日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
企業や国家の利益よりも人のいのちや健康を優先する世の中に変えたいと活動しています。

【編集委員ブログ】ナノテクノロジー(2018年7月9日)

 

私たちが日常つき合っている単位は、せいぜいミリメートルまでです。それより1000分の1がマイクロメートル (μm)、さらに1000分の1がナノメートル(nm)、さらにピコメートル(pm)、フェムトメートル(fm)、アトメートル(am)とつづきます。

もし1ナノメートルを1cmで表わすと、ハガキの大きさは、実に日本の国土の4倍になってしまいます。遺伝子を作っているDNAの大きさが2ナノメートル、インフルエンザウイルスが80ナノメートル。とてつもなく小さな世界です。

ナノテクで最初に開発されたのが、カーボンナノチューブです。けた違いに軽くて強い繊維が作れるとあって注目され、その開発や応用でしのぎを削った競争を繰り広げてきました。しかし、そのカーボンナノチューブを扱う工場から排出される副産物によって、河口にすむ小甲殻類の死亡率が増加し、発育遅延が起きているということが判明しました。ナノ材料は細胞に入り込み、DNAを傷つけることも指摘されています。

ナノテクの応用先の一つが化粧品です。日焼け止めクリームでは、通常のクリームでは効果が弱いため、粒子化することで透明度を上げ効果を高くしてきました。紫外線の波長がナノサイズであることから、より小さな粒子にすればするほど効果が上がり、現在はナノサイズの粒子にして用いられています。しかし、皮膚に直接塗るものであり、最終的に環境中に放出されるものです。危険この上ないといえます。

 

(天笠啓祐)