日本消費者連盟
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【質問状】遺伝子操作食品の規制を求める公開質問状と意見交換のお願い(2024年6月6日)

 

2024日消連第4号
2024年6月6日

消費者及び食品安全担当大臣 自見はなこ様
消費者庁長官 新井ゆたか様

特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 亀山亜土
共同代表 佐々木ミヨ子
共同代表 マーティン・フリッド
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
共同代表 天笠啓祐

遺伝子操作食品の規制を求める公開質問状と意見交換のお願い

ゲノム編集技術によって作られた作物や魚類が行政に届けられ、国内で生産されるようになりました。エピゲノム編集など、遺伝子組み換えでもゲノム編集でもない遺伝子操作技術による食品の開発も進んでいます。
遺伝子操作食品は、遺伝子操作の過程において遺伝子を傷つけ、想定外の変化を起こすことによって有害物質等を生ずる潜在的なリスクを有すると私たちは考えています。消費者には安全な食品を求める権利があり、貴庁は食品による衛生上の危害防止を担っておられます。被害を未然に防ぐために予防原則に基づいた施策が必要です。遺伝子組み換え食品以外の遺伝子操作食品が何ら安全性の審査も受けず、届出さえも任意とされていることに、私たちは強く憂慮しています。
以下質問へのご回答は6月21日までにお願いします。また、この件に関する意見交換の場を持っていただきますようお願いいたします。なお、ご回答については当団体のホームページ等で公開いたします。

1、ゲノム編集食品等の安全性と規制について
ゲノム編集技術は遺伝子組み換え技術よりも確実な標的遺伝子の破壊もしくは置換が宣伝されていますが、実際にはオフターゲットと呼ばれる間違った遺伝子変化を起こすほか、遺伝子操作の過程でさまざまな遺伝子やエピゲノムの変化が起きる可能性があります。標的遺伝子は複数の蛋白質をコードしており、破壊による影響も懸念されます。
厚生労働省調査会では、ゲノム編集技術による遺伝子の変化が自然界の突然変異、従来の突然変異育種と差がない等の理由で、ゲノム編集食品を規制対象外としています。しかし自然界の突然変異や突然変異育種とゲノム編集の遺伝子の変化は異なり、ゲノム編集食品を安全とする根拠はありません。他の遺伝子操作食品についても同様です。
<質問1>ゲノム編集食品の開発過程における遺伝子の変化が、食品の安全性に与える影響をどのようにお考えですか。遺伝子破壊だけなら安全とする根拠は何ですか。

遺伝子組み換え食品についての「実質的同等性」審査では、挿入遺伝子の影響等を調べるだけで、想定外の遺伝子変化の影響についての評価がなく、安全性が確認されたとはいえません。ゲノム編集食品などでは、そのような評価さえありません。オフターゲット、挿入遺伝子残存、新たなアレルゲン等の有無だけでは不十分で安全の確認にはなりません。最新の知見で全ゲノム解析による想定外の遺伝子変化の影響も可能となりました。私たちは、遺伝子操作食品の安全性確認手段として、最低限、全ゲノム解析(改変部分の安全性評価を含む)と動物実験が必要と考えます。
<質問2>全ゲノム解析(改変部分の安全性評価を含む)と動物実験を、遺伝子組み換え食品とゲノム編集食品を含む遺伝子操作食品の安全性確認方法として検討していただけませんか。

ゲノム編集食品は任意の届出制とされていて、届出をしなくても罰則がない状態です。遺伝子組み換え及びゲノム編集以外の技術で作られた食品は、届出も求められていません。エピゲノム編集やRNA干渉など新技術による育種は急速に進められています。遺伝子操作技術を外来遺伝子の残存の有無によって遺伝子組み換えとゲノム編集に区分するというご説明もありますが、科学的に不正確な区分です。網羅的に遺伝子操作食品としての規制を設けるべきと考えます。
<質問3>外来遺伝子の残存だけに注目した区分をやめ、遺伝子操作そのものに注目して、遺伝子操作食品として包括的な規制をすべきではありませんか。

 

2、遺伝子操作食品の届出制度について
ゲノム編集食品は届出制度が運用されていますが、届出は任意のため、全てのゲノム編集食品が届けられているかわかりません。またそれ以外の遺伝子操作食品は届出の対象か否かも明確になっていません。
<質問4>ゲノム編集食品は今の制度で漏れなく届出がなされているとお考えですか。届出は義務化すべきではないでしょうか。届出の対象を全ての遺伝子操作食品に拡張すべきではないですか。

現在のところ、ゲノム編集食品を消費者が見分ける方法は、届出受理の情報によって判断するほかはなく、後代品種が届出の対象となっていないため、上市されても知り得ない状況にあります。ゲノム編集品種に後々問題が発覚しても追跡が難しくなります。
<質問5>ゲノム編集生物の後代品種も届出対象とすべきではないでしょうか。

 

3、遺伝子操作食品の情報公開について
遺伝子組み換え食品の安全性審査もゲノム編集食品の届出制度も、資料や審議の多くが非公表とされ、消費者の不安につながっています。企業秘密等を理由に非公表とされていますが、開発技術に直接関わらない安全の確認に関わる情報は隠す理由はありません。ゲノム編集食品は概要のみの公表となっていますが、全て公表するよう要望します。
<質問6>ゲノム編集食品の届出情報は、真に企業秘密に相当するものを除いて全て公開できませんか。

以上