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中部電力の値上げ幅固まる~電気事業法の第2段階の改正案提出で今後の電気料金はどうなる?

3.11の原発事故後、10社中7社が電気料金の値上げを申請しました。2014年4月15日中部電力の値上げについての査定がされました。中部電力の値上げ幅は、最終的には、申請の4.95%の値上げ幅が3.77%程度(▲1.18%)に圧縮されました。

http://www.meti.go.jp/press/2014/04/20140415002/20140415002.html

今後,電力やエネルギー政策がどうなるかは重要な消費者問題です。電力システム改革は3段階に分けて行われることになっていますが、14年3月、消費者にとっては、改革の本丸である小売り電力の自由化や、発送電分離を促す電気事業法改正案が閣議決定されました。

今回の改正で、発送電分離や小売りの全面自由化が進んだ場合に、ネットワーク費用(託送料)については、総括原価方式が採用されるとされていますが、価格算定がどのようにチェックされるかは今のところ不明です。

改正法では、家庭用電気料金の値上げについて国民の意見を聴く、公聴会の設置が削除され、料金規制が撤廃された場合に消費者が公共料金としての価格について意見を述べる場がありません。電気料金値上げについての認可制が廃止されれば、自由化後の寡占が生じた場合などに、電気料金の上昇に対する歯止めが無くなります。経産省と消費者庁との協議事項でなくなればチェックリスト方式等による監視もできなくなります。当分の間または、一定期間は規制料金を残すとしていますが、適切な競争がおこる環境を整えるとともに、経過措置としての料金規制がどのように行われるかを監視していく必要があります。

日消連では市民団体として、電力システム改革市民委員会を立ち上げ、13年10月25日に消費者庁と消費者委員会あてに、小売り自由化に関する意見書試案を、14年3月26日に、消費者委員会あてに、「消費者委員会内に、電力小売り自由化に料金や新規のシステムやスマートメーターなどについて消費者の意見を反映させるための監視機関を設置することを求める要望書」を提出しました。                        (共同代表 古賀 真子)


 

2014年3月26日

消費者委員会 委員長 河上 正二 様

電力システム改革市民委員会

消費者委員会内に、電力小売り自由化に消費者の意見を反映させるための

監視機関を設置することを求める要望書

 

3.11の原発事故後の相次ぐ電気料金の値上げ申請以後、電気料金については、適正かつ妥当な料金であるか、事後検証等がされているかについて、国民の関心が高まっています。

2013年11月に電気事業法が改正されました。この改正は、広域的運営推進機関を設けるための改正ですが、この機関には15年を目途に、地域を超えた電気のやり取りを容易にし、災害時などの停電防止、全国的な需給調整機能の強化、出力変動のある再生可能エネルギーの導入拡大を目指す司令塔としての役割が期待されています。

電気事業法改正に向けては、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会電力システム改革小委員会制度設計ワーキンググループでは、これまで5回にわたり議論が進められ、消費者庁もオブザーバー参加をされています。

14年3月に閣議決定された電気事業法改正案をうけ、いよいよ、消費者にとっては、改革の本丸である小売り電力の自由化や、発送電分離を促す制度改革の具体的論が始まります。

小売り自由化によって、消費者が再生可能エネルギーなどクリーンで安全な電気を選択することができるかが、消費者にとって重大な関心事ですが、私たちはまず、今回の制度設計において消費者の意見が十分反映される仕組みがなされているかについて、強い関心をもっております。

私たちは市民団体として、電力システム改革市民委員会を立ち上げました。消費者の望む電気を選択し、適正な価格が維持されるように適宜情報収集し、関係団体や一般の消費者にも情報提供しつつ監視することを目的として、2013年10月には、貴委員会あてにも、制度設計に関心を寄せていただくよう要望し、小売り自由化に関する意見書試案をださせていただいております。(別紙)。

改正作業が進む中で、その後も継続して消費者の立場から、様々な問題について検討をはじめていますが、今般、貴委員会に標記のような要望をさせていただきますのでぜひご検討をお願い申し上げます。

1貴委員会が電力システム改革の制度設計に関わる必要性について

電力システム改革が進めば再生エネルギーが普及するといわれてきました。家庭用の電気を電力会社以外から買うことができない現行の地域独占制度を撤廃し、一般家庭が電力会社以外の発電事業者を選ぶことができる、消費者の「電気を選ぶ自由」を保証するためには、供給者側の情報も得ながら、消費者が制度改革に積極的に関わっていく必要があると考えています。

そのためには、経済産業省で進められている様々な制度設計を消費者の利益の見地から情報収集し、意見を述べていく機関の設置が必要であると考えます。消費者庁および関係省庁に建議する機関である消費者委員会内に、制度設計監視のための機関を設置いただくことを要望いたします。

2 今後の電気料金に関わるネットワーク費用問題や、消費者の意見表明の機会について

今回の改正で、小売りの全面自由化が進んだ場合に、ネットワーク費用(託送料)については、総括原価方式が採用されることが前提とされていますが、価格算定がどのようにチェックされるかは今のところ不明です。

ネットワーク料金規制について、改正前の電気事業法では、一般送配電事業者における、託送供給等約款の制定・変更は経済産業大臣の認可事項でしたが(同法18条)、発送電分離を前提とした改正法では削除されています。

また、現在規制料金として消費者庁と経産省の協議事項である、電気料金の値上げ認可申請については、国民の意見を聴く、公聴会の設置が削除され(同108条)、料金規制が撤廃された場合に消費者が公共料金としての価格について意見を述べる場が設定されていないようです。(注)

電気料金値上げについての認可制が廃止されれば、自由化後の寡占が生じた場合などに、電気料金の上昇に対する歯止めが無くなってしまいます。消費者庁との協議がなくなればチェックリスト方式による監視ができなくなります。また、一般の公聴会も無くなれば、消費者が意見を述べる機会も無くなります。

3 経産省の関連ワーキンググループの議論の情報収集の必要性について

一方、制度設計と並行して開催されている、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会の買取制度ワーキンググループの議論では、再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度に関して、「回避可能費用」の算定方法が議論されています。これは、「賦課金」「他社電力購入料」の両面で電気料金に直接影響を与えるものであるにも関わらず、この会議には消費者庁のオブザーバー参加もなく、消費者の意見を述べる者も参加していません。

先般の消費者大会での議論でも、消費者は、大規模集中型のエネルギーシステムから、多様な主体が担う地域分散型エネルギーシステムへの転換を求め、原発をやめ、自然エネルギーの導入拡大とともに、高効率天然ガス発電への転換による火力発電の低炭素化を望んでいます。消費者が望む再生可能エネルギーが順調に浸透するためにも、消費者庁におかれまして、今般の制度設計に適正な電気料金審査を柱とする、監視機関を設置していただくことを強く望みます。

4 新規のシステムや次世代電力計(スマートメーター)などについて

経済産業省においては、スマートメーター制度検討会が開催されています。東京電力など大手10社は、全世帯へのスマートメーターの設置を24年度までに終了すると表明しています。また、家庭の電力使用データを2016年4月までに電力の新規参入業者(新電力)に開放するとしたようです。新電力は電力会社がスマートメーターから集めたデータを使い、幅広い料金プランをつくれるようになるとされています。

2016年に電力小売りが全面自由化されるのを前に、電力会社と新電力が対等に競う条件が整い、エネルギー効率の改善による「ネガワット」や再生可能エネルギーによるクリーンな電力、柔軟な料金プランを推進する制度設計がなされるかなどを、消費者委員会としても監視していただくようお願い申し上げます。

以上

(連絡先)特定非営利活動法人日本消費者連盟気付 電力システム改革市民委員会

Fax: 03-6800-3749

 


 

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