プラスチックは本来もろいものです。そのもろさを補うために紫外線防止剤や難燃剤、可塑剤など数多くの添加剤が開発されてきました。1960年代終わりから1970年代前半にかけて、プラスチック公害が深刻化しました。プラスチックの基本は使い捨てです。そのためごみ問題が深刻化し、東京都のごみが大量に捨てられていた夢の島では自然発火するプラスチックが燃えさかり、有害ガスを発生させていました。
そのような時期に、プラスチックに添加剤などを加えず、むしろそのもろさを生かそうという試みが進みました。それが崩壊性プラスチックと呼ばれるものです。しかし、目には見えにくくなるが、細かくなって環境を汚染するということで反対運動が起き、頓挫しました。
しかしその後、生物に分解させるのであればよいのではないかということで、生分解性プラスチックが登場しました。生分解性プラスチックの製品メーカーは、昭和電工、三菱化学、BASF、デュポンといった企業で、その大半が従来のプラスチックメーカーです。そこにある思想は従来のプラスチックと同様、使い捨てであり、プラスチックは捨ててもいいものだという考えを助長するものでした。
(天笠啓祐)