2011年8月27日、東京・日比谷公会堂において、「TPP(環太平洋経済連携協定)はいらない!8・27緊急集会」が1300人の参加を得て開かれました。主催の同実行委員会には、国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(食健連)、主婦連、日消連などが参加しました。
集会では東京大学の鈴木宣弘教授が挨拶し、「震災復興をきっかけに農業の大規模化を進め、TPPに参加しようという声もあるが、現実的でない空論だ。泥舟であるTPPに乗るのは危険だ。TPPではない形の互恵的な経済連携協定を探る必要がある」と述べられました。また、農民連など各地域の生産者も反対を表明しました。
極端な関税引き下げがもたらす五つの問題点
日消連から参加した山浦も、「消費者もTPP締結に反対する」として「このTPPは極端な関税引き下げを義務化し、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの農産物が日本になだれこみ、国内の農水産物への打撃が懸念される」と述べ、次のような問題点を指摘しました。
- 日本の農業が崩壊すると、環境への影響が懸念される
- 強い輸出型産業だけが利益を得て、弱い国内産業が犠牲となる。現在の円高では輸出の拡大もままならないのが現状だ
- 輸出競争はコスト引き下げ競争を産み、労働条件が悪化し、国民の消費も低迷する
- 人の移動の自由化、サービス部門の自由化が進み、国内の産業秩序が混乱する
- 食の安全基準が非関税障壁として引き下げられる
具体的には、アメリカ産牛肉の輸入拡大、食品添加物の使用拡大、ポスト・ハーベスト農薬(防かび剤など)の利用拡大、農薬の残留基準の緩和、遺伝子組み換え食品の表示義務化の後退などが考えられると述べました。
集会ではTPP参加反対の決議を採択したあと、銀座まで1300人がデモ行進をして、人々にTPP反対を訴えました。
(山浦康明)