日本消費者連盟
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【質問状】ゲノム編集マダイの環境影響及び安全性の評価に関する要望と質問(2021年10月14日)

 

2021日消連第7号
2021年10月14日

リージョナルフィッシュ株式会社
取締役CTO 木下政人様

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表 天笠 啓祐
特定非営利活動法人 日本消費者連盟
共同代表 大野 和興
共同代表 纐纈美千世

 

ゲノム編集マダイの環境影響及び安全性の評価に関する要望と質問

 

9月17日に届出受理されたゲノム編集可食部増量マダイについて、環境と健康に対する新たな脅威として私たちは懸念しています。農林水産省が公表した情報提供書と厚生労働省が公表した公開届出情報を見るに、環境影響評価も安全性評価も全く不十分であり、このまま商業養殖して流通させることはおおきな問題です。

そこでゲノム編集マダイについて以下質問します。お忙しいところ恐れ入りますが、10月28日までに文書にて回答いただきますようお願いします。回答は当団体のホームページ等で公開します。

 

1、拡散防止措置と環境影響評価について

養殖施設に関する管理の記述は、平常時のものだけとなっていますが、豪雨等の災害は近年常態化しています。単に対応マニュアルを整備すれば済む問題でなく、拡散した時の環境影響評価をする必要があると考えます。環境影響評価が養殖施設からの拡散が完全に防止できるとの前提で行なわれているため、交雑等の評価がなされていませんが、拡散した場合を考えて環境影響評価を実施することを要望します。
拡散時の環境影響評価の有無とその結果についてご回答ください。

 

2、全ゲノム解析のデータの利用について

農水省に提出された情報提供書には全ゲノム解析をしたとの記述がありますが、移入した核酸の確認についてのみ利用されていて、オフターゲット変異の有無等の確認に使われていないのは不可解であり、環境影響評価と安全性評価の姿勢が問われます。全ゲノム解析の結果を使って全ての変異部位を確認し、それぞれの遺伝子が産生する蛋白質の評価を実施することを要望します。
これまでの全ゲノム解析データの利用状況と環境影響評価・安全性評価への利用の意向に関してご回答ください。

 

3、動物実験の実施について

全ゲノム解析データを使用して変異の評価をしても、エピジェネティックな変化は確認が困難と思いますので、動物実験により安全性を確認することを要請します。安全係数を掛けることができないため、十分な安全性評価とも言えませんが、最低限の安全性確認として要望します。
動物実験の実施の意向に関してご回答ください。

 

4、安全性の評価について

農水省に提出された情報提供書にはマダイに有害物質の産生性がないことと代謝に変化がなかったことを根拠に、厚労省に提出された届出書にはソフトウェア解析で特定されたオフターゲット候補のオフターゲット有無の確認と標的部位の遺伝子について既知アレルゲン・既知毒性蛋白質とのコンピュータによる相同性解析しか実施されていません。このような内容では安全性が確認されたとは到底言えません。上記全ゲノム解析のデータの利用による産生蛋白質の評価と動物実験によって、安全性の確認・評価をするよう要望します。
さらなる安全性評価の実施に関してご回答ください。

以上