合同会議の利益相反と政策決定能力を問う
被害者の声を真剣に聴くべき~
独立した第三者委員会による再評価を
2013年12月25日、第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と第3回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全部会安全対策調査会の合同会議が16時から19時過ぎまで、厚労省12階の会議室で開催されました。日消連、ワクチントーク全国、子宮頸がんワクチン被害者連絡会(被害者連絡会)は12月24日に子宮頸がんワクチンについて、公正な審議を求める申し入れを行いました。
合同会議は、副作用についての事務局の説明に終始し、痛みに特化した参考人からの意見を聞いたのみで、議論はほとんどなく、次回(14年1月)に論点を整理して検討を続けるということで、「積極的勧奨の継続」についてははっきりと明言されないままに終わりました。
合同会議後の記者会見では、被害者連絡会やそれを支える自治体議員の会から、被害者への救済を求める声等が1時間半にわたって述べられました。今朝のNHK報道では、子宮頸がんワクチンについての報道はなく、先月、11月18日の予防接種の部会(いずれかは不明)で「水ぼうそうワクチンと高齢者の肺炎球菌ワクチンが300億円の補正予算で行われることが決定された」との報道がされました。全く寝耳に水です。
ワクチン行政はどうなっているのでしょうか?合同会議の様子を振り返りながら考えます。
1合同会議報告
開かれた会議といえるか?
合同会議の傍聴席はほぼ満員で、冒頭、傍聴者への注意が行われました。注意事項の中で、会場における言論に対する賛否表明や拍手などはできないこと、これに違反すると退場するとともに、退場となった人は、次回以後の傍聴が認められないことが強調されました。
会議後の被害者の会の記者会見で明らかになったことがあります。
ワクチンで被害を受け、車いす生活となった中学生が母親とともにこの会議の傍聴を申し込んだところ、「3時間以上の会議になるので、途中で具合が悪くなっても医務室等がないので、傍聴は辞退してほしい」と厚労省の担当官から電話があり、「どうしても傍聴したい」と言っても、「上司の命令だから」として傍聴を拒否され、「悔しい」との涙ながらの訴えがありました。学校に行けない、遊びにも行かない、同級生に気持ち悪く思われる・・・、くやしさを訴えたいと車いすで寒い中、何時間も記者会見のために待っていたのです。
利益相反委員による会議のまま進むのか?
資料は100頁に及ぶ副反応に関する報告、接種後の疼痛と運動障害に関する資料96頁、6名の参考人とPMDAの調査報告書の資料66頁でした。
最初に、利益相反についての説明が15分ほど行われました。委員15人のうち、グラクソスミス・クライン(GSK社)とMSD社等HPVメーカーからの寄付金を受け取っていたのは、稲松委員、岡部委員、多屋委員、永井委員、柿崎委員、望月委員(50万円以下)で、議決権を有しない委員は岡田委員、薗部委員、五十嵐委員(50万円以上500万円以下)、参考人では、牛田委員(50万円以下)神田委員(50万円以上500万円以下)でした。
6月14日の合同会議では岡田委員が50万円以上500万円以下の寄付金を受け取っていたにも関わらず議決権を行使していたことが事務局から報告され、岡田委員が6月14日の会議で「積極的勧奨の中止」に一票を投じたことから、5名中、接種継続が2名、積極的勧奨の中止が3名だったのが、実は同数2名ずつであったとされ、その後この件について会議で検討した結果、議長である桃井委員の決済で、「積極的勧奨の中止(勧奨中断)の決定でよいことになった」との報告がされました。
合同会議は奇数回を安全対策調査会、偶数回を副反応検討部会から議長を出すとされ、今回は副反応部会の桃井委員であるが、次回は安全対策調査会からの選出とすると、50万円以上500万円以下の議決権のない五十嵐委員が委員長になるのかどうかが注目されます。