昨年10月に消費税が10パーセントに引き上げられ、私たちの負担は増えるばかりです。政府は国家財政悪化のため、社会保障費の高騰のためなどと増税の理由を説明していますが、本当なのでしょうか。
消費税が導入されたのは、今から30年前の1989年。導入時の税率は3%で当時の消費税収は概ね年間5兆円でした。その後の推移をみると、1997年に5%に引き上げられで約10兆円、さらに2014年に8%になって約16兆円で、今般の引き上げで税収は20兆円前後と予測されています。
対して企業にかかる法人税は、1984年に基本税率43.3%でしたが、何回も引き下げが実施されて現在は約半分の23.2%となっています。消費税導入決定時点の1988年の法人税収は19兆円。法人税収はバブル崩壊やリーマンショック等の影響で年によって増減がありますが、2009年はわずか6兆円。現在は少し持ち直して10兆円を超えていますが、税率が半減しているので当然ながら税収も半減しています。
こうしてみると、消費税は法人税減税の穴埋めに過ぎないことが明らかです。企業の内部留保は、1984年当時は約60兆円でしたが、2018年には463兆円に膨れ上がっており、特に第2次安倍政権成立後から急激に増加しています。
この間、労働法制が改悪されて、今や2,000万人を超える非正規労働者は低賃金を強いられています。法人税減税の効果は、労働分配率の向上には全く活かされておらず、利益は大企業に内部留保されているだけです。
消費税は消費者に対する大衆課税。法人税を正しく企業に課して、溜まり貯め込んだ内部留保に課税すれば、必要な財源はかなり確保されるのではないか。本当に消費税の引き上げが必要なのか?と思わざるをえません。
(亀山)