日本消費者連盟
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【質問状】ゲノム編集動物食品についての質問状(2021年3月30日)

 

2020日消連第28号
2021年3月30日

厚生労働大臣 田村憲久様
薬事・食品衛生審議会 遺伝子組換え食品等調査会座長 近藤一成様
京都大学 木下政人様
リージョナルフィッシュ株式会社 代表取締役社長 梅川忠典様
九州大学 松山倫也様

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表 天笠啓祐
特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 大野和興
共同代表 纐纈美千世

ゲノム編集動物食品についての質問状

貴省では2021年2月に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会遺伝子組換え食品等調査会(以下、調査会)において、ゲノム編集技術を利用して得られた魚類の食品衛生上の取扱いについて審議を始めました。私たち消費者は、ゲノム編集をはじめとする遺伝子操作技術を利用した食品の安全性に疑問を持っています。今回の調査会での議論はゲノム編集魚類の「承認」に向けた動きではないかと懸念しています。
つきましては、以下質問いたします。お忙しいところ恐れ入りますが、4月15日までに文書にて回答いただけますようお願いいたします。回答は当団体のホームページ等で公開します。

1、調査会で議論されているゲノム編集魚類は養殖を前提で開発が進められているようですが、養殖場から逃げ出した際の環境への影響を評価していますか。評価しているなら、それを公開してください。評価していない場合は、その理由を示してください。

2、京都大学の木下政人氏や九州大学の松山倫也氏が研究開発するゲノム編集魚類を養殖する際に、環境中に逃げ出すのを防ぐために、どのような対策を講じますか。対策の詳細を示してください。また、その対策をとれば、100%防護できますか。

3、ゲノム編集魚類のオフターゲット及びオンターゲットはどのように調べましたか。全ゲノムを調べたならのデータを公開してください。それとも一部しか評価していないのでしょうか。その評価でどのような結論が出たのでしょうか。

4、モザイクの存在は調べたのでしょうか。調べたのであれば、どのような調べ方をしたのか、加えてそのデータを公開してください。もし調べていないのなら、その理由を開示してください。

5、エピジェネティックな異常は見られなかったのでしょうか。その評価の方法について示してください。

6、ゲノム編集された肉厚マダイは、通常のマダイに比べてどの程度肉量が増えますか。肉量が増えることで、たんぱく質やアミノ酸、その他の成分でどのような変化が生じていますか。それにより食べものとしての安全性に問題は生じないのでしょうか。生じないとすれば、その根拠を示してください。

7、ゲノム編集技術を応用することで、遺伝子に予想外の変化が生じるなど、食品の安全性に問題が生じる可能性がありますが、その点についてはどのように確認しましたか。動物実験などで食品としての安全性評価を行っていますか。行っていれば、そのデータを公表してください。行っていないなら、理由を示してください。

8、商品化の壁になる特許権問題はどのようにクリアしましたか。具体的に示してください。
その他の知的財産権に関して、問題は生じていないのでしょうか。

9、ゲノム編集された魚類を販売する際、ゲノム編集で遺伝子を改変した旨を表示しますか。もし表示するとなると、どのような表示になりますか。表示しないなら、その理由を示してください。

以上