見が報告されつつあること。
今年8月には、国連主導の「プラスチック条約」の政府間交渉委員会(INC5.2)がスイス・ジュネーブで開催される予定です。私もNGOからの派遣団の一員として参加して市民の声を届けたいと思います。
※考え方の基本モデル
(寺田良一)