日本消費者連盟
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【要請書】総務省等による「IoT機器調査」の中止を強く求めます(2019年2月18日)

 

盗聴法に反対する市民連絡会などが呼びかけている「総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)による「IoT機器調査」の中止を強く求めます」に日消連も賛同しました。

 

総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)による
IoT機器調査」の中止を強く求めます

 

2月1日、総務省と国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)はIoT機器の脆弱性を調査する「NOTICE」(National Operation Towards IoT Clean Environment)を昨年11月に成立した「電気通信事業法および国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律」に基き、2月20日から実施することを公表しました。総務省は、調査対象となるIPアドレスは約2億であることも公表しています。

IoT(Internet of things)とは、「モノのインターネット」のことで、一言でいえば「ありとあらゆるモノがインターネツトに接続する世界」のことです。いままで、インターネットに接続するものといえばすぐ思いだすものはパソコンであったり、スマートフォンでしたが、現在、テレビ、エアコンなど家電をはじめ家庭や会社内の事務機器、監視ロボット、クルマなどがインターネットに接続するようになりました。今後この傾向は更に強まります。

総務省はこの調査の理由をIoT機器のセキュリティの弱点をついて、サイバー攻撃がおこなわれるのを防ぐためとしています。

しかし、私たちは以下の点で、今回の調査は政府による違法なハッキング行為であると判断し、これに強く反対し、実施の中止を求めるものです。

(1)今回の調査は、憲法が保障している以下の私たちの権利を侵害しています。通信の秘密を保障する憲法21条に違反します。また住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利を保障する憲法35条に違反します。

(2)今回の調査は、裁判所の令状すらなしに、政府による個人のプライバシー情報への網羅的なアクセスを許す先例となり、事実上、政府が自由に個人の通信や私生活などを監視する体制を整えることになります。

(3)総務省は「機器の内部に侵入したり、通信の秘密を侵害することはありません」と述べ、「取得情報も厳格な安全管理措置を講じる」と述べています。しかし、技術の詳細については、「悪意あるプログラム等に利用される恐れがある」として詳細の公開を拒否しています。このような対応から、実際には、技術的には機器内部への侵入が可能な方法をとっていると思われます。また、用いられる技術が本当に総務省の主張通りに運用されるのかどうかも、公正な第三者による検証がなされていません。取得情報の安全性、政府内部での情報共有のありかたなども不透明なままです。将来的には今回の調査を前例として、より一層私たちのプライバシーの権利や通信の秘密を侵害するような、機器内部への侵入へと発展する危険性も排除できません。

(4)総務省はIoT調査の実態を隠そうとしているのでは、との疑念を拭いきれません。今回の調査について、「センサーやウェブカメラなどのIoT機器」に限定されているかの印象を与えています。実際には総務省のいうIoTとは、インターネットに接続されている全ての機器を対象にするものです。このことを総務省は意図的に隠しています。パソコン、スマホなどプライバシー情報を多く含む機器やテレビなど、広範囲の機器が対象になります。その結果として、政府による私たちのプライバシーの権利侵害の範囲は、私生活のほぼ全てに及ぶといっても過言ではありません。
また、一般市民だけでなく、報道機関、弁護士事務所、人権団体、野党、労働組合、プロバイダーなどの言論・表現の自由、通信の秘密に関わる組織にも深刻な影響が及ぶと考えます。

(5)今回の調査で総務省・NICTは、脆弱性のある機器の利用者に対して、プロバイダーを通じて告知などを行なうとしています。しかし、将来的には、プロバイダーが取得しているIoT利用者の個人情報を政府がより容易に、あるいは直接取得するような方向へと制度や技術が変えられるきっかけになりえると危惧します。

政府は、今回の調査を「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会などを控え、対策の必要性が高まっています」と主張します。この点についても、ひたすら不安感を煽るばかりで冷静な判断に基いているとはいえません。私達は今回の調査をきっかけに、あからさまな政府の私たちの通信への監視やハッキングが将来更に大規模に行なわれるのではないか危惧しています。

以上、私たちは、政府による憲法21条や35条の権利侵害を見過すことはできません。総務省、NICTに対して「IoT機器調査」を中止することを強く求めます。

2019年2月15日

呼びかけ団体(順不同)
・盗聴法に反対する市民連絡会
・ATTAC Japan(首都圏)
・JCA-NET理事会
・共通番号いらないネット
・2020東京オリンピックおことわり連絡会
・ふぇみん婦人民主クラブ
・個人情報保護条例を活かす会(神奈川)
・「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会
・「秘密法反対・かながわ実行委員会

賛同団体(50音順)
・アイ女性会議神奈川県本部
・あさこはうす応援隊
・アジア連帯講座
・足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ
・厚木基地を考える会
・安倍政権にNO! 東京・地域ネットワーク
・終わりにしよう天皇制!「代替わり」反対ネットワーク
・過去と現在を考えるネットワーク北海道
・学校事務職員労働組合神奈川
・監視社会を拒否する会
・基地のない沖縄をめざす宗教者の集い
・9条改憲阻止の会メーリングリスト運営チーム
・共謀罪NO!実行委員会
・「憲法」を愛する女性ネット
・自由国際大学
・住基ネットも共通番号もいらない!くにたちの会
・女性と天皇制研究会
・伊達判決を生かす会
・テオリア研究所
・特定非営利活動法人日本消費者連盟
・日本基督教団神奈川教区社会委員会ヤスクニ・天皇制問題小委員会
・日本聖公会東京教区人権委員会
・日本山妙法寺
・一般社団法人 日本出版者協議会
・ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン
・バスストップから基地ストップの会
・破防法・組対法に反対する共同行動
・反戦兵士と連帯する会
・ビデオプレス
・「秘密保護法」廃止へ!実行委員会
・福岡市民救援会
・福岡地区合同労働組合
・プライバシー・アクション
・プライバシーアクション・札幌
・平和憲法を守り、行動する神奈川女性の会
・平和を実現するキリスト者ネット
・平和をつくり出す宗教者ネット
・やぶれっ!住基ネット市民行動
・労働運動活動者評議会
・早稲田市民9条の会

2019年2月18日現在

賛同団体は今後増えます