日本消費者連盟は12月10日に主婦連合会と共同で以下の声明を発表しました。
日消連と主婦連は2022年12月の「安保3文書」改定直後に、日本が戦争する国に突き進もうとしていることへの危機感から、消費者団体共同声明「私たち消費者はいのちと暮らしを尊ぶ平和な社会を求め、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有と防衛費増大に反対します」を発表しました。そして、2024年8月には、国際的なすべての対立的課題は武力ではなく対話で解決すべきとする「アジア平和共同声明」を韓国の生協と3団体で発表し、「武力より対話プロジェクト」(https://peaceasia.jimdofree.com/)をスタートさせました。今回の声明はその一環です。
声 明
防衛費拡大、防衛装備品の輸出規制撤廃、非核三原則の見直しに
私たちは断固として反対します
自民党の国防部会と安全保障調査会の合同会議において、日本の外交・安全保障政策に関する「安保3文書」改定に向けた議論が始まり、防衛費のGDP比2%への引き上げを2年前倒しして今年度中の達成を目指すとしています。これは目標の数値ありきの、必要性の議論とその積み上げを経ていない、根拠なき引き上げです。日本国憲法の理念の下、専守防衛のための必要最低限の防衛力として、何がどれだけ必要であるのかは議論されていません。また合同会議では、防衛装備品の輸出を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の目的に限定した「5類型」の撤廃も議論のテーマとなっており、日本が今まさに、「戦争する国」、「武器輸出大国」にまっしぐらに進んでいることに私たちは強い危機感と懸念を覚えます。
更には、核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」とする非核三原則について、高市政権による見直しの検討の可能性についても報道されていますが、これは絶対あってはならないことです。昨年12月、核兵器の廃絶を訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞しています。唯一の戦争被爆国として、日本は世界のどの国よりも核兵器の廃絶に向けてリーダーシップをとるべきです。非核三原則の見直しが国民的議論を経ずに進むようなことは決してあってはなりません。
私たちは、防衛費のGDP比引き上げ目標の前倒し、防衛装備品輸出規制の緩和、非核三原則の見直しに断固として反対します。
私たち消費者団体は、日々の暮しの中で起こる様々な消費者問題を解決し、消費者・生活者の権利を守るための活動をしています。それは平和な社会であってこその活動であり、私たちの運動の大前提に、日本国憲法が掲げる恒久平和主義を守ることがあります。
軍拡競争には際限がなく、軍備増強は偶発的衝突の可能性を高める危険性もあります。防衛費引き上げの前倒しはもとより、そもそも防衛費の対GDP比引き上げをすべきではありません。国民のいのちを危険にさらさないためには、緊張を緩和させ、武力紛争を回避し、戦争にならないように、平和的な外交力、対話力、交渉力を、最大限発揮し続ける以外に道はありません。日本が「戦争をする国」ではなく、「地球上から戦争と核兵器をなくす国」として、武力ではなく対話でリーダーシップをとることを強く求めます。
以上
2025年12月10日
主婦連合会
日本消費者連盟