日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
企業や国家の利益よりも人のいのちや健康を優先する世の中に変えたいと活動しています。

ジョーのコーラは大ジョー夫?——コーラのカラメル色素「4-メチルイミダゾール」について消費者庁等に調査を要請

コーラ等に添加物として使用されている、カラメル色素の製造時に生成される、4-メチルイミダゾール(以下4-MI)について、発がん性物質である疑いがあるとのレポートが発表されました。日消連では、日本で発売されているコーラ飲料等について、関係省庁に早急に調査の上、成分変更を求める要請書を提出しました。また特定保健食品として初めてのコーラとして販売されている、キリンビバレッジ社のコーラについては、特保指定についての見直しも要請しました。今後は特保のあり方についても検討する必要があります。

日本で初めて特保のコーラとして売り上げを伸ばしている「キリンメッツコーラ」。日本消費者連盟は設立時からコーラは糖分が高く、添加物を多く使用しているため、特に子どもたちが摂取することに反対してきました。コーラ各社は糖分の多さを指摘されるとアスパルテームを使用したダイエット・コーラを販売していますが、アスパルテームにも問題があります。このたびカラメル色素添加されているカラメル色素の製造時に生成される、4-メチルイミダゾール(以下4-MI)の発がん性について疑問を呈する報告が出されました。特にキリンの「キリンメッツコーラ」については消費者庁が特保の表示許可をして話題となり、あしたのジョーやその後の「ジョーシリーズ」でのCMも好評です。現在の基準をクリアしていた場合でも発がん性について疑いがある場合には特保として表示することには問題があることから、以下の2つの申し入れを行いました。


2012年8月30日
12年日消連第18号

内閣府消費者担当大臣松原仁様
消費者庁長官阿南久様
消費者委員会委員長河上正二様

特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表天笠啓祐
古賀真子
真下俊樹
山浦康明
要請文

日本で販売されている、コーラ(コカコーラ( Coca-Cola、Diet Coke)、ペプシコーラ(Pepsi-Cola、Diet Pepsi)、キリンメッツコーラ)等に、添加されているカラメル色素の製造時に生成される、4-メチルイミダゾール(以下4-MI)の含有量について早急に調査の上、成分変更をさせるよう強く求めます。

(申し入れの趣旨および理由)

  1. 4-MIについて、2012年6月26日、米国の消費者団体CSPI( Center for Science in the Public Interest公益科学センター、以下CSPI)は、日本を含む世界各国で売られているコカ・コーラには発ガン性物質の疑いのある4-4-MIが含まれていると発表しました。一般家庭で作るカラメルとは異なり、工業的に製造されるカラメル色素には砂糖やアンモニア、亜硫酸塩が高圧・高温下で化学反応することにより、4-MIが生成されます。4-MIはWHOの研究では、発がんリスク有りとの報告があり、米国政府の研究所の動物実験では、肺がん、肝臓がん、甲状腺がん、白血病を引き起こしているという報告があると言います。CSPIは2011年2月にFDA(米国食品医薬品局)にアンモニアを使ったカラメル色素の使用禁止を提唱していました。カラメル色素製造会社の大手「DDウィリアムソン」(D.D.Williamson)によると、4-MIの含まれないカラメル色素もあるようですが、清涼飲料会社が購入しないため普及していないと言うことです。日本では製法の異なる4種類のカラメル色素があります。
  2. CSPIの今回の調査では、発がん性物質と疑われる4-MIのレベルは、各国で異なり、ブラジルで販売されているコカ・コーラが最も汚染されていたと言われています。(表)日本で販売されているコカ・コーラは、355ml換算では72マイクログラム含有されていることになり、米国カリフォルニア州で販売されているコカ・コーラの4-MI含有量が4マイクログラムに対し約18倍も多いことがわかったとされています。
  3. カリフォルニア州では4-MIを30マイクログラム以上取り込むと、10万人に1人が生涯のうちにがんにかかる可能性があるとして、2011年、清涼飲料水の4-MIのレベルが規定のレベルを超過している場合、がん警告表示を行わなければならないという規制を定めて、発がん性物質レベルの低いカラメル色素を使い始めたということです。米国飲料協会は、4-MI がFDAのヒト発がん性物質リストに収載されていない旨の声明を発表したようですが、これは、FDAが、100万人に1人ガンを引き起こす可能性のある量の発がん性物質を規制しているためです。しかし、CSPI は4-MIのレベルは3マイクログラム以下であるべきであり、多くの国で販売されているコーラはこのレベルをはるかに超えていると警告しています。CSPI代表のマイケル・F・ジェイコブソン氏は「幸いにも、中国、日本、ケニアその他の国では米国人と比べて炭酸飲料水の消費量は少ない。 そのため、この危険な化学物質への暴露は比較的少なく済んでいるだろう。」と発言しているとされています。しかし、同代表は、米国では355ml、ヨーロッパ・アフリカ・中国では330mlが標準量であるのに対して、日本ではコーラが500ml入りのペットボトルで販売されていることに対しては、コカ・コーラのように糖分の多い清涼飲料水を500mlで販売すると飲みすぎとなるため、 500mlのコカ・コーラは日本でも販売すべきでないと言っています。糖分としての砂糖やアスパルテームの健康に対する悪影響は従前から指摘されていましたが、4-MIについてのあらたな危険性の指摘に対しては、早急に調査し対応すべきです。
  4. CSPIの調査に協力した、「NPO法人食品と暮らしの安全」は、2012年7月5日、日本コカコーラに対して、コカ・コーラの発がん性物質に対する問題、および、大容量のコカコーラ販売の禁止に関して、申し入れをしたとされています。しかしながら、同社の回答は、「カラメル色素は食品衛生法に適合したものを使用しており、安全性に問題がなく世界各国で使用が認められていること、当社はあらゆる消費者のバランスのとれた食生活をサポートする役割を大切にしており、低カロリー製品やノンカロリー製品など様々な健康価値を持った製品を含むポートフォリオを展開し、消費者に嗜好やニーズに合わせた様々な種類の製品を、様々な内容量の容器にてご提供しているのでご理解賜りますようお願いいたします。」としており、食品衛生法基準を順守している以上問題はないという構えであり、同社が消費者の懸念に対して、新たな調査や自主規制等することは期待できません。カルフォルニア州の例を見れば、カラメル色素について、発がん性の疑いのある物質を回避したり、使用を最少限に減らすことができることは明らかです。4-MIの発がん性に関する知見等を調査の上、発がん性の疑いがある場合においては、市販されているコーラ等のカラメル色素の種類等を調査し、4-MIを使用している清涼飲料水については成分変更をさせるよう強く求めます。

以上

注 ——–

(1)  CSPIのプレスリリース原文http://www.cspinet.org/new/201206261.html
(2) 表:世界9カ国のコカコーラにおける4M-1含有量(ug/12 fl oz: 355ml)

国名 含有量
アメリカ
(カリフォルニア州)
4
中国 56
日本 72
アメリカ
(ワシントンDC)
144
イギリス 145
メキシコ 147
アラブ首長国連邦 155
カナダ 160
ケニア 177
ブラジル 267

(NPO法人食品と暮らしの安全, No.9 Webレポートより)

〒169-0051東京都新宿区西早稲田1-9-19-207
日本消費者連盟(古賀)
TEL 03-5155-4765
FAX 03-5155-4767


2012年8月30日
12年日消連第19号

内閣府消費者担当大臣松原仁様
消費者庁長官阿南久様
消費者委員会委員長河上正二様

特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表天笠啓祐
古賀真子
真下俊樹
山浦康明

特定保健用食品として指定されている「キリンメッツコーラの特定保健用食品の再審査を行い、表示記載許可の取り消しおよび注意喚起を求める要請書

消費者庁は、2010年10月15日 、キリンビバレッジ株式会社の「キリンメッツコーラ」を特定保健用食品の表示許可に係る対象食品として消費者委員会に諮問し、2011年10月13日、健康増進法第26条第1項に基づき同食品は特定保健用食品としての表示許可が認められました。

キリンメッツコーラは、炭酸飲料ですが、許可の理由として、「食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて排出を増加させる難消化性デキストリン(食物繊維)の働きにより、食後の中性脂肪の上昇を抑制するので、脂肪の多い食事を摂りがちな方、食後の中性脂肪が気になる方の食生活の改善に役立ちます。・・(以下略)」ということで特定保健用食品としての許可をうけました。「キリンメッツコーラ」のラベルには、消費者庁許可(特定保健食品)として、「キリンメッツコーラ」は、糖類ゼロでキレのあるすっきりした味わいです。脂肪の多い食事をするときなどにおすすめのトクホのコーラです」と記載してあります。「明日のジョー」でダイエットに苦しむ主人公が油分の多い食事をしてもこのコーラを飲めば大丈夫としてヒットしたCMのほか、今まで発がん性や糖分、虫歯への心配から子どもにコーラを飲ませなかった保護者にも、消費者庁がおすすめする「初めての特定保健食品のコーラ」ということで、2012年4月発売以来、売り上げを伸ばしています。

しかしながら、このキリンメッツコーラの試験で確認された食後の血中中性脂肪の上昇抑制は、中高年での「動脈硬化」のリスク減少のためであり、ジョーのような若い人がダイエット効果を期待して飲んでも「体脂肪」が減るかどうかは何ら確認されてはいません。脂肪の吸収を抑える効果については、疑問があるという見解があります。
仮に難消化性デキストリンに食後の中性脂肪の上昇を抑制する効果があるとしても、その効用にのみ着目した許可であるとすれば、日消連18号要請文で指摘したように、同製品に含まれるカラメル色素4-メチルイミダゾール(4-MI)の発がん性についての疑いや、糖質ゼロのために砂糖の代わりに添加されているアスパルテームの食品添加物としての安全性に疑問がある点についての配慮を欠いた許可と言わざるを得ません。

2012年6月26日、米国の消費者団体CSPI( Center for Science in the Public Interest公益科学センター、以下CSPI)は、日本を含む世界各国で含まれているコカ・コーラには発がん性物質の疑いのある4-メチルイミダゾール(4-MI)が含まれていると発表しました。4-MIはWHOの研究では、発がんリスク有りとの報告があり、米国政府の研究所の動物実験では、肺がん、肝臓がん、甲状腺がん、白血病を引き起こしているという報告があるとされています。日本では4種類のカラメル色素があるとされていますが、仮に本食品が日本で販売されているコカ・コーラと同様のカラメル色素を、355 ml 換算で72マイクログラム含有しているとすれば、米国カリフォルニア州で販売されているコカ・コーラの4-MI含有量の4マイクログラムに対し約18倍も多いことになります。カリフォルニア州では、4-MIを30マイクログラム以上取り込むと、10万人に1人が生涯のうちにがんにかかる可能性があるとしており、2011年、清涼飲料水の4-MIのレベルが規定のレベルを超過している場合、がん警告表示を行わなければならないという規制を定めて、発がん性のリスクの少ないカラメル色素を使い始めたということです。

同食品は、食事の際に1本(480 ml)、1日1回を目安に飲むことを推奨しています。

コーラのように糖分の多い清涼飲料水については、500mlのコカ・コーラは日本でも販売すべきでないとされていますが、480mlはこれに近い量といえます。4-MIについてのあらたな危険性の指摘に対しては、早急に調査し対応するべきです。
4-MIの発がん性に関する知見等を調査の上、発がん性の疑いがある場合においては、市販されているコーラ等のカラメル色素の種類等を調査し、4-MIを使用している清涼飲料水について成分変更を求めるよう強く要請します。

仮にキリンメッツコーラがコカ・コーラと同様割合で4-MIを含有していたとした場合には、当然警告表示すべきものを、日本では「特定保健用食品として、消費者庁がお墨付きを与えている、という結果となり、食の安全を守るべき消費者担当大臣、消費者庁、消費者委員会の立場と相容れないことは明白です。

また、4-MIのほかにも、甘味料としてもアスパルテーム-Lフェニルアラニン化合物の含有が表示されており、アスパルテームが含まれていることは明らかです。日本消費者連盟では、アミノ酸由来の合成物質であり発がん物質であるアスパルテームについては、これまで度々厚生労働省に使用禁止の申し入れをしてきました。アスパルテーム中のフェニルアラニンは霊長類にてんかんを引き起こしたり、アスパラギン酸が子ネズミの脳に穴をあけることが指摘されています。独立研究機関の90論文のうち83論文が「アスパルテームは脳腫瘍などの致命的な健康被害をもたらす危険性がある」と指摘しており、このような添加物を含有する食品は特定保健用食品として許可されるべきではありません。

特定保健用食品として一旦表示を許可されたものについて、のちに安全性に対する疑問が生じた場合の対応については、花王のエコナについての反省すべき前例があります。

一旦特定保健用食品として許可された場合、安全性についての疑問から消費者が取消しの要請等をしても、迅速な取消しや再審査が行われず、その間に健康障害への懸念や担当行政庁への不信が起き、結局真偽があいまいなまま業者が申請を取り下げるといったような顛末を厳に防ぐための措置が求められます。

縦割り行政の弊害をなくし、真に消費者の安全を守ることに消費者庁新設の意義があったはずです。

消費者担当大臣、消費者庁、消費者委員会におかれましては、相互の機関分掌、現行法の枠にとらわれず、消費者の安全のために予防原則に基づき積極的な措置をとることを求めます。また、取り消しや再審査のための手続き過程においても、広く一般に情報を公開して十分な注意喚起を行うことを求めます。

〒169-0051東京都新宿区西早稲田1-9-19-207
日本消費者連盟(古賀)
TEL 03-5155-4765 FAX 03-5155-4767

Tagged on: