【声明】岸田政権による原発推進のGX法案成立に抗議します
5月31日に、原発の60年超運転を可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」が参議院本会議で自民・公明与党両党と日本維新の会、国民民社党、参政党らの賛成で可決・成立しました。この法案は、原子力基本法・原子炉等規制法・電気事業法・再処理法・再エネ特措法の5つの改正法案を束ねたものです。
岸田政権は、昨年7月に脱炭素社会の実現を図るとしてGX実行会議を設置し、12月に同会議が公表した「GX実現に向けた基本方針―今後10年を見据えたロードマップ―」を受けて、本年2月に基本方針を法制化すべく、GX脱炭素電源法案を国会に提出しました。
その実態はグリーントランスフォーメーションとは名ばかりで、原発の再稼働、原発の新増設、老朽原発の運転期間の延長、原発産業への支援強化など、これまでの「可能な限り原発依存度を低減させる」政策の大転換を強引に図ろうとするものです。
日本消費者連盟は、この法案に強く反対してきました。
福島原発事故後、原発とは共存できないことが誰にも明白となり、圧倒的多数の市民・住民の意見を背景に、民主党政権下で、原発に依存しない社会の早期実現にむけて「原発の新増設は行わない」「原発の運転期間は最長60年」とする「革新的エネルギー・環境政策」が策定され、安倍政権・菅政権も表面上はこの政策を継承してきました。
しかしながら、岸田政権は、半年余りの短期間の結論ありきの形式的な審議・検討で、従来の政策をかなぐり捨てて、衰退しつつある金まみれの産学政官一体といえる「原子力ムラ」を救済すべく、大きく舵を切りました。
福島原発事故では、突如、膨大な住民がふるさとを失い、今でも苦渋の思いで避難生活を強いられて故郷に戻れない人々が多くいる事実を決して忘れてはなりません。法改正は、こうした事故の反省と教訓をないがしろにするものです。
ドイツでは、今年4月にロシアのウクライナ侵略戦争によるエネルギー危機に惑わされることなく、脱原発を実現させています。
日本消費者連盟は、岸田政権の原発政策の転換に強く抗議します。そして、脱原発社会の早期実現に向けて、多くの消費者・生活者などとともに進んでいく決意を表明します。
2023年6月6日
特定非営利活動法人 日本消費者連盟