日本消費者連盟
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子宮頸がんを防げず、副作用被害の甚大な子宮頸がんワクチンの即時接種中止を!

平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会が子宮頸がんワクチンの積極的勧奨の中止勧告を出したため、実施主体である地方自治体、医療機関、学校では混乱がはじまっています。「それでも子宮頸がんを防ぐためには接種すべき」という意見がありますが、ちょっと待ってください。このワクチンは高リスクHPV16型と18型の感染を防ぐというデータはあるものの、感染しても必ずしもがん化するわけではないことが知らされないまま、「子宮頸がん予防ワクチン」として大変な勢いで接種が進められ、2013年4月からついに、予防接種法上の定期接種とされたものです。定期接種は、国が国民に対して、予防接種を受けるよう努力義務を課すことであり、積極的勧奨をする代わりに、副作用による被害を救済をするというものです。

HPVは、性体験のある女性の約80%が一生に一度は感染するとされていますが、ウイルスは自然に排除される場合がほとんどで、決して特別に危険なウイルスというわけではありません。しかも、子宮頚がんについては、定期健診で早期発見して治療できるので、突然にがんになるというようなものではないのです。子宮頚がんに限らず、がんは基本的にまずは異形成という前がん状態となり、5年から10年かかって、徐々にできるもので、可変的な病変であり、自然治癒することも多いのです。

これに対してワクチンは作られてから10年に満たず、持続効果も予防効果も未確定で推定の域をでないものですが、日本では、「子宮頸がん予防ワクチン」とがん予防ができると誤信させる名称により、このように積極的勧奨をすべきでない状況になって、なお、予防できるなら接種しようと思わされてしまう保護者が大半なのです。


今回の厚労省の「積極的勧奨の一時中止」の正確な中身を見てみましょう。(下線、マーカーは筆者)

平成25年6月14日

健発0614第1号

各都道府県知事殿

厚生労働省健康局長
(公印省略)

ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応について(勧告)

ヒトパピローマウイルス感染症については、本年4月1日から、予防接種法(昭和23年法律第68号)第5条第1項の規定による予防接種(以下「定期接種」という。)が市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)により行われているところであるが、平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成25年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(以下「合同会議」という。)において、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン接種後に特異的に見られたことから、同副反応の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとされたところである。
ついては、ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種に関し、当面の間、下記のとおり取り扱うこととしたので、貴職におかれては、貴管内市町村(保健所を設置する市及び特別区を含む。)及び関係機関等へ周知を図るとともに、その実施に遺漏なきを期されたい。なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する勧告であり、本日から適用する。

  1. ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対象者又はその保護者(以下「対象者等」という。)に対し、予防接種法第8条の規定による当該接種の勧奨を行うに当たっては、市町村長は、接種の積極的な勧奨とならないよう留意すること
  2. ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種を中止するものではないので、対象者のうち希望者が定期接種を受けることができるよう、市町村長は「予防接種法第5条第1項の規定による予防接種の実施について」(平成25年3月30日健発0330第2号厚生労働省健康局長通知)の別添「定期接種実施要領」第1の2にあるとおり、予防接種法施行令(昭和23年政令第197号)第5条の規定による公告及び同令第6条の規定による対象者等への周知等を行うとともに、接種機会の確保を図ること。ただし、その周知方法については、個別通知を求めるものではないこと。
  3. 市町村長は、管内の医療機関に対して、ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対象者等が接種のために受診した場合には、積極的な勧奨を行っていないことを伝えるとともに接種を受ける場合には、ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン接種の有効性及び安全性等について十分に説明した上で接種することを周知すること。なお、同ワクチンの有効性及び安全性等について記載した説明用資料については、別紙のとおりである。
  4. ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種を含め、予防接種による副反応の報告が適切に行われるよう、市町村長は改めて管内の医療機関に対して「定期の予防接種等による副反応の報告等の取扱いについて」(平成25年3月30日健発0330第3号、薬食発第0330第1号厚生労働省健康局長、厚生労働省医薬食品局長連名通知)の周知を図ること。
  5. 合同会議において、今後、早急に調査すべきとされた副反応症例について、可能な限り調査を実施した時点で、速やかに専門家による評価を行い、積極的な勧奨の再開の是非を改めて判断する予定であること。

別紙

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034kbt-att/2r98520000034kne.pdf


予防接種行政は、天然痘が撲滅されてなお、ワクチン接種による被害者を出し続けた種痘、40年以上も行った子どもたちへ行われた無効なインフルエンザワクチンの集団接種、予防接種開始後1週間で多数の被害者がでたにも関わらず、保護者の同意書までとり4年にわたり検定違反のワクチンを接種し続けたMMR、記憶に新しい2012年の日本脳炎ワクチンによる死亡事故・・・。薬害エイズ以上に予防接種禍の歴史は長く、健康な子どもを死亡させ、障害を負わせ、家族も含めた人生を台無しにしてきた悲惨な被害の歴史です。これをより深刻化させたのが、被害を隠し、ワクチンと被害の因果関係を否定し続け、メーカーとの癒着を許して、危険なワクチンを危険と知ったのちも接種し続けた行政の姿勢です。日本をワクチン後進国といい、「失われた20年を取り戻す」として、こうした被害者に運動を否定し、運動そのものを悪とまでいい、新ワクチンの導入に奔走したVPD論者は、矢継ぎ早に行われた新しいワクチンの導入により、重篤な被害が生じている現実に今こそ向き合うべきではないでしょうか。

今回の「積極的接種勧奨の中止」は被害者の会や私たちの副作用の訴えや行動が迅速に予防接種行政に反映されたという意味では、画期的な対応ということができます。

しかし、今回の勧告には、①「子宮頸がんワクチン」という言葉が消え、「ヒトパピロマウイルス感染症の定期接種」とか、「ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン接種」とされていること、②積極的勧奨はしないが「定期接種」であるとの強弁、③リスクとメリットの説明のちらしは「子宮頸がん予防ワクチン」として、有効性が強調され、副作用が矮小化されるなど、厚労省の対応は、混乱しているとしか思えません。

なぜ、このワクチンが導入され、短期間にこれほど莫大な国費を投入して広まったのか、詳細はここでは述べませんが、水俣病にも似た神経症状を起こすワクチン、接種後卒倒する事例が多発したこのワクチンには、これまでに膨大な副作用のデータが集積されています。

勧告では、「調査すべきとされた副反応症例について、可能な限り調査を実施した時点で、速やかに専門家による評価を行い、積極的な勧奨の再開の是非を改めて判断する予定であること。」とされていますが、審議会で継続を主張する、メーカーから寄付金を受領している委員の発言や、仮に中止しても早い再開を求める意見なども出る中、今やるべきことは、定期接種の中止と、子宮頸がんという病気やこのワクチンの真実の実力を国民に正確に説明することです。

日消連とワクチントーク全国では、今回の勧告について、厚労省に引き続き質問を続けていく考えです。

(勧告の疑問点)

1 子宮頸がん予防ワクチンという名称について

本勧告は、ヒトパピロマウイルス感染症の定期接種の対応とされていますが、接種対象者のためのちらしは「子宮頸がん予防ワクチン」とされています。

現在日本で採用されている、サーバリクスもガーダシルも海外ではHPVワクチンと称されていますが、日本においてのみ、「子宮頸がん(予防)ワクチン」と呼ばれていることついては、事業接種として行われている際にも、また、13年6月7日に阿部知子衆議院議員が厚労大臣に名称について質問した際にも、「実態に合わないおかしい名称」だと疑問がもたれていました。

今回、勧告文とちらしにおいて、別の名称を使っていることは、地方自治法第245条の4第1項の勧告が、普通地方公共団体の事務の運営その他の事項について適切と認める技術的な助言若しくは勧告をするために行われる目的からも外れています。対象は明確にする必要があります。今回の勧告で、あえて、「ヒトパピロマウイルス感染症の定期接種」とか、「ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン接種」とされたことは、通常「子宮頸がんワクチン」として周知されているワクチンとは別物との誤解を与えかねません。

今回の勧告では、「ヒトパピロマウイルス感染症の定期接種」と称され、なぜ「子宮頸がんワクチン」といわないのでしょうか。

2 積極的勧奨の意味について

(1) 予防接種法第八条は、「市町村長又は都道府県知事は、第五条第一項の規定による予防接種であってA類疾病に係るもの又は第六条第一項若しくは第三項の規定による予防接種の対象者に対し、定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種を受けることを勧奨するものとする。」とされています。

ここに勧奨とは、任意接種と異なり、接種対象者に対する接種の勧奨を積極的に国の責任において行う反面、「悪魔のくじ引き」といわれる、避けることのできない副作用による死亡や重篤な障害を国の責任において救済するというのが、法のたてつけです。積極的勧奨をしない定期接種というものは本来ありえないはずですが、本ワクチンについて積極的勧奨をしないがA類型の定期接種であるとはどのような意味なのか説明が必要です。

(2) 勧告1で「予防接種法第8条の規定による当該接種の勧奨を行うに当たっては、市町村長は、接種の積極的な勧奨とならないよう留意すること。」の意味が、自治体では個別通知をしないことというように理解されているようです。自治体は定期接種化に向けて莫大な予算を計上しています。どのような行為が積極的勧奨となるのかを具体的に明示すべきです。

3 接種対象者への説明について

勧告3では、「市町村長は、管内の医療機関に対して、ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対象者等が接種のために受診した場合には、積極的な勧奨を行っていないことを伝えるとともに、接種を受ける場合には、ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン接種の有効性及び安全性等について十分に説明した上で接種することを周知すること。なお、同ワクチンの有効性及び安全性等について記載した説明用資料については、別紙のとおりである。」とされています。

(1) ここでも「子宮頸がんワクチン」としていない理由の説明が必要です。また、積極的勧奨を行わないものの、有効性とリスクを理解した上で受けろということは、接種対象者に過大な負担を負わせるものであり、十分な説明が必要です。「ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン接種の有効性及び安全性等について十分に説明した上で接種すること」とされていますが、十分な説明とはどのような説明であるのか明確にすべきです。

(2) 説明用資料のちらしは、「子宮頸がんは若い女性に2番に多いがん」としていますが、若い人への罹患は増加傾向にあるものの、がんが発病するのは中年以降で、死亡は高齢になってからです。「感染しても多くは自然に排出される」と一応書いてありますが、ワクチン接種によって予防できることが「期待」される程度であり、予防効果が絶対的とはかいてありません。また、WHOが接種を推奨し、多くの先進国では公的接種として、あたかも接種をしないのは後進国であるかのような書きぶりですが、ワクチンが対応しているのは、16型と18型に限定され、それらの感染や異形成には予防効果があるものの、これに引き続いて起きる子宮頸がんの予防効果は「期待」されている段階です。ワクチンの効果について、あいまいな書き方がされており、効果の持続期間についても実証されていないのが現実です。

また、検診の必要性、有効性は最後に小さく載せてあり、ちらしは全体的に積極勧奨はしないが、接種により有効性を強調する内容になっており、情報提供として偏っていると言わざるを得ません。

まれに思い副反応もあるとしていますが、頻度の低いものを挙げた上、ワクチン接種と関係がないと思われる報告も含まれると注記しており、全体として、副作用はきわめてまれと印象づける内容となっています。

引用されている厚労省のホームページも、安全性のQ&Aでは、「 現在報告されている副反応は他のワクチンよりも報告頻度が高い傾向のものもありますが、その多くは血管迷走神経反射によると思われる一過性の失神によるものです。定期的に開催されている専門家による会議では、これまでの発生状況を踏まえ、接種の中止等の措置は必要ないとの評価を受けています。」としています。

今回の積極勧奨中止は、被害の甚大さを顧慮したものであり、それ自体国民の側にたった英断といえます。しかしながら、ちらしの表現の曖昧さや、誘導的表現、厚労省のホームページのQ&Aの説明書きは、積極的勧奨と思われる書きぶりであり、今回の勧告と矛盾するものであり、変更すべきだと思います。

4 接種にかかる費用の変更承認について

自治体は定期接種化に向けて莫大な予算を計上しています。今回の積極勧奨中止により、自治体での接種率は低下すると思いますが、その場合交付金の使途の変更承認についてはどうすべきかの議論も行うべきです。

(共同代表 古賀真子)


参照条文

(技術的な助言及び勧告並びに資料の提出の要求)

第245条の4 各大臣(内閣府設置法第4条第3項に規定する事務を分担管理する大臣たる内閣総理大臣又は国家行政組織法第5条第1項に規定する各省大臣をいう。以下本章、次章及び第14章において同じ。)又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関は、その担任する事務に関し、普通地方公共団体に対し、普通地方公共団体の事務の運営その他の事項について適切と認める技術的な助言若しくは勧告をし、又は当該助言若しくは勧告をするため若しくは普通地方公共団体の事務の適正な処理に関する情報を提供するため必要な資料の提出を求めることができる。

(予防接種の勧奨)

第八条  市町村長又は都道府県知事は、第五条第一項の規定による予防接種であってA類疾病に係るもの又は第六条第一項若しくは第三項の規定による予防接種の対象者に対し、定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種を受けることを勧奨するものとする

桃井真里子委員長のコメント

「少数の事例であっても、今ある情報では判断しにくい疼痛という問題が出てきた。適切な頻度などを調べる必要があり、安全を保障するための判断。接種の中止ではないので、打たないと判断もできるし、打ちたい人は今まで通り打てる。

ワクチン自体が安全性に問題があるということではない」