日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
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集団フッ素洗口の中止を!全国の関係機関に申し入れをしました

2012年11月28日、日消連と主婦連合会は、学校や幼稚園・保育園などでのフッ素洗口を中止させるために、全国の保健所長(支所や保健相談所を含む)、市町村長と教育長、都道府県・地区歯科医師会)、都道府県知事・衛生主管部長、都道府県歯科医師会の会長と学校・公衆衛生担当者あてに、日本弁護士連合会の意見書に基づき集団フッ素洗ロ・塗布等の中止を求める要請文を送付しました。

 

関係機関への、個別・直接の働きかけで、各地での集団フッ素洗口が中止されることを目指して、以下の要請文を送りました。

要請文

平成24年11月28日

都道府県ならびに市保健所長様

市区町村長ならびに教育長様

都道府県・市区等歯科医師会長様

主婦連合会

特定非営利活動法人日本消費者連盟

日本弁護士連合会の意見書に基づき集団フッ素洗ロ・塗布等の中止を求めます

私たちは、子ども達の健康を守るためにも、小学校等で実施されている集団フッ素洗ロの 実施に反対し、「薬事法の一部を改正する法律等の施行等についての一部改正について」(厚生労働省医薬食品局長通知(薬食発0316第2号平成24年3月16日)(注1)の撤回・削除を求めています。理由は、以下の通りです。

1.医療用医薬品を用いて行われるのは、医療行為であり、フッ素洗ロを推進してきた米国歯科医師連盟(ADA)ですら「6歳未満の子どもに勧められない」と指摘し、国際的にみても強制力の働く学校で一律全員対象に行う必要性はなく、有害である医療行為を行う意味がないこと(注2〉。

2.安価な試薬を歯科医師の裁量により使用を許しており、薬事法違反の疑いがあり歯科医師による「薬剤の処方」の法的根拠も不明であること。

3.自己決定権の侵害とインフォームド・コンセント(説明と同意)の原則に反することなど、子ども達の健康を守るため看過しがたい重大な人権侵害行為であるからです。

なお、2007年10月、日本弁護士連合会に主婦連合会をはじめ8団体によるむし歯予防へのフッ素応用による人権侵害救済の申立が行われ、2011年1月に「集団フッ素洗口塗布の中止を求める意見書」が提出されています(注2)。また「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(案) についてのパブリックコメントに対する意見」(2012.6)が発表され、安全性・有効性・必要性・相当性への疑問、環境汚染の危険性ならびに、人権侵害性及び政策遂行上の違法性を指摘したうえで、「学校等での集団フッ素洗ロ・塗布及び上水道フッ素添加を,「う蝕予防方法の普及(フ ッ化物)」の【計画】の中に含めないよう求める。」との意見が示されています。

国の示した「歯科口腔保健の推進に関する基本事項」〔2012年7月23日)に則って、都道府県や保健所、自治体、学校等において実施計画等にかかわられる貴職が、う蝕予防方法としてのフッ化物の応用を是とすることなく、こうした意見を尊重し、集団フッ素洗ロ・塗布等を中止することを求めます。

全文については記されているホームページをご覧いただければ幸いです。

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2011/110121.html
(注1)通知は、学校長が歯科医師の指示で劇薬であるフッ素洗ロ剤を購入するとき、対面販売の原則からの例外とするものです。

(注2)有害性ならびに最新の科学的知見については、日弁連意見書(全文)の引用文献を参照下さい。


 

(添付文書)

                    集団フッ素洗口・塗布の中止を求める意見書(抄)

2011年(平成23年)1月21日

日本弁護士連合会

第11 結語  (本文の33頁)

当連合会は,1981年(昭和56年)の意見書において,事実上の強制,薬剤管理,情報提供,追跡調査等の問題を指摘して改善措置を求めたが,何ら改善措置が図られないまま,ガイドライン等を契機に,政府及び自治体によって,集団フッ素洗口・塗布の普及推進が図られており,自己決定権,知る権利及びプライバシー権の侵害の状況及び政策遂行上の違法の疑いを放置することは,もはやできない

よって,当連合会としては,上述の諸問題を踏まえ,医薬品・化学物質に関する予防原則,公衆衛生政策における基本的人権の尊重の観点に鑑み,集団フッ素洗口・塗布を中止することが相当と思料し,冒頭記載の意見を述べる次第である。

 

意見の趣旨  (本文の1~2頁)

 う蝕(むし歯)予防のために,保育所,幼稚園,小学校,中学校,特別支援学校等で実施されるフッ素洗口・塗布には,以下のような問題点が認められる。

(1) 安全性

フッ素洗口・塗布には,急性中毒・過敏症状の危険性があり,フッ素の暴露量,年齢,体質等によっては,歯のフッ素症(斑状歯)の危険性も否定できず,また,全身影響への懸念も払拭されていない。

(2) 有効性(予防効果)

フッ素洗口・塗布の有効性は,従前考えられてきたより低い可能性があるうえ,フッ素配合歯磨剤が普及している現状においては,フッ素洗口・塗布による併用効果にも疑問がある。

(3) 必要性・相当性

むし歯は,急性感染症ではないうえ,その予防方法はフッ素洗口・塗布以外にも様々あり,むし歯が減少している現状においては,学校保健活動上,集団的にフッ素洗口・塗布を実施する必要性・相当性には重大な疑問がある。

(4) 使用薬剤・安全管理等(実施上の安全性)

集団によるフッ素洗口では,試薬が使用される点で薬事法の趣旨・目的に反した違法行為が認められ,薬剤の保管,洗口液の調剤・管理,洗口の実施等が学校職員に一任されるなど,安全管理体制に問題があり,実施上の安全性も確保されていない。

(5) 追跡調査

有効性・安全性について,追跡調査がなされていないし,そもそも,学校等での集団フッ素洗口・塗布は,追跡調査が困難である。

(6) 環境汚染

集団によるフッ素洗口後の排液により,水質汚濁防止法・下水道法の排水規制違反など環境汚染のおそれがある。

  このような問題点を踏まえると,集団フッ素洗口・塗布の必要性・合理性には重大な疑問があるにもかかわらず,行政等の組織的な推進施策の下,学校等で集団的に実施されており,それにより,個々人の自由な意思決定が阻害され,安全性・有効性・必要性等に関する否定的見解も情報提供されず,プライバシーも保護されないなど,自己決定権,知る権利及びプライバシー権が侵害されている状況が存在すると考えられるから,日本における集団によるフッ素洗口・塗布に関する政策遂行には違法の疑いがある。

  よって,当連合会は,医薬品・化学物質に関する予防原則及び基本的人権の尊重の観点を踏まえ,厚生労働省,文部科学省,各地方自治体及び各学校等の長に対し,学校等で集団的に実施されているフッ素洗口・塗布を中止するよう求める

( 意見書全文はhttp://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/110121.pdf 


(添付文書)

「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(案)」についてのパブリックコメントに対する意見

(日本弁護士連合会)の概要

第1 意見の趣旨 1 学校等での集団フッ素洗口・塗布及び上水道フッ素添加を,「う蝕予防方法の普及(フッ化物)」の【計画】の中に含めないよう求める。  2 「12歳児の一人平均う歯数が1.0歯未満である都道府県の増加」(7都道府県から28都道府県),「歯科口腔保健の推進に関する条例を制定している都道府県の増加」(26都道府県から36都道府県)という【目標】を削除するよう求める。

第2 意見の理由(要点)

学校等における集団フッ素洗口・塗布が「基本的事項」に含まれることは,以下のとおり,医学品・化学物質に関する予防原則及び基本的人権尊重の観点から,重大な問題があり,許されない。

2 基本的視点 (1)予防原則  (2)公衆衛生政策における基本的人権の尊重

3  安全性 (1) WHOなどの専門機関は,各種フッ素利用の安全性を認めてきたが,近年,フッ素の過剰摂取の危険性から,フッ素利用に一定の制限を加える見解を出している。 (2) フッ素洗口・塗布剤の医薬品添付文書でも,「嘔吐,腹痛,下痢などの急性中毒症状」を起こす場合があると明記されている。厚生労働科学研究班報告書(平成17年3月)でも,塗布によって嘔吐する子どもがいるとの報告、集団フッ素塗布後のアレルギー症状の症例報告もある。

(3)歯のフッ素症の危険性  (4)生活環境・フッ素利用からの曝露

(5) WHO専門委員会報告書(1994年)では6歳未満の子どもには禁忌と結論。CDC(米国疾病予防管理センター)も「歯科医師等による診察なしにフッ素洗口をすべきではない」と指摘、ADA(米国歯科医師連盟)も「6歳未満の子どもにフッ素洗口は勧められない。」と指摘している。

(6) 飲料水中フッ素濃度の制限

(7) フッ素塗布についても,W H O 専門委員会報告書では「8歳未満の小児には勧められない」としている。

(8) フッ素配合歯磨剤の使用上の注意

(9) 歯のフッ素症以外の危険性

(10) 小括  以上のように,生活環境,フッ素利用状況・飲み込み量,年齢,体質等フッ素曝露量・個人の感受性など地域・個人差の影響によって,歯のフッ素症への危険性は否定できず,全身影響への懸念も払拭されていない。

4 有効性( 予防効果)

(1) 日本の調査結果の評価  日本のフッ素洗口・塗布の疫学調査結果は予防効果が過大評価されているおそれがあり, その調査結果の信頼性は高くない。

(2) 最近の海外専門機関の報告

2000年代以降、フッ素利用の有効性は「広範な人々を対象とする戦略としての費用対効果は疑問である」(米国防疫センター,2001)、「フッ素配合歯磨剤の単独使用の場合とフッ素配合歯磨剤及びフッ素洗口またはフッ素塗布を併用した場合の予防効果は,有意差が認められない」(英国コクラン・レビュー,2003)、う蝕リスクが低度の場合には「フッ化物の局所応用による利益はおそらく得られない」(米国歯科医師会,2006)など、専門機関による有効性の評価に大きな変化が生じている。

(3) 日本における予防効果

(4) 結語 以上より,フッ素洗口・塗布の有効性は,従前考えられていたより低い可能性があり,フッ素配合歯磨剤が普及した日本では,フッ素洗口・塗布の併用効果には疑問がある。

5 集団フッ素利用の必要性・相当性

(1) むし歯の減少  WHO専門委員会報告書では,集団フッ素洗口は「う蝕活動性が中等度から重度」の地域で推奨され,全国的にむし歯の蔓延状況が「軽度」に達している日本において, 集団フッ素洗口を実施しなければならない状況ではない。

(2) むし歯減少の原因 フッ素利用が,1975年頃以降の一貫した日本全体のおけるむし歯減少の原因とはいい難い。

(3) 他に選び得る手段  むし歯は多因子性疾患であり,歯科衛生指導,咀嚼習慣の指導,甘味飲食料の制限,バランスの取れた栄養素の摂取,緑茶等の摂取,乳幼児期におけるむし歯原因菌の養育者からの感染防止,栄養・清潔・ストレス・運動など,フッ素配合歯磨剤,歯科医師の指導の下でフッ素洗口・塗布の個別処方を受けることも可能である。

(4) 学校保健としての必要性 「現在」の日本において, 日本歯科医師会がすすめる『かかりつけ歯科医機能』が充実されつつ, 児童生徒の口腔疾病が軽減された状況において, 保健管理としてのフッ化物応用は地域の歯科医療機関に委ねてもよい」日学歯2005)、「フッ素洗口を推進するものではない」「フッ化物洗口ガイドラインにも推進するとは記載していない」(厚労省・文科省と当会の面談調査)との回答あり。

(5) 個人の意思の尊重のための集団予防接種の廃止

(6) 結語  集団フッ素利用を実施しなければならない公衆衛生上・学校保健上の必要性・相当性には重大な疑問がある。

6 集団フッ素洗口の使用薬剤, 安全管理等

(1) 試薬の使用  薬事法上の承認医薬品ではないフッ化ナトリウム試薬を処方することは,学校歯科医の判断であっても,薬事法の目的・趣旨を逸脱する違法な行為である。

(2) 安全管理等 フッ化ナトリウムを含有する医薬品は,薬事法上「劇薬」であるが,学校等は薬局とは異なり,制度上及び施設上,薬剤管理に問題がある。また,学校職員(養護教員等)が洗口液の調製を行っているなど, 専門家又はその直接の指揮下でなく,大量の調製を学校職員に行わせることは,安全管理体制として極めて不適切である。

(3) 洗口の管理  故意に洗口液を飲み込む事例,悪戯で他人に洗口液を飲み込むように仕向ける事例,特別支援学級の生徒では洗口自体が困難な生徒や吐き出しが困難な生徒がいるという報告。集団フッ素洗口では,「学校歯科医の管理と指導の下」( 文部科学省,2004)などの安全性の前提要件は満たされていない。

(4) 結語  以上のとおり, 集団フッ素洗口では, 試薬を使用する場合は,薬事法の趣旨・目的を逸脱する違法があり,安全管理体制に問題があり, 実施上の安全性は確保されていない。

7 追跡調査  (1)追跡調査の欠如 (2) 学校等での調査体制の欠如  (3)  集団フッ素洗口・塗布は追跡調査が困難

8 環境汚染の危険性  フッ素の環境に対する有害性(GHS分類結果では「水生生物に有害」)に鑑みれば,高濃度のフッ素が大量かつ反復継続的に排出されることによる環境汚染の危険性は無視できない。

9 人権侵害性及び政策遂行上の違法性

(1) 本件で問題となる権利 ア 自己決定権 イ 知る権利 ウ プライバシー権

(2) 違法性の判断基準

(3) 自己決定権侵害   行政庁が組織的に集団フッ素洗口・塗布を普及・推進することは, 事実上の強制となる。

ア 組織的な事業推進  ( ア) 洗口マニュアル等

( イ) 地方自治体  地方自治体では,行政上の目標達成や事業推進の利益が優先されるため,圧迫・干渉が生じ得る。各学校の校長・教員が懸念等を示しても,事業・予算の決定などを理由に,市町村側が学校側に実施するよう指導しているとの報告もあり,実態は,現場の学校・教職員・保護者の主体的・積極的判断ではなく,行政庁の判断といってよい。

( ウ) 行政指導の実態  教育委員会から実施率を上げるように校長に指導, 保護者に対しメリット・デメリットを記載した印刷物を交付した教員が「行政が進める事業に反対することは公務員としての資質に欠ける」旨の指導がなされた, 管理職が養護教員に人事的差別・異動を背景にプレッシャーをかける,聴き取りした意見のうち反対意見は教育委員会へは報告されていないなどの報告があり, 行政による集団フッ素洗口の実施に対する統制・強制的な指導の実態がうかがわれる。

( エ) 小括  予算,条例等を通じた行政・政治的な取組により,学校等で集団フッ素洗口が組織的に推進されており, かかる状況が,自由な選択に対する圧迫,干渉等( 事実上の強制) を招く大きな要因となっている。

イ 子ども・保護者に対する事実上の強制・不利益・差別等 「いじめにあった」「嫌がらせの手紙が届く」など。

ウ 学校での集団生活  集団フッ素洗口・塗布は「学校行事化」しているため,保護者及び子どもが全く自由に意思決定するという状況設定ではない。特に日本では「画一性」が重視され,集団フッ素洗口・塗布も,行政による事業推進の下, 行政に管理された「一律性」が強く求められ, 学校及び個人の自由な選択が状況的に困難になるのは,いわば必然。

エ 個別性による任意性の確保  予防接種法の改正の趣旨は,義務から解放し,個人の意思を尊重するという基本理念の大転換があったからで,個別性は任意性を確保する重要な要素・担保。集団フッ素洗口・塗布は,一律に集団実施され,個別実施ではないため,個人の意思決定の「任意」性を確保するための「個別」性という重要な要素・担保が欠如している。

オ 結語  集団フッ素・塗布は,事実上の強制, 不利益, 差別等がうかがわれ,自己決定権が侵害されている。

(4) 自己決定権侵害 ② ( インフォームド・コンセント違反) (6) プライバシー権侵害

(7) 政策の違法性  以上のように, 学校等での集団フッ素洗口・塗布には, フッ素利用の安全性・有効性,集団フッ素利用の必要性・相当性,使用薬剤・安全管理, 追跡調査, 環境汚染等の問題が認められ, 自己決定権,知る権利及びプライバシー権が侵害されている状況が存在すると考えられる。 かかる多くの問題点を抱える集団フッ素洗口・塗布という公衆衛生政策を遂行する必要性・合理性には重大な疑問が残らざるを得ず,集団フッ素洗口・塗布に関する公衆衛生政策の遂行には違法の疑いがある

 

10 まとめ  以上より, 医薬品・化学物質に関する予防原則及び基本的人権尊重の観点から, 学校等で集団フッ素洗口・塗布は中止すべきである。よって, 「基本的事項」において, 「う蝕予防方法の普及( フッ化物) 」の【計画】の中に, 学校等における集団フッ素洗口・塗布は含まれないことを明記することは, 必要不可欠である。  <11、12 略>

 

(平成24年6月8日:全文 http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2012/opinion_120608_2.pdf


*本申し入れには日本フッ素研究会のご協力をいただきました。研究会はボランテイア組織で有志の献身的な活動で支えられています。日本フッ素研究会は海外も含めた有用な出版物も扱っています。活動のためのカンパもぜひお願いいたします

資料・カンパの問い合わせ先

【日本フッ素研究会事務局】

杉田育紀(評議員)(郵便振替口座:00870-8-86803)

(Fax 0532-37-7580)

秋庭賢司(会誌編集担当:評議員)

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(文責 古賀 真子)

 

 

 

 

 

 

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