2020日消連第25号
2020年12月11日
大阪よどがわ市民生活協同組合
理事長 貫恒夫様
特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 大野 和興
共同代表 纐纈美千世
グリホサートの取り扱いに関する再質問状
当連盟からの公開質問状にご回答いただき、ありがとうございました。しかしながら私どもの質問項目にお答えいただけなかったことはとても残念です。また回答内容が貴生協の掲げる「笑顔ひろがる 豊かなくらし 食の安全 子どもの未来 地球環境 守りたい」というスローガンと乖離しており、とても残念に思いました。これでは消費者である組合員の思いに沿うものというよりは、農薬メーカーの言い分そのままのように思います。組合員の安全と健康を第一に追求すべき組合員組織としての貴生協がこのような見解に立たれていることはとても残念です。
つきましては、改めて以下、質問します。お忙しいところ恐れ入りますが、回答は12月25日までに文書でお願いいたします。なお、ご回答は当連盟ホームページ等で公表させていただくことをあらかじめご了解ください。
記
1.貴生協のご回答ではIARCの評価が公表論文に偏って実施されているのに対し、各国リスク評価機関の評価は詳細なデータを精査して実施されているように書かれています。しかし、IARCの評価の裏付けには多数の科学的知見の積み重ねがあり、その後も調査が行われて、例えばIARCのマリア・E・レオンなどの調査研究やエイモリー大学のボルティエらの評価などで、発がん性は裏付けられています。また逆に、EFSAの評価の基本となった、グリホサートは安全だとしたドイツの連邦リスク評価研究所が作成した論文が、農薬企業が作ったグリホサート・タスク・ホースが書いたものにわずかのコメントを付け加えたに過ぎないものだったことが、英国ガーディアン紙によって示されました。その点についてどのようにお考えでしょうか。
2.日本の食品安全委員会では、ほぼ申請者である農薬メーカーから提出された資料によってのみ評価されていることはご存じだと思いますが、農薬メーカーの未公開データなどは信頼性に疑問があり、メーカー提出資料は都合のよい情報に偏る可能性があります。客観的な評価に基づくIARCの評価は大事ですし、それに基づいてカリフォルニア州でも規制が進み、さらに全米で被害者の訴訟が起き、司法も発がん性を認め被害者勝訴となっています。この点についてどのようにお考えでしょうか。
3.各国リスク評価機関においては、動物実験の結果に安全係数をかけるだけで設定したADIが独り歩きし、ADIを下回れば安全として、動物実験による安全性評価の限界に対する考慮が必要だと思います。特に長期微量での摂取で影響が出ているケースもあり、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫)のような発がんとの関係を示した調査結果や研究報告があることは、とても大事だと思います。悪性リンパ腫は日本でも増加しています。またグリホサートには、発がん性以外にも自閉症との関連、生殖や出産への影響、次世代以降への影響など多くの毒性が報告されています。そのためEU加盟国を始め多くの国や自治体で、一般での使用を規制するところが増えています。そのような世界の趨勢をどのように評価されるのでしょうか。
4.グリホサートの汚染により、腸内細菌も含めた微生物への影響や生物多様性への悪影響が報告されています。生活協同組合活動では環境問題への取り組みに大きな比重を置いていると思います。世界的にSDGsへの取り組みが進む中、グリホサートを販売することは、それに反する行為だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
5.先日、大手養鶏業者が「国際基準が厳しく設定されようとしているので、日本政府がそれに反対するように」と大臣室で農水大臣に現金を渡していたことが明らかになりました。しかもその業者の意向に沿った形で政府の見解がまとめられました。政府の基準を守っていればいいのだという姿勢は、企業の社会的責任を放棄したものといわざるを得ません。ご回答で、グリホサートについて食品安全委員会も発がん性はありそうにないとの結論に至っているとありますが、生協としての社会的責任についてどのようにお考えでしょうか。
6.ご回答を拝読するに貴生協は内外の報告や文献の情報を把握していらっしゃるようなので、あえてグリホサートを安全と擁護されることは理解に苦しみます。組合員の視点で再度ご検討いただけませんでしょうか。
以上