「二重チェックはまやかしか!」「なんのための安全委員会だ」──くり返し飛ぶ、傍聴者の怒りの声。聞いていないふりをして議事を進行させる委員たち。
2011年8月11日午後、北海道泊原発3号機の営業運転再開をわずか15分の形式的審議により追認した原子力安全委員会は、前代未聞の状況に追い込まれました。根比べの後、ついに班目春樹委員長が休会を宣言し、委員らは退室。30分後に現れましたが、そのまま終了しました。
これは東京電力福島第一原発事故を引き起こした責任機関である安全委員会が、ついに市民のチェックによって頓挫した歴史的瞬間でした。
班目委員長は会議中、「定期検査は規制行政庁である保安院が責任を持ってしっかりと、プラント状況を確認し、合否を判断するものだ」とくり返し明言。さらに会見で「(政府から)なんら要請を受けていない」とも証言しました。
それにも関わらず、高橋はるみ北海道知事は、「安全委員会によるダブルチェックにより安全性が確認された」として、運転再開を容認。菅首相(当時)も記者団に、「安全委員会もきちんとチェックをしたと聞いている」と説明しました。
これでは「ダブルチェック」ならぬ「ダマシチェック」「ダブル詐欺」です※。泊原発3号機の営業運転を支えているのは、陳腐な茶番に過ぎません。
ストレステストはアリバイテスト
しかもこの茶番は、すでに始まっているストレステストにおいても再現されつつあります。
班目委員長は、ストレステストについて聞かれ、「保安院が内緒で電力会社とごちょごょとやって、いきなり公開の場で安全委員会に報告するなんてバカなことはやめてほしい。電力会社を直接、指導・監督できるのは規制行政庁の保安院だ」(8月19日付『毎日新聞』)と答えています。
泊原発3号機運転再開の虚構を覆すことは、再稼働を止め、脱原発に向かうことに直結しています。
※ 8月31日付『東京新聞』特報欄「保安院→安全委員会『二重チェック』なかった」が経緯を鋭く検証している
(福島原発事故緊急会議/みどりの未来 杉原浩司)